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一日だけ

かなり前から
駅のホームに立ちながら
もうすぐ来る電車を見つめ
このまま飛び込んだら楽になれるかな
と思うことがある

そんな勇気もないくせに

道を歩いている時も
ふと向かいから来る車に飛び出したい衝動にかられる

ずっと前から生きてることが苦痛だった

誰かに支えられて生きてきた
息子だったり
母だったり

生きている命ではない
生かされている命

こんな風に思いながら
息をしてきた

堪え性のないわたしには
我慢という言葉が苦痛である

我慢に我慢を重ねたら
心が壊れてゆく

壊れそうな心をかかえながら生きていると
何かに飛び込みたい衝動に駈られる

そんなことの繰り返し

母を見送る前
わたしの身にも降りかかる出来事に
わたしは困惑した

母のことを思いやることが出来ない
母よりも早く彼の世に還りたい
そんな望みもあったのか

それでも母は逝ってしまう
まるでもう誰も見送るのはイヤよというように
本当はそれで良かった
母を残しては逝けないから

娘としての最期の勤め

一日生涯
朝に目覚めて晩に還る
今日一日だけ

生きていよう

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