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グローバル経営の極北 @note

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ブログ「グローバル経営の極北」の人気記事を再編集してまとめています
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#経営

YouTubeで「本物の」経営と英語を学ぼう

この記事で紹介したように、無料の「文書」はネットに多くあるが、同様に有益な「動画」もたくさんある。そこで、今回は経営やビジネスの本質に気づかせてくれる優れた動画を紹介したい。 革新的なことをしたいなら「ナウイスト」になろういまはMITメディアラボの所長を務めるJoi Itoのこの動画は、インターネット時代の本質を改めて見事に表現している。特に、事業は「MBA主導からデザイナーやエンジニア主導に変わった」と述べ、深センの子供達が携帯を「アジャイル」的にどんどん作っていく事例を

「データ経営」の前にまずマネーボールを観よう

映画「マネーボール」はデータ経営を考える上でとても良い教材。いまや、猫も杓子も、という感じで「データを経営に活用すべきだ」とみんな大騒ぎしている。ただ、経営にデータを活用する上では、優れたデータ分析家を揃えるだけでは不十分。いくら高度で有益な分析ができたとしても、それが「現場」を納得させ、彼等が自律的に動くように仕掛けなければ成果は出ない。この課題とその解決策の示唆をマネーボールを与えてくれる。 アスレチックスのGMビリーは、エール大卒のピートを雇い入れ、セイバーメトリクス

「決められない」シャープの迷走を笑えない理由

注)この記事は2016年2月21日の別のブログの記事を加筆・修正したものです シャープの経営が迷走している。産業革新機構による支援でほぼ決まりとなっていた状況から、鴻海が7,000億円と機構案を大きく上回る金額を提示し、一点鴻海案が有力と噂されている。こうした事態に対して多くの人がシャープの経営の「稚拙」さを指摘(揶揄)し、決断できない経営陣を批判している。 しかし、このシャープのケースは、個別企業の経営陣の稚拙さ、という観点でなく、日本企業がはまりがちな構造的な観点から

中途採用者にすぐ活躍してもらうコツとは?

ハーバード・ビジネス・レビューで、新規の採用者をどうやって組織にうまく順応させていくか、というなかなか面白いテーマの記事があったのでご紹介。 まず、70の心理学研究をメタアナリシスしたこの論文では、自分がその組織に「受け入れられている」と感じることが、組織での成功で重要な要因であることを示している。それに関連し、インドのソフトウェアエンジニアに対して実施された研究では、組織に「受け入れられている」と感じている社員ほど積極的に情報を求める行動をすることが明らかにされている。

SUITSのドナみたいな人が組織に必要な理由

SUITSのドナ(ハーヴィーの秘書)の存在ってすごく面白くて、経営を考える上でも示唆があります。 ドナのところには、ハーヴィーに限らず事務所のみんなが、雑談しに来たり相談を持ちかけに来ます。で、ドナは軽妙な冗談を飛ばしながら、みんなの話を聞いてあげるし、お悩みごとも前向きに受け止めてくれます。「それならためらってないでルイスに頼めばいいじゃないの」みたいに、問題解決の後押しまでしてくれたりする。 こういうドナみたいな存在って組織においてすごく重要なんですよね。組織の人たち

グローバル企業はなぜ「従業員重視」に舵をきっているのか?

日本でも、外資系といえばリストラ、と多くの人が思っているように、欧米グローバル企業は年次評価のレーティング(通称パフォーマンスレビュー)を行い、下位10-20%をリストラの対象とする会社が多かった。しかしこの人事評価の仕組みに最近変化が起きている。 例えば、この記事は「パフォーマンスレビュー」をやめて新しい人事評価制度を構築した大手米企業6社(GE, Cargill, Eli Lilly, Adobe, Accenture, Google)の取り組みを紹介している。例えばG

なぜ目標を立てることが成功の秘訣なのか? 産業・組織心理学から読み解く

今日は最近じっくり読んで勉強しているこの本のご紹介。 経営管理の仕事をしていると、組織や人のマネジメントに長けているマネージャーとそうでないマネージャーがいることに気づく。そして、マネジメントが得意なマネージャーは必ず何かしらの「方法論」を持っている。僕もマネジメントの経験を積むにつれて、そういった「成功モデル」をいくつか持っている。これらの方法論の理論的背景を勉強したいなと思っていたのだが、この本はまさにその要望にぴったりで、非常に勉強になる。 明確で困難な目標を設定す

総合商社マンKさんのこと。そして「商社冬の時代」は巡るのか?

