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お互いさまの街ふくしまはおもてなしの街 ペイ・フォワード記事Vol.35


国際ホームステイ団体「サーバス」で各国のトラベラーと交流

5月10日、11日に、ベルギー人カップルが福島市に滞在しました。シブさん(表紙の写真の左から2番目)とルースさん(右)は、今年の1月からアジア旅を開始。マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナムをバスや自転車で旅しました。2週間ほど前に日本に着き、レンタカーで北海道を目指しています。

この二人から宮城県に住む我が家にホームステイしたいと連絡が入ったのは5月初旬。実は私は国際的なホームステイ団体「SERVAS(サーバス)」のメンバーです。サーバスのメンバーになると、年会費を納めることで、ホームステイをしたいトラベラー、受け入れをしたいホストが連絡を取り合い、2泊3日程度の宿泊交流をすることができます。心の交流を目的に設立されてるこの団体は、ホストとトラベラーが時間を共に過ごし、平和の種を蒔くことを大切にしています。

お二人はベルギーを出国前にトラベラーとして登録しており、日本に到着後、関東で2組のホストにお世話になったそうです。SERVAS本部のホームページはこちらです。

20代でホームステイ海外一人旅 現在は旅行者への恩送り

私は25歳の新社会人の年にこの団体を同僚から教えていただき、3週間で7カ国を訪問するヨーロッパ旅をしました。旅行会社を通さず、ホテルに泊まらず、一人で海外旅行をする、と決めたこの旅で、私はサーバスのホストの方々や、日本で交換留学をしていた友人たちにもてなしてもらいました。このような旅の醍醐味は、やはりなんといっても地元の人たちの普段の生活に入り込むことができる、ということです。そのときの旅行記がこちらです。(4ページ目以降の、「7カ国ヨーロッパ旅」の記事です。)

https://www.servas-japan.org/img/kaiho_tohoku_201012.pdf


当時のサーバス旅で地元の人たちの生活の一部を覗けて、精神的な交流ができたということが、紛れもない宝物として今でも私の胸の中に光り輝いています。そこで、現在はホームステイのホストとしても登録していて、年間4組ほどサーバストラベラーを受け入れています。これも私にとっての大切な恩送りの一つです。あのサーバスを使っての初一人旅が充実していて今でもつぶさに思い起こせるのは、当時若い日本人をもてなしてくれた地元の方たちのおかげです。だからこそ、旅行先にわざわざ日本、そして東北を選んでくれるトラベラーさんたちに、心づくしのおもてなしをさせていただいています。

サーバスの東北支部での活動の様子は以下のリンクらから見ることができます。近年の支部ニュースは私が編集させていただいております。是非ご一読ください。記事からは世界各国の方との心の交流が楽しめますよ。

東北支部以外の支部の活動や、サーバスの詳細、会員のなり方などについてはこちらをご覧ください。

ガイドブックには載っていない 日本人の精神を直に味わえる土地 ふくしま

さて、今回我が家に泊まることになっているベルギー人と連絡を取っていると、福島県の会津若松に滞在していることが分かりました。「我が家に来る前に福島市に立ち寄りますか?」と尋ねると、「私たちのガイドブックには特段何も福島市の情報が載っていないので、予定はしていなかった」というのです。それはもったいない!サーバスを使った旅行をしている人は、人との交流が好きな人なので、「福島市は風景がきれいなだけでなく、人が温かいので是非行くべきですよ」と提案しました。そうすると、「まさしくそういうことがしたかった」というお返事でした。そこで福島市の私の友人に会うことと、お互いさまチケット導入店を訪問することをすすめました。

そこでともだち・カワン・コミュニティのメンバーとチームふくしまさんにお願いし、福島市でシブさんとルースさんが地元の方たちと交流する機会を作ってもらいました。お二人のお互いさまスポット巡りについては次回の記事にゆずることにして、今回は地元の方たちとの交流にスポットを当てますね。

ともだち・カワン・コミュニティ

チームふくしま


東北の名庭園 浄楽園で心穏やかな交流の時

福島市の西にそびえる吾妻小富士の冠雪を楽しみながら車を走らせると、福島駅から15分ほどで東北の名庭園 浄楽園に着きます。

浄楽園は、京都の金閣寺のお抱え庭師さんが、ご実家の土地を卓越した技術でこのような日本庭園に変えて一般に公開しているものです。お二人はこの美しい庭園を福島市民と散策。手水で心身を清めながら、季節の花々の彩り、子どもの笑顔に癒やされます。


地元の子どもと日本文化体験

庭園の中央には大きな池があり鯉も優雅に泳いでいます。この日はちょうどイベントも開催されており、お琴の調べも聞こえてきます。気に入った音楽に耳を傾けながら、和の甘味に舌鼓。

和風庭園に包まれて和の甘味に舌鼓

この日二人を案内してくれた子どもたちも、幼い頃から地元福島を外国人旅行客と楽しむことで、地元を愛する気持ちと、外国の方への温かいまなざしを心に刻んだことと思います。きっと忘れられない日になりましたね。

