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「アイヌは先住民族」かでる27スタンディング抗議の学習資料〜アイヌヘイト規制条例に向けて〜

C.R.A.C.NORTHは、2024年3月10日(日)北海道立道民センターかでる2・7でおこなわれた日本会議主催の講演会に、かでる前の路上でスタンディング抗議をしました。
来ていただいた参加者やマスコミにはアイヌが先住民族であることの簡易な説明と、アイヌヘイトの関連資料をお配りしたのですが、とても好評だったので、公開いたします。

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アイヌは先住民族

先住民族は、indigenous peoplesの訳語として用いられている言葉です。先住民族とは、①ある土地または領域が近代国家の領土とされるよりも前にその土地に住み、②近代国家を作ったマジョリティとはアイデンティティが異なり、③同意を得ずに居住地と資源を近代国家の領土と所有物にされ国民に統合されたために、不利な立場に追い込まれている人々を指します。

日本政府は、2019年の「アイヌ政策推進法」でアイヌを「日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族である」と明記しました。しかし、その意味内容については、衆議院国土交通委員会での政府答弁によりと、「特に定義は置かず、一般的に使用している意味で」用いられている、とされました。一方、2009年にまとめられた「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書」の「先住民族」の定義は参考になります。それによれば、先住民族は「一地域に、歴史的に国家の統合が及ぶ前から、国家を構成する多数民族と異なる文化とアイデンティティを持つ民族として居住し、その後、その意に関わらずこの多数民族の支配を受けながらも、なお独自の文化とアイデンティティを喪失することなく同地域に居住している民族である」とされています。アイヌの場合は、近代国家(明治政府)が形成される過程で、多数民族の支配を受け、それでもなお独自の文化とアイデンティティを保持していることから、先住民族といえます。近代国家の支配を受ける前から住んでいたということが重要です。

レイシストは、よく使われている北海道の歴史年表などを利用して、「アイヌ文化期」の前にいろいろな時期区分があることから、「アイヌは13世紀に侵略してきたので先住民族ではない」「縄文人が先じゃないか」などとアイヌを攻撃します。これは考古学からみた時代区分と先住民族としてのアイヌを取り違えた主張です。他方で、レイシストは「日本人もアイヌも縄文人なのだから、アイヌは先住民族ではない」とも主張します。矛盾した主張ですが、レイシストにとっては矛盾していません。なぜなら、アイヌ民族の歴史とアイデンティティを否定することが真の目的だからです。

北海道の歴史年表には弥生文化や古墳文化はなく、縄文文化には続縄文文化、擦文文化、「アイヌ文化期」が続き、その後、半ば唐突に明治時代が位置づけられています。この「アイヌ文化期」は、土器の消滅や竪穴住居から平地式の住居へといった生活文化の変化を基準として名付けられました。5~10世紀の道北・道東に展開したオホーツク文化は、サハリン経由で南下してきた人々が担い手だったと考えられていますが、こうした集団流入は長い北海道の人類史の中で稀な出来事でした。北海道の大部分では大きな集団流入や入れ替わりがないまま、縄文文化を担った人々の子孫が続縄文文化・擦文文化の中心的な担い手となり、アイヌ民族につながっていると考えられています。「日本人」という意識が存在しなかっただろう縄文文化や弥生文化が「日本人」の歴史、つまり日本史として語りえるのと同じように、アイヌ民族へ続く人類が北海道にやってきた約3万年前に始まる歴史はアイヌ史として捉えることができます。「縄文文化」イコール「日本文化」ではないし、物質文化に基づいた考古学上の時代区分を民族のアイデンティティと混同することで、先住民族としての出自またはアイデンティティに基づく差別をしてはいけません。

今回の日本会議の講演会は、アイヌを先住民族にした和人とその近代国家の日本国の加害性を抹消しようとしている一方で、先住民族であることがあくまでもアイヌ自身が「利権」を得るため「こだわっている」という差別攻撃です。

