少子化対策は「子供だけの公園」。
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:少子化の真の原因は、「いま、子供が生まれても幸せになれないかもしれない」という、大人が無意識のうちに抱いている確信なのかもしれない。犯人は、そう、インターネット社会だ。荒唐無稽な仮説を解いてみる。
子供しか入れない公園
パリのレ・ホーレ地区(Les Halles district)には、大人は立入禁止の子供だけの公園があるんです。
この公園は子供しかいないから、必然的に子供同士の交流が始まり、仲良く遊び、時にはケンカもおこります。
今日の結論は「少子化ストップは、こういう大人禁止の子どもだけが遊べる公園をたくさん作ること」です。
ニューヨーク・タイムズWeekly2024年3月31日号はChildren need better places to go than the Internet (子どもたちに必要なのはインターネットのない場所)という記事で、「SNSやテキストメッセージの交換などでスマホの画面から片時も離れない子どもたちを解放しないと、大変なことになる」と警告しています。
この記事の詳細はまた後日紹介しますけれど、ひとつニューヨーク・タイムズが、「子供をスマホから開放する理想的な場所」、としているのが、このパリにある大人禁止・子供オンリーの遊び場なんです。
ここは子どもたちだけの楽園で、広い公園で開放感にひたれば、子供はスマホなんかやりません。
そこで子供本来の交流だったり、居場所作りだったり、コミニュティ参加活動だったりが始まるのです。
英語で言うとインタラクション(相互作用)ですよね、これが活発になるのです。
それはひとえに、スマホのない環境だからです。
スマホが奪う子どもたちの将来
僕は、トランプが出てきてから、ずっと不思議に思っていることがあるんですよ。
アメリカはどうしちゃったのか、って。
ここ10数年、リーダーがいないでしょ。
それを最も顕著に物語っているのが、今回の大統領選の予備選ですよ。
共和党の予備選、みぃーんなトランプを選んでいる。
民主党もバイデン。
他に誰もいないんです。
僕は20年に及ぶデジタル時代で、人は対面でなくスマホの画面でコミュニケーションをとりたがるようになって、コミュニケーション能力、対話力、リーダーシップの発揮のしかたなどが極端に弱くなったからではないか、そう思っているんです。
もちろんこれはアメリカだけのことではありません。
教室でも、教師の話など聞かないし、友達と食事をしていても皆がそれぞれスマホの画面を覗き込んでいるだけ。
会話もないし、コミュニケーションもない、双方向のやり取りなんて、もう死滅している。
これじゃあ、リーダーシップはおろか、ささやかな人間的魅力だって身につくわけないですよね。
Z世代の行動様式がどうのこうのと言っているけれど、結局人間は環境の産物であり、かわいそうに彼ら彼女らは、インタラクションから生まれる、本来あるはずの人間の闊達な野性味のある外向性を失っているだけなのです。
暇さえあれば人とのつきあいでなく、手元のガジェットの小さな画面を覗き込む、こんな現代に、人をいい意味でたぶらかすようなリーダーが出てくるわけないのです。
Z世代は、「自分に閉じこもる評論家」というよりも、インターネットによってスマホに閉じ込められ精神と肉体の活性を失った孤児であり、時代の犠牲者なのです。
自治体はスマホのない公園をたくさん作れ
将来の世界のために必要なのは、冒頭お話したフランスの公園、です。
そこが人間性を取り戻す場所です。
公園に限りません、学校もスマホ禁止でいいし、ネット禁止のカフェ、スマホなしで一見さんが集まる集会所、なんでもいいから作りましょう。
スマホフリーの公園を作りましょう。
そうすれば、子供を持つか悩んでいるあなたも安心、ですね。
世界に1万箇所そんな場所ができれば、戦争もなくなるかも、です。
野呂一郎
清和大学教授
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