Sさんのことについて書いたら、メーカーで海外営業をやっていた時のことを懐かしく思い出した。その頃の数少ない同世代で、楽しく一緒に仕事した総合商社のKさんについても書いてみたい。また、総合商社の強みとはなんなのか、という考察も少し加えている。 Kさんは「川があったら泳いで渡る」総合商社の人で、僕より2歳年上。紙・パルプ産業の部署で、その頃は関連子会社に出向していた。僕のいた新規事業はある特殊な塗布技術の開発に成功し、それをプレミアム用途の紙として商品化していた。その販路として

偉い人と「うまくやる」ための3つのコツ

私は参謀的な仕事をしてるので、よく「えらい人」と話をします。そこでのコツは「相手の目をみる」「相づちを打つ」「相手の言ったことを適語でまとめる」です。 えらい人は基本的に孤独です。そして話を聞いてほしいタイプです。プライドも高いです。だってえらいんですもの。 だから、まずは全身で聞いていますよ感を出します。でも、ただ聞いてるだけだとバカと思われますから、適語で相手の話を要約する。「そうっ!」って身を乗り出してきたら勝ちです。 と言われてもあまりピンとこない人も多いかと思

日本のビジネス界で仕事の標準化が好まれない理由

標準化を好まない理由日本のビジネス界では標準化が好まれない、というのは興味深い特徴で、大企業からスタートアップまで、自分だけ、もしくは自社だけのやり方を見つけ出そうとする傾向がとても強い。 例えば、業務を標準化してインドや中国などにアウトソースしていくBPO市場を見てみても、日本は米国に比べてGDPに占める割合が非常に小さい。 出所: HfS Research 「State of the Outsourcing Industry 2013」 なぜだろうか。 もちろん理

パワポ1枚でビシっと決める 経営陣から合意をとりつけるコツとは?

経営陣によるビジネスレビューに参加することが多いのだけれど、いつも気になるのは、パワポで10枚以上になるような資料を作ってくる人たちのこと。しかも、ご丁寧に1枚目はデータの前提や定義からはじまり、その後、一枚一枚彼らの考えるロジックが淡々と説明されていく。で、大抵の場合そのロジックは冗長で、それぞれの論理的繋がりも弱かったりする。 こういう時の経営陣は、見るからにイライラしだして早々にプレゼンを遮ったり、逆に無関心になって全然話を聞かなくなったりする。なぜ、こうなってしまう

なぜグローバル企業の経営陣は「定時退社」するのか?

グローバル企業の経営陣の退社は早い。突発的な事態がなければ、定時の6時にはまず帰る。なので、遅い時間にミーティングが入ったりすると、露骨に不機嫌になったりする。これはなぜだろうか? 意思決定の質が落ちてしまう一番大きな理由は、コンディションが悪化すると「意思決定」の質が落ちる、ということを彼等がよく理解していることにある。グローバル経営においては、マネジメントすなわち意思決定する人、というのが明確に役割定義されていて、彼等の評価はその意思決定の質と成果によるところが大きい。

日本の大企業「30代の位置づけ中途半端」問題について

30代をどう過ごすべきか? 日本の大企業での「30代の位置づけ中途半端」問題ってあって、20代はわりと何でも自由にやれるし学びも多いのだけれど、次のステップとしてのマネジメント(課長)になれるのは40代が普通。なので30代の位置づけが曖昧で、その期間に成長機会がなかなかないのが個人のキャリア構築上も課題となる。 現場の実務も「経験」しないと身につかないように、マネジメントの仕事も実際に経験しないと、その難しさや勘所が身につかない。欧米や今ならアジアの大企業でも、20代で現