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劇「空夢」を見た感想
ひそかに楽しみにしていた演劇を見てきた。「劇団papercraft」の新作公演である『空夢』。今まで本劇団の作品を二つ見て感じたことは、独創的な世界観を広げつつ、散りばめられた断片的な情報から解釈の幅を持たせる作品が多いこと。本劇団を見に行くときは、事前にぐっすり寝て頭を空っぽにして、何でも取り込める万全の体制で臨むようにしている。過去作の『世界が朝を知ろうとも』と『檸檬』の感想はこちら。
あら
短編小説:公園での話
ひらひらと舞い落ちる桜の向こうには、みずみずしい葉が顔をのぞかせている。4月は一番好きだ。花粉症もないし、じめじめしているわけでもない。それに秋よりは春のほうが、なんだかさわやかな感じがしないか。
そんなことを考えていると、表示板の前に男がいた。ダウンにスラックス、おまけに靴まで黒いときた。ナイロン生地のダウンは朝日に反射して、テカテカと小刻みに光っている。腕を組み、人差し指を上下に動かしては、
糞みたいな世界で楽しく生きていきたい
生きていれば辛いことだらけだ。それは日常的なもんで、飯を食らうと糞をするような頻度で平等に訪れる。そりゃあ、褐色がかった吐しゃ物みたいな糞を見たら気分が悪くなる。だが、キショい糞を便所以外でまき散らしたら駄目だ。ましてやぶん投げたり、まじまじと大事な人に見せつけるなんて、こっちが見ていて吐き気がする。だから、糞をしたら便座を占めて流さなくてはならない。トイレの常識だ。
しかし、糞を投げつけては周
劇「檸檬」を見た感想
運命とは都合がいい言葉である。ある時には心の緩衝材として、ある時には免罪符として機能するからである。
劇団papercraft第8回公演『檸檬』の感想を本日は書いていきたい。
この作品は、「口の消滅」と「超次元的存在の井上さん」の非リアルな設定に意識を持っていかれがちだが、対峙する名取の心の動きにもぜひ注目して欲しいし、そうすれば、より香ばしく作品を楽しめるなと感じた。
私が読み取った名取の