見出し画像

マイコーピング株式会社を創業しました

「とくさん」こと徳政憲和は、マイコーピング株式会社を「創業」しました(法人設立は2019年8月)。7月にアドビ株式会社を退職しており、本日よりマイコーピング株式会社の代表として本格的な活動を開始します。

私が19歳からずっと苦しんでいた不安の問題を解決してくれた認知行動療法。その中核となる概念の一つがコーピングです。不安にただ翻弄されるだけでなく、対処する方法(=コーピング)を身につけたことが、私の人生を大きく、良い方向に変えてくれました。

だからこそ、もっと多くの人が「自分自身のコーピング」を身につけ、人生を前に進めて欲しいという願いを込めて、社名をマイコーピングとしました。

(社名に込めた私の想いを美しく表現したロゴを、デザイナーの百束ひとみさんが作ってくれました。百束さんありがとうございます!)

なぜマイコーピングを始めようと思ったのか?

私自身の「不安に苦しんだ」15年間と、それを乗り越えた体験を通じて成し遂げたいことについてnoteを書いたのは2018年の9月になります。

この記事をきっかけに、「とくさん」名義で、ツイッターnote、cakesの連載「こころを使いこなす技術」などを通じて、「認知行動療法とは何なのか?」「どんなところが優れているのか?」「どうやったら身につけることができるのか?」といった内容について、私自身の実際の体験を踏まえた発信を続けてきました。

とても嬉しいことに、これらの発信には、たくさんの好意的な反応をいただきました。

昔の私と同じような悩みを抱えた方から「発信に励まされました」「すごく参考になります」「もっと認知行動療法のことを知りたいです」とツイッターやnoteにリプライやコメント、そしてDMが頻繁に届き、多くの人が抱える心の問題の解決にもう一歩踏み出していきたいと思うようになっていきます。

さらに、こんなことがありました。プロジェクトを進める中で訪問した企業の責任者の方から「実は」と相談を受けます。社員のKさんが長期間に渡って休職しており、なんとか彼を助けられないでしょうか、と。

そこで、プロジェクトに関わってもらっていた臨床心理士さんをすぐ紹介したところ、彼女が働いているクリニックに通い始めたKさんは、数カ月後には仕事に復帰して、新しい挑戦を始められました。

これは私にとって本当に嬉しいことでした。認知行動療法のカウンセリングを通じて、大きな可能性を持った若い人が、再び自分の望む人生に向けて一歩を踏み出すことができた。

この素晴らしい体験をもっと多くの人に届けたいと、あらためて心の底から思いました。私はいま44歳です。今までの仕事で得た知識や経験も活用しながら、キャリアの後半戦をこの挑戦にかけていく決心が固まっていきました。

そして、この決心を強固なものにしてくれたのが、Kさんを救ってくれた臨床心理士の岩間優子さんの存在です。彼女は、プロジェクトに参画してくれる臨床心理士の方を2年前に募集した時にすぐ連絡をくれて、それからずっと関わり続けてくれています。

また、岩間さんは、イギリスの大学院の修士過程修了後、日本で臨床心理士として認知行動療法をベースにしたカウンセリングを10年以上臨床の現場で実践してきました。

カウンセリングのプロとしての確かな技術と、苦しんでいる人を優しく受け止めて支えていく人間性。その両方を兼ね備えた岩間さんが、パートナーとして並走してくれるからこそ、私も大きな一歩を踏み出す決心ができました。二人で目指す未来に向けて一歩ずつ進んでいきたいと思います。

画像1

写真: 金子睦

※今年の3月に代々木公園で取った岩間さんと徳政の写真です。まだ穏やかだった世界…

マイコーピングが目指すもの

ふと今でも思う時があります。「19歳の私が認知行動療法に出会っていたら人生変わっていただろうな」と。ネガティブな思考のループを断ち切る方法を、19歳の時点で身につけられる機会があれば、その後の人生をもう少し前向きに、そして穏やかに過ごすことができたと思います。

この想いをもとに、マイコーピングは「心の問題を予防的に解決するサービス」を提供することを目指します。そのツールとして、認知行動療法やマインドフルネスといった、科学的にその効果が実証されている方法論を活用していきます。

心理学者のマイヤーズは、こう書いています。

予防的メンタルヘルスは上流の仕事だ。原因となる状況を突きとめて何とかすることで、心の犠牲者数を予防的に減らすことに努める。
「マイヤーズ心理学」D・マイヤーズ P559

