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まだあるさ 未読の彼の作品が    オールドパンク、哄笑する  チャールズ・ブコウスキー短編集  鵜戸口哲尚(訳)

チャールズ・ブコウスキー

動画共有サイトでは、登録してくれ登録してくれとうるさく云ってくる人たちがいる。
そのような人たちの云うとおりに登録する視聴者っているんだろうか。
いるんだろうな、きっと。
世界のクロサワ、なんてよく聞くけど、黒澤明ってそんなに才能があったんだろうか。
あるんだろうけど、僕にはあんまりよくわからない。
クロサワの映画作品を観たことあるけど、はっきり言って世界中で云うほど面白い作品だとは思わなかった。
くだらなくは無いが、みなが云うほどのモノか?と正直いって思う。
時代のせいだろうか。
同時代で彼の映画に触れていたら、何かが違っていたのだろうか。
僕はどちらかというと、クロサワよりもオズだ。
小津安二郎の映画は、おもしろいと思う。
時代は違うが、リアルタイムでもちろん知らないが、小津の映画は何度も観てしまう。観ているとのめりこむ。惹き込まれるものがある。
黒澤明が三船敏郎なら小津安二郎は原節子だろうか。
山田洋次が渥美清だったように。

決して大勢に阿らない作家がいた。
ブコウスキーのパンク魂に救われる。
酔っ払って書いていると感じる。
今読んでいる一行と、前の一行、次の一行が千鳥足でもかまわない。
辻褄が合うとか合わないとか、整合性だとかはこの人の頭にはない。
そこにあるのは衝動のみ。
書きたいことがあるのだ、とにかく。
チャールズ・ブコウスキーにとって書くということは「人生」であり、生きるための理由だった。
かっこいいとか悪いとか、そんなことに頓着しない、そのかっこよさ。
読んでいるといつの間にか自分も酔っている。
安い酒でけっこう、グラス片手に読んでいたいブコウスキーの本である。
当世風の安直な金儲けや、みんながいいと云っているからといって容易になびく考えなんか、一切持ち合わせていないように見える。
その孤高さ。

いつも姿勢が見えるのだ。
ブコウスキーの、小説に対する姿勢が。
その真摯な姿勢が。
僕はそのアティチュードに心を打たれる。
時にハチャメチャで天井がぐるぐる廻っているような世界でも、僕はブコウスキーの、物を書くというまっすぐな目線に心を打たれる。毎回だ。

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