スタンディング参加者のプラカード

ヘイトスピーチとは何か

ヘイトスピーチは「差別煽動表現」です。特に、人種、民族、国籍、性などの属性を有する、その属性を理由とする差別的表現であり、その中核にある最も本質的な部分は、社会的なマイノリティに対する「差別、敵意又は暴力の煽動」(自由権規約二〇条二項)、「差別のあらゆる煽動」(人種差別撤廃条約四条)です。

アイヌに対するヘイトスピーチの特徴


先住民族に対するヘイトスピーチは、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」第八条に触れられています。先住民族に対する「人種的または民族的差別の助長または扇動を意図するあらゆる形態の宣伝」に対して、国は「防止及び救済のための効果的な措置を講じなければならない」のです(第八条二のe)。

さらに、国は「独自の民族としての一体性またはその文化的価値若しくは民族的アイデンティティを奪う目的または効果を有するあらゆる行為」に対しても、防止・救済する措置を講じる必要があります(第八条二のa)。先住民族が同化を強制されない権利です。

なお、先住民族は「いかなる差別、特に先住民族としての出自またはアイデンティティに基づく差別を受けない権利を有する」(第二条)のです。アイヌ施策推進法の第四条(「何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその 他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」)も、差別的言動(ヘイトスピーチ)を含めて、アイヌに対する差別を禁止しています。

アイヌに対するヘイトスピーチの特徴は、民族的属性の否定と同化の強要です。例えば、二〇一四年の札幌市議会議員の次の発言です:「アイヌ民族なんて、いまはもういないですよね。せいぜいアイヌ系日本人が良いところですが、利権を行使しまくっているこの不合理。納税者に説明できません」。アイヌ民族を過去のイメージに押し込みつつ(「もういない」)、現在のあり方がそうでないから「日本人」と同じように扱うべきだという同化強要です。「もういない」にもかかわらず、民族文化復興などのための予算を不正に取得している人々がおり、彼らのアイデンティティや文化を疑うべきだと、民族的属性の否定を煽動しているのです。

二〇一九年に行われた日本会議北海道本部の講演会のタイトル「あなたもなれる?みんなで“アイヌ”になろう?」や、二〇一六年の杉田水脈議員の「アイヌの民族衣装のコスプレおばさん」発言などは、すべてこの「アイヌ民族、もういない」の民族的属性の否定と同化の強要を煽動しています。「もういない」から「あなたもなれる?」、「もういない」から「民族衣装のコスプレ」だ、ということです。

アイヌに対するヘイトスピーチの日本政府の認識

アイヌ施策推進法の審議では、政府参考人は「ヘイトスピーチにつきましては、例えば、民族としてのアイヌなんてもういないといったような趣旨の心ない発言が今繰り返されているというのは御指摘のとおりと承知しております」と答弁しています。つまり政府は、アイヌに対するヘイトスピーチの一例として「民族としてのアイヌなんてもういない」発言があるという認識を示しています(衆議院国土交通委員会 第五号 平成三十一年四月十日)。

ヘイトスピーチの対応について、政府は現在「ウポポイの運営を通じて理解を深めるように努めている」ことと、「具体的な差別事案された場合、法務省と連携し、人権相談窓口等で適切に対応する」と述べています(東京新聞二〇二二年一〇月二十二日、衆議院国土交通委員会同上)。しかし、アイヌ施策推進法の附帯決議(参議院)にある「不当な差別的言動の解消に向けた実効性のある具体的措置を講ずること」の動きはまだ見当たりません(参議院国土交通委員会 第八号 平成三十一年四月十八日)。

C.R.A.C. NORTHは、政府が有識者と学識経験者による充分な調整権限と調査権限を備えた協議機関を設けて、アイヌに対する差別について調査審議し、差別の禁止に関する定義と措置等 のガイドラインを政令に定め、処罰されるべき範囲を厳選するなど、この附帯決議に約束されている具体的措置の取り組むことを求めています。