マイヤーズがここで述べているように、心の問題で立ち直れなくなるその「前に」、ストレスに上手く対処していく(コーピング)のスキルをもっと多くの人に身につけてもらうことが、私のように長期で苦しむ人を減らすことに繋がります。よって、マイコーピングは「予防」に注力していきます。

この目的を達成するために、まずは、良質な情報を提供していきたいと思います。

認知行動療法は、メディアやインターネットなどを通じて、以前よりは広く知られるようになってきていますが、まだまだ多くの人には馴染みが薄い方法論です。

私のツイッターのDMにも、「認知行動療法の良いクリニックを教えてくれませんか?」というメッセージをよく頂きます。確かにGoogleで検索をかけても、どこのクリニックに通えばいいのか、それをどう身につければいいのか、といった情報は綺麗に整理されているとは言えず戸惑ってしまいます。

この点については、私自身が「ユーザー」だった経験を踏まえて、治療者側からだけでない、ユーザー視点の情報発信をさらに強化していきます。

さらに、認知行動療法だけでなく、マインドフルネス、レジリエンス、ポジティブ心理学など、最新の研究成果も踏まえながら、ストレスにうまく対応していくための実践的なスキルや情報を伝えていきます。

次は、オンラインでの「予防プログラム」の提供です。

これについては、岩間さんの認知行動療法をベースとしたカウンセリングを、オンラインで提供していくための準備を始めています。ストレスを感じるとうまく仕事や生活ができなくなってしまう人を対象に、その対処法を身につけてもらうことを目指します。

認知行動療法はなにより「実践」が重要ですので、岩間さんのカウンセリングを通じて、その手法を実際に身につけていく人を少しずつ増やしていきたいと思います。認知行動療法の経験が豊富な他のカウンセラーの方にも声をかけていますので、プログラムの質をじっくりと改善していきながら、多くの人に体験してもらう体制を作っていきます。

さらに、オンラインでのプログラム提供を磨き続けることで、ソフトウェアの開発など、テクノロジーをうまく活用していくことで、もっと多くの人に認知行動療法を届ける方法も探っていきたいと考えています。

ビジョンとミッション、そして私の想い

この2年間の活動と、マイコーピングで目指すものを踏まえて、ビジョンとミッションを、こう定めました。

ビジョン
だれもが自分を信じて、持っている力を発揮できる社会を創る

ミッション
悩み苦しむ人が、その対処法を身につけ、自ら歩み出すことを助ける

私が長く格闘してきた不安の問題を解決した後に思ったのは、「不安がないと、こんなに毎日が自由で楽しいんだ。やりたいことができるんだ」ということです。

不安が襲ってくる毎日を過ごしていた時は、仕事の時はもちろん、親しい友人と楽しく飲んでいる時ですら、心がざわつき落ち着いて過ごすことができませんでした。飲み会で聞く友人の活躍が、「それに比べて自分はダメだなあ」というネガティブな思考のループにつながったりしていたからです。

それが、認知行動療法によってストレスにうまく対処する方法を身につけたことによって、そのループを自ら断ち切ることができるようになりました。

どんな生活を送っていたとしても、ストレスに直面することは不可避です。なので、ストレスと正面から戦うのでなく、目を逸らすのでもなく、それにうまく対処していくことが大切になってきます。

マイコーピングの「予防プログラム」によって、悩みがちな人がその解決策を手にして、自分が望んだ道に向けて歩んでいく。自分が持っている力を十分に発揮していく。こういう世界を作っていきたいという想いをビジョンとミッションに込めました。

一方で、いきなり不特定多数の多くの人を助けようとせずに、目の前の「ひとり」に常にこだわりたいと思っています。ひとりの「ラクになった!」が積み重なり、それがいつの間にか多くの人を助けていく。これが我々の目指すところです。

マイコーピングはまだ一歩を踏み出したばかりです。理想は大きく掲げますが、行動は身近で小さなところから始めます。ミッションに忠実に誠実に行動を積み重ね、ビジョンに定めた「目指すもの」に到達できるようチームで頑張っていきたいと思います。ぜひ応援して下さい!!

---------------

マイコーピングでは仲間を探しています。特に、我々の挑戦に賛同いただき、「認知行動療法にもとづくカウンセリングのオンラインでの提供」に関心をお持ちの臨床心理士/公認心理師の方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡頂ければ嬉しく思います。

ご連絡は、以下のお問い合わせフォームもしくは私のTwitter DMへお願い致します!


記事を楽しんでいただけたでしょうか。シェアいただけたらとても嬉しいです。