水木しげる ゲゲゲの大放談 (水木 しげる)
(注:本稿は、2016年に初投稿したものの再録です)
いつも行く図書館に、昨年(注:2015年)にお亡くなりになった水木しげるさんを偲ぶ書棚がありました。その中で気になった本。ちょっと前に初期の漫画「墓場の鬼太郎」は何冊か読んでみたのですが、これは、水木さん所縁の方々との対談集です。
最初に登場する対談相手は “ゲゲゲの女房” 武良布枝さん、水木しげるさんの奥様です。
その奥様が語る水木さんの「プロの矜持」。
貧乏生活を送っていた水木さんに天下の講談社から掲載の声がかかりました。しかし求められたテーマは「SFもの」、水木さんは、描けないときっぱりと断りました。
こういう水木さんの信念は何か「堅い意思」に拠っているのかといえば、どうもそればかりでもないように思えます。自分の考えを大切にする生きる姿勢は、「生まれつきの性分」として染みついていたようです。
本書の中でも何人もの方との対談の中で、水木さん自身そういった類のことを語っています。
イラストレーター南伸坊さんとの対話での水木さんのことばです。
ただ、何の拠り所もなく「わが道を行く」という生き方を徹底していただけというのでもありません。自分の能力についての “自負”“自信” も持っていました。
そのあたり、水木さんはこうも語っています。
そして、日々の水木さんの仕事ぶりたるや、それはそれは凄まじかったようです。
水木さん自身、当時は家族も顧みなかったと認めていますが、布枝さんの言葉がその鬼気迫る姿をまさに言い表していますね。
さて、本書ですが、特に水木さんにとって身近な方々との会話が生の形で紹介されているので、水木さんの “ありのままの姿” を窺い知るには相応しい本だと思います。
改めて感じるのは、水木さんは自らのオリジナリティでひとつの「独自の世界観」を築き上げた“凄い人”だったということです。
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