見出し画像

どなたも貴人と思うて扱えばよい

どなたも貴人と思うて扱えばよい  千利休

さて、
今回テーマは、引き続き「ホスピタリティ精神を発揮しよう②」。
前回は、「接客と接遇の違い」を話したが、
今回は「サービスとホスピタリティの違い」にフォーカスしていこう。

サービスとは何か。
あなたは、とあるお店でパンツを買おうとしている。
気に入ったものがあったので、試着をすると、裾が少々長い。
試着室には「裾上げ500円」という張り紙があった。
あなたは店員に声をかける。
「すみません、裾上げをお願いしたいんですが」
店員は
「かしこまりました。どのくらいにしますか」
ピンを片手にあなたに聞いてくる。
あなたは考えて、
「このあたりでお願いします」
と自ら裾上げポイントを指さす。
ピンを刺した店員は、30分後に出来上がるとあなたに告げる。
あなたは30分後にパンツを取りに来た。
「履いてみますか」
店員に言われ、再度試着室に入る。
「いかがですか」とカーテン越しに聞かれる。
「大丈夫です」とあなたは答え、パンツを履き替え、試着室を出る。
製品代金と裾上げ代500円を支払い、店を出る。
「ありがとうございました」

サービスというのは、対価を払って得るもの。
サービスというと「無料」「タダ」というイメージがあるかもしれないが、そうではない。
もともと「service(サービス)」は「仕える」「召使」という意味を持つ「serve」の名詞形。「serve」はラテン語の「servus」を語源としている。
このラテン語の「servus」は「奴隷」という意味であり、
つまり「サービス」は「奴隷」が語源となっているのだ。
相手のために尽くす「奉仕、勤務、接客」という意味で、日本でいう「サービス」の多くは、この意味。サービスは主従関係がはっきりしている。

この「パンツの裾上げ」もサービスだ。
500円払えば、大統領だろうがホームレスだろうが、金持ちだろうが、貧乏人だろうが、誰だって裾上げをしてもらえる権利がある。
裾上げの対価が500円だからだ。
そして、サービスをする側が尽力することは「裾上げをすること」であり、
それ以外はない。これがサービスだ。

ここから先は

1,305字

¥ 100

いただけるなら喜んでいただきます。