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マーケティングとブランディングについて語るときに私が語ること(日経MJを読んで想うこと)

「とりあえずワコールの下着買っておけば間違いないみたいなイメージが男性の僕にはある」(30代、地方在住・既婚男性 談)
だいたい同じイメージを、私も持っています。ただ、競合もトリンプくらいしか知らないんだから、実際のところ、世の男性はよく分かってない。

でも、ランニングする人なら、機能性タイツCW‐Xは知ってるよね。C3fitも着圧がいいんだけど、CW-Xの方がオシャレだよね。カジュアルなランナーにはそっちの方がいいんだよね。

消費者としてそんなイメージがある、ワコール。


ワコール、組織再編の狙い(2024/4/29 日経MJ)

・ワコールは今、組織改革の真っただ中だ。
・ブランドマネジメントとマーケティングの体制強化を急ぐ。
・ブランドが目指すものは何か。それを実現するために必要な能力は何か。
・最初にしたのは「マーケティングとは何か」。

日経MJ記事本文より

「ブランドが目指すものは何か」「マーケティングとは何か」。記事を読んでいるだけで(読者として)混乱の極みだ。恐らく、会社としてもそうなんだろう。それもそのはず、ワコールの業績は厳しい。

「組織改革の真っただ中だ」のコメントは、構造的な課題を有していることを物語っている(価格据え置きの日本ではそこそこ堅調なのに、価格転嫁しやすいはずの海外で稼げていないのが要因なのかな)。

マーケティングとは何か?

・最初にしたのは「マーケティングとは何か」を定義することだった。
・具体的には「顧客にとっての価値を創造する活動すべて」とした。

日経MJ記事本文より

マーケティングとは何か?は、もはや永遠のテーマのような気もする。
現代経営学の父 ピーター・ドラッガーさんが「マーケティングの理想は販売をなくすこと」と言ったり、最近、日本マーケティング協会さんがマーケティングの定義を34年ぶりに刷新した、というニュースもあったっけ。

マーケティングって、何すればいいんですか?
そういう素朴な質問が来たら、一応、私(中小企業診断士)はこうお答えすることにしている。

・誰に?何を?どうやって?を、社員の皆さんが腹落ちして実行すること

マーケティングとは By NORICON

グローバルに活躍するコングロマリットのことはよく分からんが、だいたいの会社はこれができれば上出来だ。

ブランディングとは何か?

残念ながら、記事中では「ブランドが目指すものは何か?」の問いに答えは書かれていない。ただ...

ブランディング(ブランドが目指すもの)ってなんですか?
そういう素朴な質問が来たら、一応、私はこうお答えすることにしている。

・自分の会社が「こう思われたい」を、お客様の「こう思う」にすること

ブランディングとは By NORICON

えっと...じゃあ、うちの会社ってどう思われたいんでしょう?
直球でマヌケな質問が来ることはあんまりないんだけど、もしそう聞かれたら、こうお答えすることにしている。

・ホームページで経営理念見た?そこにそれらしいこと書いてない?

うちの会社はどう思われたいか By NORICON

全体最適(土台から一貫性がある)

・ブランド戦略は、現場の現実を見ないとうまくいかない。
・それぞれのしがらみの中で、改革の障害になっているものも異なる。
・全体最適ができていないということを改めて実感した。

日経MJ本文より

言葉の一つひとつに、葛藤や苦労がにじみ出ている。だからこその「組織再編の真っただ中だ」になるんだろう。
ワコールって、個別のブランドが50個もあるんだね(Wikipediaより)。
そんな企業の全体最適を考えるのは気が遠くなるけど...

ところでこのマーケティングとかブランドとかって、正直混乱しますね。
よく分かんないです。こういうほぼ匙を投げたような質問をされた場合、一応、私はこういう風にお絵描きすることにしている。

NORICONの頭の中の全体最適

結びに

・現状維持バイアスに縛られていた会社をかき回し、新たな体制の構築にまい進する。
・会社も下着という商品ももっと面白くなるはず。

日経MJ本文より

東証プライム上場、みんな知ってる「ワコール」が、いま「だれに?なにを?どうやって?」を見直してる。「会社をかき回し...」には、試行錯誤感すら窺える。
そう考えると、うちの会社だけが遅れてるわけじゃない、今から始めても全然遅くない。そうも思える。中小企業は、まだまだ戦える。

そして「会社も商品ももっと面白くなるはず」には、前向きな明るいイメージを感じさせる。ワコールの経営理念にはこうある。

・時代の要求する新製品を開発します
・愛される商品を造ります
・失敗を恐れず成功を自惚れません。

ワコール「経営の基本方針」より

たしかに、機能性タイツCW-Xは画期的だった。欲しいなって思った。履いてランニングをしたら手放せなくなった。「時代の要求する新製品」で「愛される商品」だ(会社のこう思われたい=お客様のこう思う)

経営理念(失敗を恐れず成功を自惚れません)に立ち返れば、ワコールは必ず復活する。そう想って、スマホを閉じました。おしまい。

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