スタンディング参加者の横断幕

アイヌヘイトに関連した法律

(1)アイヌ施策推進法

第四条 何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。

第五条 国及び地方公共団体は、前二条に定める基本理念にのっとり、アイヌ施策を策定し、及び実施する責務を有する。

参院附帯決議

二 「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の趣旨を踏まえるとともに、我が国のアイヌ政策に係る国連人権条約監視機関による勧告や、諸外国における先住民族政策の状況にも留意し、アイヌの人々に関する施策の更なる検討に努めること。

四 アイヌの人々に対する差別を根絶し、アイヌの人々の民族としての誇りの尊重と共生社会の実現を図るため、アイヌに関する教育並びにアイヌへの理解を深めるための啓発及び広報活動の充実に向けた取組を推進すること。あわせて、本法第四条の規定を踏まえ、不当な差別的言動の解消に向けた実効性のある具体的措置を講ずること。」

(2)先住民族の権利に関する国際連合宣言(2007年9月13日採択)

第2条【平等の原則、差別からの自由】

先住民族および個人は、自由であり、かつ他のすべの民族および個人と平等であり、さらに、自らの権利の行使において、いかなる種類の差別からも、特にその先住民族としての出自あるいはアイデンティティ(帰属意識)に基づく差別からも自由である権利を有する。

第八条【同化を強制されない権利】
一 先住民族およびその個人は、強制的な同化または文化の破壊にさらされない

権利を有する。
二 国家は以下の行為について防止し、是正するための効果的な措置をとる:

(a)独自の民族としての自らの一体性、その文化的価値観あるいは民族的アイデンティティ(帰属意識)を剥奪する目的または効果をもつあらゆる行為。

(b)彼/女らからその土地、領域または資源を収奪する目的または効果をもつあらゆる行為。

(c)彼/女らの権利を侵害したり損なう目的または効果をもつあらゆる形態の強制的な住民移転。

(d)あらゆる形態の強制的な同化または統合。

(e)彼/女らに対する人種的または民族的差別を助長または扇動する意図をもつあらゆる形態のプロパガンダ(デマ、うそ、偽りのニュースを含む広報宣伝)。

(3)国連自由権規約委員会勧告(2022年10月28日採択)

 日本の人権状況の全体を改善するための制度的な措置については、個人通報制度を定める選択議定書の批准、政府から独立した国内人権救済機関の設置及び包括的な差別禁止法の制定を求めた。とりわけ、国内人権救済機関については、日本政府の機関設立に向けた明確な進捗がないことに遺憾の意を表明した(総括所見4~9項)ヘイトクライムについては独立した定義を設け、禁止するよう促した。また、ヘイトスピーチ行動を規制する法的措置がとられていないという事実に対して懸念を表明。差別や暴力を煽るようなデモを含めたすべての活動を禁止するだけでなく、このような活動を行った人や組織を処罰できるような法的な枠組みを整えるよう求めた。(日弁連の見解)

(4)人種差別撤廃条約

①ヘイトスピーチは犯罪で「法律で処罰すべき犯罪」である。(人種差別撤廃条約第4条)

②国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと(同上)

③政治家およびメディア関係者を含む、私人あるいは公人によるヘイトクライム、人種主義的ヘイトスピーチおよび憎悪の扇動を調査し、適切な制裁を科すこと(人種差別撤廃委員会総括所見(2018年)

スタンディング参加者のプラカード


札幌弁護士会:札幌市において人種差別やヘイトスピーチの根絶と人種に基づく差別意識解消のための実効的な条例の制定を求める意見書(2022年9月27日)

5. インターネットを通じて行われるヘイトスピーチ等の根絶に向けた取組

(1) 取組の必要性

 インターネットは、多種多様な意見が自由に交わされる言論空間として重要な表現の場であり、自由闊達な議論が保障されるべきである。

 他方で、既存のメディアと異なりインターネットは誰でも匿名で簡単に書き込むことが可能なうえ、いったん掲載された情報が瞬時に広範囲に拡散するという特殊性を有する。インターネット上におけるヘイトスピーチについては、人種差別的な言辞のみならず、人種差別に基づく悪質なデマも流布されており、意図的に差別を煽るものが依然として見られる。これらはヘイトスピーチ解消法施行後も放置されてきた状況である。

