イノベーションのお手本のような話
大企業では、成功体験に引きずられて、ゲームチェンジするようなイノベーションを起こすのは難しい。
書籍から電子書籍へ、ガラケーからスマホへ、レンタルDVDから動画配信へ。ゲームチェンジはいずれも、小さい会社が巻き起こしてきた。
大企業にとっては、やりたくてもできない「イノベーションのジレンマ」(イノベーションの父・シュンペーター先生)というやつである。
ただ、やりようによっては、大企業でもイノベーションは巻き起こせる。
今日は、大企業がイノベーションを起こすとしたらこんなやり方!というお手本のようなお話。
Whyから始まるブランドづくり ミツカン、新組織は「ゼンブ」やる(2024/5/6 日経MJ)
こういうのを「出島戦略」と言う。
江戸時代の長崎の出島みたいに、治外法権で色々チャレンジできる場所、ということらしい。このサイトが分かりやすいと思う。
マーケティングに基づいた、とがった商品の連発
ZENB NOODLEは、豊富な食物繊維(お通じが良くなる)×カロリーオフのダブル効果がよかったみたい。そもそも「おいしい」というのもポイントだろう。
第2の矢Fibeeは、ZENB NOODLEの成功から、食物繊維に着目したってことか。今度は、発酵×食物繊維。
そう言えば、シュンペーター先生は「イノベーションとは、新統合(全く新しいものを創り出すのではなくて、組み合わせて新しいものにする)だ」とも言ったんだった。
食物繊維もカロリーオフも発酵も、それぞれ単体で見ればもう世に出てるものなんだけど、組合わせると、確かに新しい。
「ほとんど管理しない」は、任せた、責任は取る!の理想形
記事中の主人公・石垣浩司さん(ミツカンCOOにして海千山千の猛者を率いるチームリーダー)の経験と苦悩がにじみ出ている、味わい深いコメントです。
突然「権限委譲」すると言われても、部下にとってはプレッシャーだったり、はしごを外されるんじゃないかという不安があったり、「責任も伴う」と思っちゃうのが普通だし、誰かに決めてほしい、楽になりたい、その気持ちも分かるんですが、そこをうまくクリアしているわけです。
一致した「判断基準」を持つ
それじゃ「ほとんど管理しない」で、どうやって組織の体裁を保っているのよ?というと、これです。
一致した判断基準を、あらかじめ持っておくってことなんですね。「そんな空気が部には流れている」というのも好きです。今風に言えば、ティール組織で心理的安全性が保たれているというんでしょう。つまり「やりがいがある職場」ってことです。
結びに(出島はどうなったか?)
ところで、長崎の出島って結局どうなったのか?あんまり認知されてないと思うんですよね。いや、私も知らなかったので、ググりました。
なんと!教科書に出てきた出島はもうないんですって。
ただ、「長崎を近代的な貿易都市に改良するため」にあるとおり、長崎の貿易を、日本の経済をよくするために、溶け込んでいったんだと解釈できますよね。
企業の出島も、いずれは会社の中に、その会社のマインドとして、ポリシーとして溶け込むのが理想なんだろうと想って、スマホを閉じました。おしまい。
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