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日傘に想う、クリティカル・シンキング

 日傘ってのは女がさすもんだろ。いやいや先輩、いまは男性もさすんですよ、一昔前より紫外線、きついでしょ?
 ...いやお前、男が化粧水だの日傘だのって、え?そうなの?そういう時代なわけ?今日はそんなお話です。


高機能品が続々、男性や子供も利用(2023/7/21/日経MJ)

 「男性が日傘を差す流れが今年も続いている」。へえ、そうなの、今年「も」続いてるの、へえ、そう(汗)。こんな調査もあったりして。

 40代の男性の8%が日傘を所持しているとな。10人に1人の同年代が日傘を使っている訳か。一般的に、「まず、オレがやってやるぜ」という先駆者(イノベーターと言います)が2.5%、「え?流行ってんの?どれどれ使ってみようか」という流行りもの好き(アーリーアダプターと言います)が13.5%くらいだそうなので、40代・日傘を使う・男性というカテゴリーは、流行りもの好き(アーリーアダプター)まで来てますね。
 ここまでくれば、40代・日傘を使う・男性が多数派になるまで、あとちょっとです。もう少しして壁を乗り越えれば、爆発的に伸びるというのがイノベーター理論とかキャズムってやつです(わかんない人はググってくれ)。
 ちなみにこの調査によれば、20代&30代・日傘を使う・男性、はキャズムを超えておるのか...冒頭の後輩のコメントは、なるほどそういうことだったのか...

日傘ってのは女がさすもんだろ、っていう前提。

 いやいやちょっと待ってよ。フリフリしたレースのやつでしょ、それ?日傘ってのは、女がさすもんだろ...えっと、そう思ってるのって私だけ?と思ったら、記事にはこうあるんですわ。「従来、日傘は女性向けが多く、デザイン性は高いが、サイズや耐久性に課題があり、機能的に伸びしろがあった」。「機能的に伸びしろがあった」って書き方が、日経MJっぽくて好きです(伝わるかな)。
 記事はこう続きます。「近年は男性の購買が増えており、市場の拡大と共に遮光、遮熱、撥水、UVカットなどの機能も向上した」「最近では男性や女性でもビジネス用途に使いやすいユニセックスのカラーの展開がトレンド」
 
ここで私が思ったのは、鶏と卵。男性の購買が増えたから、高機能な傘が増えたのか。いやいや、フリフリの傘を男性が(恥ずかしくて)買えるわけがないんだから、きっと高機能の傘が先に出たんだろ。やっぱり、嗅覚が鋭いビジネスパーソンがいたんだな、と。

前提を疑う、クリティカル・シンキング

 ここで問いたいのが、クリティカル・シンキング(ググってくれ)。「批判的思考」とかっていう翻訳が出てきて「それってあなたの感想ですよね?」的な、ディベートが上手い人的なキーワードのように誤解してしまうんですが、本質は違うんですよね。
 クリティカル・シンキングの本質は、「前提を疑う」ってことなんです。今回の例で言えば、「日傘ってのは女がさすもんだろ」を、まずは疑えってことです。

日傘のブルーオーシャン、男性ビジネスパーソン

 そう疑ってかかれば、「日傘、別に女性に限定しなくたっていいよな」と。男性だって、日に焼けたくないよな。オジサンになって、シミが表面化してきたら、いやじゃんな、と。つまりそこには、今までなかった日傘需要が、ブルーオーシャン(競争が激しくて、血で血を洗う骨肉の争いをレッドオーシャン/血の海と言う。その反対)が広がってたわけですな。

素敵な言葉、”伸びしろがある”

 記事ではこれを「機能的に伸びしろがあった」と一言でくくった訳です。
 ①日傘にフリフリよりも、機能を求める人たちがいる。
 ②いや、そもそもフリフリを求めていない人たちもいる。
 ③それなら、とことん機能を突き詰めよう(軽量、UV強化、撥水...)
 このとことん追求が「最近では男性や女性でもビジネス用途に使いやすいユニセックスのカラーの展開がトレンド」に合致すると...
 ”伸びしろがある”って、ほんといい言葉ですね。素敵すぎる。それって要するに、中小企業のことだよね。そうそう、私たちは、クリティカル・シンキングをすることで、まだまだ大手と戦える。そんなことを想った、今回の記事でした(おしまい)。

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