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東海第二原発の視察に行って考えたこと

周防大島町の近隣、上関町で、原発から出る使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の建設に向けた調査が行われています。

2月には、本議会に対して中国電力から計画についての説明が行われました。
今回は、現在中間貯蔵施設が稼働している茨城県の東海第二発電所に、周防大島町議会議員10名で視察研修に行ってきました。

再稼働に向けた対策工事の大詰めということで、地元の人たちを含め、多くの方が視察に訪れているそうです。
中間貯蔵施設の設置に向けた中国電力の調査が行われている、上関町からも、施設見学に来られたそうです。

写真撮影は禁じられていたので、施設のリンクを…と思いましたが、アクセスできなかったので、原子力規制委員会のリンクと、東海村のリンクを貼っておきます。


視察の内容

4月16日の14時から16時の2時間、「テラパーク」という展示し施設を拠点に、日本原子力発電株式会社東海事業本部地域共生部の方々が対応くださいました。

現在行われている東海第二発電所の安全性向上対策工事の概要と、使用済み核燃料が一時保管されている乾式容器(ドライキャスク)の概要の説明の後、
工事が完了したらこうなるというVRを視聴し、
実物大のドライキャスク模型で構造を説明いただきました。

その後、発電所全体を屋上から把握して、使用済み核燃料乾式貯蔵建屋の内部視察、安全性向上対策工事の現場をバスでご案内いただき、質疑となりました。

東海第二原発の安全性向上対策

福島原発の事故後、安全性向上対策工事として
・津波から発電所を守るための工事:高さ20mの壁で囲む
・電源を絶やさないための工事:電源装置の確保とそれを動かすための軽油のタンク、電源車の常設
・原子炉などを冷やし続けるための工事:地下に貯水タンクを設置、ポンプ車の常設
・テロなどに備えるための工事
を行っておられ、2024年9月完成予定。もう少し伸びるかもとのことでした。

施設周辺を囲む津波対策の壁は、まるで進撃の巨人の城壁のよう。厚さ3メートル、高さは標高20メートル(正確には、進撃の巨人のウォールマリアは、厚さ10m、高さ50mでした.…!)。想定17.1mの津波に耐えうる設計だそうです。

これだけの対策工事に、総額いくらかかっているのかも気になるところでした(後日ネットで調べると、総工費2350億円の予定だそうです)。

中間貯蔵施設(乾式貯蔵)は使い始めて23年目

使用済み燃料プールから乾式貯蔵容器に使用済み燃料を詰め替えて、中間貯蔵施設に保管。
建屋は2001年7月に完成し、現在15本の乾式貯蔵容器に燃料が詰められて保管されています。古いものは、もう20年以上保管されています。

本来これらは、順次六ヶ所村の再処理工場に運ばれて、再処理されて…という核燃料サイクルに乗っていく予定のものです。未だ再処理工場は稼働していないので、保管され続けています。

容器の耐用年数は40年ということで、その時点でまた新しい容器に入れなおすのか質問したところ、状況を調査して、そのまま置くか入れ替えが必要か判断することになる、ということでした。
ここに設置されているものは、一時保管用のもので、六ヶ所村に運搬する際は、いったん原子炉建屋のプールの中に移し、運搬用容器に詰めなおし、それから輸送することになるそうです。

一時保管のための中間貯蔵施設を新設する意義と安全性は?

率直な感想として、既存の原発施設の敷地内もしくは傍で、中間貯蔵を行うということが現実的で効率的なのではないか、ということです。
テロなどの対策についての手厚さについて考えると、原発施設のほうが高そうですし、
もしもの時の周辺住民の避難計画も、原発については策定されることになっています(私は、不十分というか、ほぼ不可能なことも多いのではとも思っています)。

一方、上関町に検討されている中間貯蔵施設は、”特定重大事故等対策施設”には当たらないため、住民の避難計画を策定する必要はないとされているそうです(避難計画は、施設のリスクに応じて定めることとなっているが、原発の場合は、5キロ、30キロである。ウラン加工施設や再処理施設は5キロだけが定められている。中間貯蔵施設は、災害時でもリスクが低いので、設定を要しない施設とされている。避難ルートや手段を講じる必要はないとされている。2月中国電力からの説明会にて確認)。

乾式貯蔵容器に入れた使用済み核燃料を整地しておくだけの中間貯蔵施設は、地震があっても、津波があっても、テロの標的となっても、危険なレベルの放射性物質は容器から漏れない。

そんな話は、私は信じることが出来ません。

視察研修を通じて、やはり上関の中間貯蔵施設計画には、反対の立場は変わりません。

「原発は再稼働すべきか?」

「近くに中間貯蔵施設はできてほしくないけど、ここにできなかったら、他のどこかにできてしまうんだったとしたら。同じような不安な思いをする人や住民の対立が他の場所で起こるんだったら。自分の近くになければいい、とも思えない」

中間貯蔵施設計画のことについて、地元の若者と話していた時に聞いたことばです。

ビジネス映像メディア「PIVOT」のYouTubeチャンネルで発信されている、この動画。
率直でシンプルなテーマのこの動画。4月27日現在、前半しかまだアップされていませんが、考えを深めるにあたって様々な情報が入っていると思います。次作が早く観たいです。


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