自己投票の話

「やって後悔することと、やらずに後悔することの選択ならば、労力が無駄でしかないからやらない方がはるかにマシだ。」

「だが。」

「やって満足することと、やらずに満足することの選択ならば、断然前者を選ぶべきだ。」


おはよう。こんにちは。そしてこんばんは。
物申し系プロ雀士の厚谷です。

今回のテーマはタイトルの通りです。

黒木さんをはじめ、色々な方がこの件について発信しているのでもう飽きてきた頃かとは思います。

完全に個人の意見ですのでそれでも良いという方は続きをどうぞ。
読んでくださった上での異論反論は歓迎です。

●自分への投票の是非

現在、麻雀最強戦ではファン投票による出場枠が設けられており、獲得票数が最も多い1名に出場権が与えられます(2~9位にはまた別枠の参加枠が追加予定)。
で、発端となったのはこちらのツイート。

結論から言いますと、僕は大賛成です。

自分が持っている力を注ぎ込んでチャンスをつかみ取ろうとしてる姿、素晴らしいじゃないですか。
原えりかさんを「関西の連盟員」くらいの認識しかしていませんでしたが、もう一生忘れられないくらいのインパクトがあるじゃないですか。


★自己投票と公開の意味

今の麻雀最強戦のシステムだと、AbemaTVの対局に出られるのはMリーガータイトル獲得経験者、そして別方面でも知名度がある「インフルエンサー」と呼ばれるプロといった方々でほとんどの枠が占められています。無名の新人がこの舞台に立つには「全日本プロ予選」の狭き門を通過するしか道はありません。

その上で麻雀最強戦での対局に価値を見出したのならば、自分の力で狭き門をスルーできる可能性を最大限まで高めようとすることは、割と普通のことではないでしょうか。

さらに言えば、このタイミングで自己投票ツイートをしたことで、原さんに大きなメリットが生まれていると考えています。

1.終わってから文句を言われることが少なくなる

投票期間中は自分に投票していたことを隠し通していたとしても、後々明るみになって批判される可能性があります。
批判で最終結果が変わることはないでしょうが、終わった後にグチグチ言われるよりは先に言われた方がはるかにマシだと考えます。

2.話題になる

今回の件で原さんを初めて知ったという方が多いでしょうし、今回の投票についても広く知られることになったかと思います。
端的に言えば、原さんへの更なる追加の投票が見込めます。
否定的な意見があるのは当然ですが、否定したところでマイナス票が投じられるわけでもないので、実質的なデメリットはゼロに等しいです。

「自分は麻雀で選ばれて出場する!」という考えもあって然るべきです。ですが、雀力も資金力も人間力も全て等しく「自力であり地力」です。
麻雀という実力が結果に反映されづらい競技、加えてプロ雀士という存在が増え続けている今の環境において、雀力だけでのし上がり結果を残すことは茨の道と言っても良いでしょう。
ならば与えられたチャンスを全力で獲りにいくことも、一つの「プロとしての在り方」と言えるのではないでしょうか。


★ルールの範囲内での自由

「ルールの範囲内なら何をしてもいいのか」という意見も散見されました。この意見があるのも当然です。

いわゆる性善説に委ねられていて細かく決まっていないルールが人間社会の中には無数に存在し、麻雀という競技はその極地とも言えるものだとも思います。

極端な例を挙げれば、時間制限アリの時に東1局に和了して残り時間を長考で消費していいのか、とか、役満放銃回避のためにわざとチョンボするのはアリか、とか。
上記の行為は、明確にルールで禁止されている内容ではないですが、99.9%以上の人はアウトだと判断するでしょう。

翻って、自分への大量投票はどうでしょうか?
僕の中ではかなり白に近いグレーです。

僕の感覚を無理矢理に麻雀に例えるならば…
2人勝ち抜けのトーナメント1半荘勝負の東1局、まだ最序盤の4巡目くらいで下家の手牌に2枚切れの字牌があるのが見えてしまった。
そして同巡に自分はメンホン聴牌、普段なら変則三門張に受けるところを見えた字牌の地獄単騎で受けて立直した、みたいな。

勝ちにこだわるならやってもおかしくないよね、といった感じでしょうか。
個人の美学等の理由でやらない場合でも納得できます。

もちろんこの感覚は人それぞれだと思うので、チョンボレベルだと思う方もいるでしょう。ですが主催者側が何も言わない以上は認めざるを得ないし、「人としてどうか」みたいな曖昧な定義を論じるのも無駄でしかないのかな、と。
そもそも販売数が大幅に増加したので出版社的には禁止する理由がなさそう。

一言でぶっちゃけ言えば、「Amazonの在庫が枯渇した以外は誰にも迷惑かかってないんだしいいんじゃね?」って話です。

ちなみにコンビニに在庫がないこととAmazonでの買い占めは関係ありませんからね。脱線するので詳しくは書きませんが(端的に言えば普段の販売部数が少ないのが悪い)


★麻雀最強戦出場の価値

麻雀プロ活動への力の入れ方は個人のより大きく異なる部分でありますが、AbemaTVで放送される麻雀最強戦出場はその後の活動に良くも悪くも大きな影響を及ぼします(ソースは俺)。

出場した際の振る舞いや発信力、そしてもちろん麻雀の内容に左右されますが、長い間麻雀プロとして生きていこうと思っているのならば、500冊分の金額は割に合っている先行投資と思えます。

個人によって価値観は大きく異なる上に、麻雀業界に関わりがなければAbemaTVで麻雀最強戦の卓に着くことの価値を理解するのはさらに難しくなりますし、システムへの批判も多いのも事実です。
ですが、無料で視聴できて大勢に観てもらえる可能性が高いコンテンツであることは紛れもない事実です。
無名の新人でも出られる可能性がある対局としては比肩するものがないコンテンツだと思います。


★大変なのはここから

目論見通りに獲得票数を稼いで麻雀最強戦に出場できたとしても、いざ対局で未熟な麻雀を晒してしまっては全ての行動の意味が水泡に帰します
本当の闘いはここからです。

投票という全く別の手段で得たチャンスとはいえ、「麻雀最強戦」であることと、数多の麻雀プロがその椅子を狙っていることを決して忘れないでいてほしいです。

応援しているぞ。原えりか。


長々と書きましたけど、僕の意見は白鳥さんのツイートに全て集約されてます。
全くもって同意見です。白鳥さんのこういうところ大好き。

今回のnoteは以上です。

今回の件のツイートを見たり周りの人に意見を聞いたりしましたが、麻雀プロかどうかに関わらず肯定否定どちらの意見もたくさんありました。
それくらい人によって意見が分かれる内容だということが伺えます。

僕自身、投票のシステムや後出しでの追加対局など疑問に思う点はあります。
が、今のところは若者の勇気ある行動を一人の先輩としてただ見守りたいと思います(謎の上から目線)。

ご拝読、ありがとうございました。

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