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給食費無償化批判、お客様は置き去り。

出産費用、医療費、待機児童、学費、放課後問題、急な呼び出し...
子どもにまつわる様々なサポートがあれば、子育てはもっとしやすくなる、結婚、出産、育児に関するマインドが前向きに変わるきっかけになる。
給食費無償化は、それ自体が目的じゃなくて、日本を上向きに変える第一歩、様々やるべきことのONE OF THEMなのである。


青森県、小中学校の給食無償化へ 全国初、予算案に関連費20億円(2024/2/20 東奥日報)

青森県は、県内の小中学校で提供する給食を10月から無償にする方針を決め、20日発表の2024年度当初予算案に関連経費約20億円を盛り込んだ。県によると、都道府県単位で一律無償化に取り組むのは、全国初となる。

東奥日報 記事より

給食費無償化は、青森県・宮下知事の公約。
「医療費・保育料・おむつ代など、段階的に無償化する」とした政策集(公約)を読むと、様々な施策の先には、合計特殊出生率2.07がある(人口減が反転するには、2.07が必要だとされている)。時間軸を整理して考える必要はあるけれど、合計特殊出生率2.07は、日本を滅亡させないためには、いつかは達成する必要がある数値なわけだ(諦めたらそこで試合終了系の話。ちなみに2022年の数値は青森県1.24、全国1.26)。

人口減少を軽くおさらいしよう

2023年12月、日本の将来推計人口がアップデートされた。
それによると...

・2050年、日本の人口は1億2,600万人から1億500万人へ(2020比20%減)
・東北6県の人口は、860万人から600万人へ(同32%減、ブロック別減少率・ワースト1)
・我が青森県の人口は、124万人から75万人へ(同40%減、県別減少率・ワースト2 ちなみにワースト1はお隣の秋田県)

将来推計人口より

たった30年後に、これだけ減るのである。40%減って、ほぼ半減だ。あなたの家族が半分いなくなるなんて、信じられるかい?そういう、想像すらできない社会が、やってくる。

2030年を過ぎた頃(2000年代に生まれた世代が働き盛りになる頃)から、急速に人口が減っていくとされている。2000年代が既にかなりの少子化なのと、2030年以降は、いよいよ老人の人口すら減っていくからだ。

政府もあと数年を「ラストチャンス」とし、「異次元の少子化対策」を推進するとしている(これも結構叩かれてるけど)。
その心は、あと数年間で人口減を反転させる、それができなくてもせめて和らげないと、滅亡へのカウントダウンが加速するからだ。
今やる人口減対策が奏功しても、その効果が表れる(働き手が増える、消費が増える)のは、30年後なわけだから。

給食費無償化に疑問の声、不公平感、不平等、見直しを...続々。

さてさて、ではでは冒頭に立ち返って、青森県の給食無償化である。

学校給食費無償化等子育て支援交付金
小中学校給食費の全県的な無償化を目指し、県が創設を予定している市町村向けの交付金。現在給食費を無償化していない市町村には、1食当たり小学校280円、中学校310円を上限に積算した必要経費全額を交付。既に給食費を無償化している市町村に対しては、給食費以外の子育て費用(医療費、0~2歳保育料など)の無償化にかかる経費やその他の子育て支援事業費のうち8割を交付する。

東奥日報記事より

小中学校って「市立」「町立」「村立」なので、市町村によって無償化してたり、してなかったりなんですよね。
これを見る限り...
・今まで無償化されてなかった市町村でも給食が無償化される。
・既に無償化されている市町村では新たな子育て支援が始まる。

そんな期待が持てる内容だと思うんです。
...ところが、だ。出るわ出るわ、批判の嵐。

誰目線で不平等とか、不公平って言っているの?

記事から、それぞれの主張を少しずつ、つまみ食いしてみたい。

無償化済みとそれ以外の市町村で不公平、不平等が生じると言わざるを得ない(とある副町長さん)

東奥日報記事より

これって、そうなんでしょうか?
県民にとっては県が負担しようが市町村が負担しようが、無償化だったら一緒でしょう?(税金だし...)
逆に、住んでる場所によって給食費を払う・払わないがある方が、不公平・不平等じゃないだろうか...

未実施の自治体には交付金が100%いき、実施している自治体は、他の子育て支援事業に80%の交付金が来る。つまり、残り20%が自治体の持ち出しで、新たな負担になる(とある村長さん)

東奥日報記事より

企業がある日、県から「お宅は社食があるから食事代は出さないけど、代わりに80%補助するから社員の子育て支援を充実させて」と言われたら、当然やると思うんですけどね。
...あの、そういうの考えるのが、市町村の仕事じゃないの?

ちなみに、企業では人件費は「負担(コスト)」ではなく、「投資」だという考え方が広まりつつある。賃上げはそのよい例だ。その考え方でいけば、子育て支援事業は、負担ではなく、投資でしょう?

青森市議会は25日、全市町村が給食無償化事業に同交付金を活用できるように、制度の見直しを求める意見書案を賛成多数で可決した。
県の同交付金は、市町村が独自に実施済みの子育て支援事業に対して、給食無償化を含め財源の付け替えを認めていない

東奥日報記事より

例えば、企業への補助金の話に例えようか。
パソコン買った後に、IT導入補助金を申請できるのか?
できないでしょ?だって補助金なくても、自社のお金で買えたんだから。
翻って、県の交付金がなくても、自力で給食無償化できてるんだよね?
それなら交付しないね、と言われてもいいところ、それはあんまりだから、(今できていることの他で)子育て事業に使える交付金をあげるね、そう言われているわけだ。
...なのに「見直しを求める」ってどゆこと?

いったいぜんたい、あなたたちは誰目線で、不公平とか、不平等とか言ってるの?

マーケティングの原点、お客様志向

一番大事になってくるのは「お客様」目線でしょう?
ここで言えば、県民はじめ地域の住民の皆様でしょう?
さらに言えば、あなたたちのパーパス(何のために存在しているか?)は、県民の、地域に住む皆様の幸せでしょう?

彼ら・彼女たちにとってどうなのか。
中長期の未来を見据えてどうなのか。
そういう視点がスッポリ抜け落ちているような気がしてならないのです。

エフェクチュエーションでいこう!

今あるもので、最大限何ができるか考える(手中の鳥の原則)、レモンを掴まされたら、レモネードを作れ(レモネードの原則)。
先の読めない時代の成功方法は、エフェクチュエーションの考え方にある。
サントリー流に言えば、四の五の言わずに「やってみなはれ」なんだよ。

県民の笑顔が増える選択は何なのか、それを一番に考えてほしい。加えて大事なのが「うまい、安い、早い」(もちろん吉野家)だ。この3拍子が揃って初めて価値がある。

もう少し企業を見習ってくれよ。こんなことを想って、ちょっとモヤモヤしながらスマホを閉じました(おしまい)

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