 インターネット上のヘイトスピーチを放置することは地域社会の深刻な分断につながる危険を有する。ヘイトスピーチ解消法についての衆参両院における附帯決議においても、「インターネットを通じて行われる本邦外出身者等に対する不当な差別的言動を助長し又は誘発する行為の解消に向けた取組に関する施策を実施すること」とされている。

 インターネット対策は国が率先して取り組むべき課題の一つではあるが、札幌市においてもそこに居住する外国人・民族的少数者に対する差別を煽るような書き込みやデマに対して国任せではなく積極的に地域の実情を踏まえた措置を講ずる必要がある。

(2) 取組の内容

 具体的には、インターネット上において札幌市にかかわるヘイトスピーチを内容とする書き込み、SNSへの投稿、動画のアップロード等(以下「書き込み等」という)がなされていた場合、市長は後述の拡散防止措置を講ずるとともに認識等の公表を行う。

6. 拡散防止措置及び認識等の公表の制度について

(1)  条例に盛り込むべき規定

ア はじめに

 本条例では、ヘイトスピーチに該当する表現活動のうち、次のイのような行為態様で行われたものについて、市長が次のウのような拡散防止措置及び認識等の公表を行うことができる規定を設けるべきである。

イ 行為態様

(ア)公共の場所での表現活動

① 市の区域内の道路、公園、広場その他の公共の場所において

② 次のいずれかの手段による表現活動

 ⅰ 拡声器を使用する

 ⅱ 看板、プラカード等を掲示する

 ⅲ ビラ、パンフレット等を配布する

 ⅳ 多数の者が一斉に大声で連呼する

(イ)インターネット上の表現活動

 インターネットその他の高度情報通信ネットワークを利用する方法による表現活動(他の表現活動の内容を記録した文書、図画、映像等を不特定多数の者による閲覧又は視聴ができる状態に置くことを含む。以下「インターネット表現活動」という。)のうち次のもの

① 市の区域内で行われたインターネット表現活動

② 市の区域外で行われたインターネット表現活動(市の区域 内で行われたことが明らかでないものを含む。)のうち次のいずれかに該当するもの

 ⅰ 表現の内容が特定の市民等(市の区域内に住所を有する者、在勤する者、在学する者その他市に関係ある者として規則で定める者をいう。以下同じ。)を対象としたものであると明らかに認められるもの

 ⅱ ⅰに掲げるもの以外のインターネット表現活動であって、市の区域内で行われたヘイトスピーチの内容を市の区域内に拡散するもの

ウ 拡散防止措置と認識等の公表について

 市長による調査の結果、拡散防止措置及び認識等の公表の制度の対象となり得る表現活動が行われた事実が認定された場合、市長は、こうした表現活動が記載された看板や掲示物について撤去依頼を行う、あるいはヘイトスピーチに該当する表現活動の書き込み等がなされたインターネットサイトを管理するインターネットサービスプロバイダ―等の事業者に対してこれらの書き込み等の削除を要請する等の当該表現活動の拡散防止のために必要な措置を講ずるとともに、当該表現活動が行われた日時、場所、表現活動の内容、当該表現活動がヘイトスピーチと認定されたこと及びその判断理由について、札幌市としての認識を公表するものとすべきである。

 ただし、当該表現活動の内容についてこれを公表することがむしろ本条例の目的を阻害すると認められるときは、公表しないことができるものとすべきである。

(2) 理由

ア ヘイトスピーチ解消法第4条第2項は、地方公共団体に対し、不当な差別的言動の解消に向けた取組に関し、当該地域の実情に応じた施策を講じるよう求めている。

 この点、ヘイトスピーチ解消法の成立以後も札幌市においてヘイトスピーチを伴うデモやインターネット上における差別的な書き込み等が行われていることがある。

 また、実際に今後、外国人や少数民族など多くの人たちが札幌市で居住するにあたり、住み心地の良い札幌市を作り上げていくことが大切である。

 人種差別やヘイトスピーチの根絶のため、札幌市としてもそれがヘイトスピーチに該当するものに対して具体的に対処することが求められている。

イ ヘイトスピーチへの対処に関する他の自治体における状況を見るに、川崎市では2019年(令和元年)12月12日、50万円を上限とした罰金刑を含む条例※11が制定・施行された。

