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6つのステップで心を使いこなそう!

前回の記事では、私の経験を交えながらiPhoneやEvernoteを上手く活用して日常的に「メモする」コツを紹介しました。

今回は、「こころを使いこなす」ための6つのステップに触れます。今まで紹介してきた考え方も踏まえて、どんな順序で学んでいくことでうまく悩みに対処できるようになるかを整理したいと思います。

「こころを使いこなす」6つのステップ

まず「こころを使いこなす技術」は以下のように6つのステップとしてまとめられます。

出発点となるのは、「メモすること」です。私の海外出張の準備の例のように、ストレス状況とその時に考えたこと(認知)や感情、身体反応、行動などについてまずはメモしてみることで自分の悩んでしまう状況が「可視化」されます。

次のステップは「悩みを見つめること」です。何回かメモをつけていくことで、自分の悩みに傾向やクセがあることが見えてきます。「認知の歪み」で紹介した「0か100か思考」のように、ストレス状況に置かれた時に出てきがちな自分の思考のクセを掴むことが重要です。

そして、悩みを見つめることで課題の構造が見えてきたら、「目標を定めます」。自分が抱えている悩みを解決した時にどんな状況になっていたいかをイメージして、それを目標としてきちんと言語化します。自分がどんなゴールに向かって努力していくのかが明確になるので、とても大切な作業です。具体的なやり方については、私の経験をもとに後で分かりやすく説明していきます。

ここまで来れば解決に向けて実践していく準備が整います。次のステップは「悩みの解決技法を学ぶ」です。認知行動療法では、「認知再構成法」「コーピングレパートリー」など心の問題解決の手法が数多く開発されていますので、まずその手法について学びます。

そして、「実践」に入っていきます。ストレス状況というのは日常的に襲ってきますので、その瞬間をメモし、ステップ4で学んだ解決技法の助けを借りながら問題解決のノウハウを身に着けていきます。

最後に、「効果を検証」していきます。日々実践を続けていると、自分が以前よりストレス状況にうまく対応できているなと感じられるようになってきます。この効果を振り返ることで、そのノウハウが自分に定着していきます。

ところで、この6つのステップはビジネスでよく語られる「問題解決」の技法に似ていると思いませんか。例えば、この記事で「トヨタ流問題解決の8ステップ」として紹介されているものも、課題の特定・分析→目標設定→対策の立案→実行→効果検証、と同様のステップを辿っています。

「心の問題」というとどこか抽象的で取り扱いにくいものとして考えがちですが、ビジネスの課題を解くのと同じように、決められたステップに沿って課題を発見し、目標を定め、解決策を粘り強く実行していくことで大きな成果につながります。これは、私が約2年間カウンセラーの方と併走しながら、自分の心の問題を解決してきた経験からも実感しているところです。

目指すゴールを決めよう!

さて、こうして「こころを使いこなす」ための6つのステップが明確になったところで、今回はステップ3の「目標を定める」部分についてもう少し詳しく説明したいと思います(ステップ4-6については次回以降詳しく説明していきます)。

目標を定めるには、いま抱えている課題を詳しく知ることが大切です。私も日々のストレス状況についてメモし、それを振り返りながら、自分がどんな思考のクセを持っていて、それが自分をどう苦しめているかについてカウンセラーの方と一緒になって分析を進めました。

私が実際につけていたメモをいくつか見てみましょう。

状況: 別チームの同僚の態度が最近冷たくなったような気がする。
考え: 自分のやり方がまずくて、そのチームの一人にタスクをかぶせたりする状況になってしまっているのが伝わっているのでは。。自分のことで陰口たたかれているのではとおもってしまう。しかも実績あげてないことがマネージャー間とかで共有されると、リストラ対象になるのでは。。。
感情: 不安(70) 動揺(70)

状況: 今自分がリードしているプロジェクトを進める上で必要なタスクを先週末話したところ、部門長が否定的だった。今週課長と一緒に話しをもっていく予定だったが、課長が体調を壊し当分来られなそう。
考え: どうやって話をもっていくか悩むな。正直うまく進められる自信がなく、MTGの設定をしてしまえばいいのだけれど、否定されたらと考えて前に進めない。。どうしたらいいだろうか。
感情: ためらい(70)

状況: 朝目覚めが悪い。7時半までおきれず、朝食後ももう一度布団に。10時からミーティングがあるのでなんとかぎりぎりに家をでる。体が重く気分も悪い。
考え: 仕事の心配がおおきいのかも。急に体調が悪くなってきて、気持ち的にも沈んでいる。投げやりな気持ちになりかけてるからまずいな。
感情: だるさ(80) 不安(80)

こうした並べてみると、そこに共通の傾向があることが分かると思います。「不安の悪循環」とでも呼べそうな、不安が不安を呼び、結果として無気力になっていくというサイクルが私の大きな課題でした。

こうしたメモと、過去の受験、留学、就活、転職などで直面した失敗体験を踏まえてまとめた私の問題の構造は以下のようなものです。

1.人に文句を言われたり、やることが多いと、迷ったりうまくいくか不安になってしまう
2.不安になると決断を先延ばしがちになり、さらに迷いと不安が強くなっていく
3.迷いと不安がぐるぐると頭から離れなくなり何もできなくなっていく
4.何もできない自分に絶望し、過去を後悔したり自分を責めたりしてさらに深みにはまっていく
5.行動を完全に放棄してしまい悪化する状況をただ無気力に見つめるだけになる

このサイクルは浪人時代から繰り返されていて、受験の直前で完全に勉強を放棄してしまったり、海外留学している時に授業に出れなくなり毎日部屋で悶々としていたり、と大事な場面で自分を苦しめてきていました。

上に挙げたメモの例でも、同僚の冷たい態度や部門長の否定的なコメントから不安が生まれ、それが別の不安をさらに呼び込む悪循環になっているのがよく分かると思います。

こうして「不安の悪循環」を言語化したことで、それにうまく対応できるようになることが「目標」として明確化できるようになります。以下がカウンセラーの方と作り上げた私の「目標」です。

1.「決断への迷い」や「未知なことへの不安」などネガティブな思考、認知が生じたらできるだけ早めに気づけるようになる
2.ネガティブな思考、認知に気づいたら、早めに切り替えたり、別の客観的で説得力のある見方を検討したりできるようになる
3.問題の対処のために、先延ばしや回避以外の対処行動を取れるようになる

いま振り返っても、こうして目標を定められたことはとても大きかったです。それまでは、自分がなぜ悩みのループから抜け出せなくなり、結果として何もできなくなってしまうのかよく分かっていませんでした。なので、ストレス状況に直面するたびに無力感を感じていました。

それが、自分のメモやカウンセラーの方との対話を通じて、自分の問題は「決断への迷い」と「未知なことへの不安」にあるんだ、と納得感ある形で明確に言語化できたことで、気持ちがすごく楽になりましたし、それを解決してやろう、という強い動機も持てるようになりました。

ということで、課題の構造を明確にし、目標を決めることもできるようになりました。次回は具体的な「問題解決の手法」に入っていきたいと思います。お楽しみに!

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