知的障がいの夫①〜『障がい』というより『個性』だった〜

私の夫は軽度の知的障がいをもっている。ランクでいうと一番軽度だ。目には見えない障がいのため日常生活で彼に障がいがある事に気づくのは、本当に一部の人だろう。何か気づいたとしても『あの人ちょっと変わってる』くらいに思うだけだ。

私は彼本人から知的障がいがあることを伝えられ、了承して結婚した。だけど当初は『他の人にばれたくない』という思いが強く、自分の友達に夫を会わせるのをためらっていた。しかしある時、急に我が家に友達が来る事になり、夫も一緒に飲み会に参加する事になった。すると予想に反して夫は普通に女性陣の輪になじみ、溶け込んでいた。この経験から『私が思ってるほど誰も気にしない』という事に気づき、友達や会社の人との交流の場に夫と一緒に行けるようになった。しかも彼は上下関係や大人として振る舞わなければといった固定概念がないため、初対面の誰とでもフレンドリーに話せるし、大抵は『良い人』認定される。人の目をけっこう気にしてしまう私からしたら羨ましい限りだ。これを知的障がいでIQが低くて子供っぽいからだと言ってしまえばそれまでだが、彼の優しい性格と縛られた考えに捕われずにのびのび育ってきたから出来上がったものだと私は思う。だから彼の他の人と違った点は『障がい』ではなく『個性』だと思っている。

しかし、私はたびたび自分の常識に彼を当てはめて『なんで大人なのにそうゆう振る舞いしかできないの?』と攻め込んでしまう。特に妊娠した当初は酷かった。子供のためにも周りからきちんとした大人に見られて欲しいという私の願望が強かったのだ。夫は自分なりに『大人のふるまい』について考え、妊娠中の私を気づかって家事を率先して全て行ってくれたり、私の調子や機嫌を伺ったり…。そんな彼を見ていて『私のやってる事は、夫を自分の思い通りにしようとしてるだけだ。そんなのはやってはいけない事だし、子供が産まれても楽しい家庭にはならない』と気づき、自分の常識に当てはめて夫を責めるのを辞める努力をしている。私の望みはこの先も夫と幸せな人生を歩むことだから…。

これから先も周りと違っていても恥ずかしいと思わず、彼が理解できずに迷っていたら私が助け、私が出来ない事は彼に助けてもらいながらこの先もずっと一緒に居れたら良いなと思っている。まだまだ私が未熟なので、彼の全てを受け入れる大きな器はできていないが、これからも大好きな夫を大切にしていきたいと思った。

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