 また大阪市※12、東京都※13、愛知県※14等の自治体においては、ヘイトスピーチが行われた場合に、こうした表現活動の拡散防止措置を講ずること、表現活動を行った者の氏名や表現活動の概要等を公表すること等を定めた条例が設けられている。

 以上のような他の自治体の取組をも参考に、本意見書では、ヘイトスピーチ根絶の必要性と表現の自由の保障の必要性の均衡に配慮したうえで、東京都条例や愛知県条例と同様に、ヘイトスピーチの拡散防止措置及び表現活動についての認識等の公表を行う制度の創設を提言する。

ウ もっとも、市民生活のあらゆる場面における表現活動が右制度の対象となるとすると範囲が過度に広汎になる懸念もあるため、これらの制度の対象となる表現活動については行為態様について限定を施し、いわゆるデモや街宣及びインターネット上で表明されたものに限られることとすべきである。

エ 拡散防止措置の具体的な内容としては、ヘイトスピーチに該当する表現活動が前掲のような行為態様で行われた場合、こうした表現活動が記載された看板や掲示物について撤去依頼を行うこと、あるいはヘイトスピーチに該当する表現活動の書き込み等がなされたインターネットサイトを管理するインターネットサービスプロバイダ―等の事業者に対して、これらの書き込み等の削除を要請することとすべきである。

 こうした撤去依頼や削除要請については、法的強制力を伴わないものの、自治体からの要請があることで積極的に撤去や削除に応じることが期待できる。

オ 認識等の公表の制度の具体的な内容としては、ヘイトスピーチに該当する表現活動が前掲のような行為態様で行われた場合、札幌市は、当該表現活動が行われた日時、場所及び表現活動の概要、当該表現活動がヘイトスピーチに該当する旨の札幌市の認識及び表現活動の拡散を防止するために講じた措置の概要を公表するものとすべきである。

 こうした認識等の公表を行う目的は、ヘイトスピーチと認定した表現活動について、事案の概要、それがヘイトスピーチに該当するものである旨の自治体としての認識、拡散防止のために講じた措置等を公表することで、こうした表現活動がヘイトスピーチであり許されないものであるとの認識を札幌市民の中で共有することにある。

 もっとも、表現活動の内容によっては、それを公表すること自体が二次加害を惹起しうるなど、ヘイトスピーチの根絶という本条例の趣旨に沿わない結果となりうることが見込まれる場合等は、当該表現活動の内容については公表しないことができるものとすべきである。

(3) 審査会の設置

 拡散防止措置及び認識等の公表の制度を実施するに際しては、行政による恣意的な判断を回避しヘイトスピーチの根絶と憲法上の表現の自由の適切な調和が図れるよう、表現の自由、人種差別の撤廃等に関し専門的知見を有する者(学識経験者、法律実務家等)によって構成される審査会を設置することとすべきである。

 そして市長は、拡散防止措置及び認識等の公表の制度の実施にあたっては、この審査会から意見聴取をすることが義務づけられ、ヘイトスピーチの認定の判断に際して審査会の意見を尊重しなければならず、仮に審査会の意見と異なる認定を行う場合にはその理由を公表しなければならないこととすべきである。

 また審査会は審査を行うに際しては、対象となった表現活動等を行った者に対して、必要に応じて意見申述の機会を与えることができるものとすべきである。

さいきんの札幌市と北海道の動向


杉田水脈議員アイヌ民族侮辱、札幌市長「許されない」 北海道新聞2023年9月21日

アイヌ民族への投稿問題「残念」道議会で知事 北海道新聞2023年2月22日
共生社会へ 当事者ら意見 札幌市、条例制定へ検討委初会合 北海道新聞2023年11月8日

(仮称)ユニバーサル展開プログラムの策定及び(仮称)共生社会推進条例の制定について


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