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ショートショート 人型ロボット

博士「ふぅ〜 遂に完成したぞ〜!」
助手「お、ようやくできたんですね!」

博士「じゃ、スイッチオン!」

助手「お〜、生きてるみたい。」


博士は、人間と見間違えるくらい精巧な人型ロボットをつくった。彼の名前はマナブだ。機能としては、話すこともでき、仕事することもできる、そのように実装しているとのことだった。

しかし、マナブはほとんど動かない。
動いているときといえば、5時間くらい植物や土の電位差で採れる電気を咀嚼しているくらいだ。あとは5時間くらいかけてぼーっとし、咀嚼した電気を内蔵バッテリーに蓄える。そして、13時間くらい寝ている。

助手「博士〜。全然マナブ、動きませんけど~。」
博士「いいんだ、いいんだ。それでいいんだ。」
博士は満足そうにニコニコしている。

数日が経ち、一月経ち、数ヶ月経ち、気づけば一年。マナブの生活は一向に変わらなかった。

助手「博士、なぜマナブを作ったんですか?」
博士「なぜって…あぁ、そういうこと。
このロボットはエネルギーの完全自己補完型なんだよ。そして、そのモデルはホモ族さ。

ホモ族が火を使えるようになる前は、咀嚼と消化に大量な時間を要していたんだ。それで得たエネルギーでホモ族の主要臓器である脳と腸を働かせてたってわけ。」

助手「いやいや、だからなんでそんな役に立たないもの作ったんですか?」
博士「神っぽいじゃん✌」

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