ベルギーでもBONSAIとして知られる盆栽

福島市にはベルギーにも根強い人気をもつ盆栽屋さんがいらっしゃいます。「ぼんさいやあべ」さんは、三代にわたり90年以上も続く盆栽園さんです。

ルースさんとシブさんと蔵王のお釜を散策していると、これも「ボンザイ」の樹ですか?と質問してきました。何かと思ったら、盆栽のことでした。彼女たちは福島市で「ぼんさいやあべ」さんを訪問し、盆栽についてプロのお話を聞くことができたので、その後も盆栽に興味関心を持ったようです。

「ぼんさいやあべ」さんは積極的に吾妻五葉松盆栽の魅力や、吾妻山の美しさなどをオンラインや体験を通じて発信しています。その活動は国内外を問いません。


「ぼんさいやあべ」二代目の阿部さんご夫婦と話し、和の精神を感じたお二人でした。

言葉を超えた交流
心が通じたこの笑顔

ベルギーにも福島市から和の心が届いていると思うと誇らしい気持ちになります。BONSAIを通じて、福島市にもっと興味を持ってもらい、FUKUSHIMAの今を体験したいと思う人が増えたら嬉しいですね。

日本人の心を見つめ直し 和の精神で自然と向き合う

次に向かった交流の舞台は、浄楽園からさらに吾妻小富士の麓に近づいたところにある市民のお宅です。浄土平や吾妻山は福島市民の誇りの景色なのです。

https://www.npfj.or.jp/joudo/

この日、芸術家の矢吹さん宅で「お茶とイラスト」という催しがされていました。ともだち・カワン・コミュニティのメンバーの一人が仲間と開催したこのイベントは、お抹茶を飲みリラックスしつつ芸術家の矢吹さんが描かれた風刺画を見て福島市でのメガソーラーパネル開発について考えるために開かれました。

まずはお茶席で日本の和の精神を体感してもらいます。お着物も襖のあしらいも、目を惹くものばかり。和の空間にいると和の精神が熱く感じられます。

お抹茶体験 和の雰囲気に興味津々

お茶席の後は、吾妻小富士の麓に住む矢吹さんが、メガソーラーパネル開発について描いたイラストを見ながら話を聞きました。
ある日、福島市民が気がつくと、市民の心の原風景である吾妻小富士の麓がはげ山になっていて、メガソーラーパネルの開発が急速に進められていたのです。このことに二人は大変驚きました。なぜなら、ベルギーではメガソーラーパネルなどの開発が進められるときには住民に必ず説明があり、市民が気がつかないうちに開発が行われることなど決してないからだそうです。このように、他国の視点を教えてもらえると、自分たちの地域で起こっていることをより俯瞰的に見ることができます。やはり開発前に住民への説明がもっとほしかった、今後は何ができるだろうか、と考える機会になったようです。

メガソーラーパネル開発事業についてイラストを見ながら考える

後日、このイベントの様子は新聞に掲載されました。吾妻山の景観と自然を守ろうとする市民の草の根の活動が、様々な人たちの心に響き、波紋のように伝播しているようです。

朝日新聞 2024年5月16日


讀賣新聞 2024年5月17日


ルースさんが私に連絡をくれたのは宿泊希望の一週間前。それなのに短時間でこれほどにも地域の人たちと交流できるようにしてくれた、と心から喜んでいました。これは、私の急なお願いを引き受けてくれた、福島の人たちの心の豊かさがあるからこそです。私が福島市で生活していたときに福島の人たちの心の豊かさに私が惚れ込んだその意味を、二人が感じ取ってくれたかと思うと幸せです。


違うから興味が沸き 違うから現実に感謝する

ルースさんとシブさんが福島市の旅を満喫した後は、宮城県の我が家に2泊しました。お二人の友人からおすすめされたという宮城県の蔵王に日帰り旅行。着いたタイミングは寒くもなく最高のお天気。これぞお釜、という風景を見ることができました。
朝早起きして作ったおはぎとコーヒー、焼きマシュマロを楽しみながらピクニックしていると、二人は日本にいる間にできるだけトレッキングをしたいという話になりました。なぜならベルギーは平地で、高い山がないから。登山しようと思うと9時間のドライブでフランスに抜け、アルプスに行くことになるのだそうです。登山好きな私の夫は、「平地だから山に憧れるのかぁ、なるほど~」と納得。美しい山に囲まれて生活していることに感謝しつつ、なおさら福島の誇りの山を守りたいと想いを馳せるのでした。

蔵王のお釜 天気に恵まれ最高の眺め

絶景を満喫した後は遠刈田温泉に寄り道。さっきまで上っていた山を露天風呂から眺めました。帰宅後はルースさんとシブさん特製、ベルギー人が大好きなソースをかけたパスタで最後の晩餐。カレースパイスと生クリームがコクを出した初めての味で美味しい~。子どもたち専用のソースも作ってくれて大量にゆでたパスタを完食です。ありがとうございました!

毎回トラベラーさんに地元のメニューを作ってもらいます


心の交流が生み出す人々の交流の循環


お二人はこの後北上し、日本旅最終地の北海道でハイキングを満喫後フェリーで韓国へ。中国大陸を電車で横断して帰路につくそうです。最後まで楽しんで、ベルギーに着いたらお友だちに是非お互いさまの街、おもてなしの街ふくしまや、サーバスを通して交流した経験の話をしてほしいですね!その話を聞いてまたベルギー人たちが福島や東北に来てくれたり、お2人が外国人をもてなす側になったら、、、と思うとワクワクします♪心の交流は平和の種蒔きに繋がる恩送りですね!



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