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中小企業も、業界最大手カインズホームの戦い方に学べる。

いいものなんでも毎日安い、カインズホーム♪
これって私が若い頃の同社CM。
これってきっと、当時の同社の戦い方を表していた。
業界用語で言えば、EDLP(Every Day Low Price)。

時は流れ、2023年。
いま、同社がどう戦っているか、みんな知ってるかい?
その名も、くらしDIY。キャッチコピーは、創意工夫で未来のくらしはもっと楽しくできる。「やってみたい!」を提案する。
さすが業界売上No.1に成長した企業。見事なまでの、課題解決型企業への変貌だ。今日はそんなお話。


カインズ、PB「横割り」で開発 ニーズに軸、ブランド立ち上げ(2023/12/20)

記事冒頭には、こうある。

  • PBを8つのブランドに分け、テーマに沿った商品を開発する。

  • 「縦割り」だった開発を、ブランドのコンセプトをもとに編成した「横割り」チームが主導する方法だ。

  • 「商品」より「ニーズ」に開発の軸足を移しPB商品に磨きをかける。


これまで「CAINZ」で統一されてきたPB(プライベートブランド)を、8つのテーマで括りなおす、ってことみたい。
CAINZ PETとかCAINZ CYCLEとか、分かりやすいものから、CAINZ IZMとかちょっとふわっとしたものまで8つに。同社HPにもこんな風に書いてある。

ホームセンターで枕を買う人が本当に欲しいもの

記事はこう続く。

  • 例えば「睡眠」をテーマにした場合、寝具の開発だけでは終わらない。

  • 眠りを促す香りや音楽といった要素を取り入れるなら、インテリアなど別部署の担当者もチームに引き入れる。

  • 「眠りが浅いから」と枕を買いに来た消費者に「快適な眠り」を実現するその他の商品も提案することが、消費者の本当の課題へのアプローチにつながるという考え方だ。


なるほど。ブランドの裏テーマは「お客様の本当の課題を解決すること」なんだ。枕を買いに来た人が本当に欲しいものは、枕じゃない。あなたが欲しいのは「快適な眠り」でしょう?と。

有名な「ドリルの穴理論」を深掘りできる場所、ホムセン。

かつてセオドア・レビット先生がおっしゃった「ドリルを買いに来る人が本当に欲しいものは穴である」理論(=ドリルの穴理論)。これが枕に当てはまるわけですが、ホームセンターはさらに深掘りができる場所なんだよね。つまり...
・枕を買いに来た人が本当に欲しいのは「快適な眠り」である
 ⇒枕に併せて、香りや音楽を提案。ベッドもパジャマも提案。
・ところでなぜ「快適な眠り」が必要だったの?
 ⇒私、仕事で疲れてる。安らぎの時間が欲しいの(と仮定)。
・CAINZ PETで愛犬を探してみるの、いかがですか。
とかね。

いたってシンプル・正攻法な側面も(関連購買を増やす)

記事にはこうもあるんです。

  • 品質がよく価格も手ごろなPB商品を核にするのが「カインズのある意味で強烈な勝ちパターン

  • ホームセンターの年間総売上は00年代中盤から4兆円付近で停滞している


強烈な勝ちパターンを生かして停滞を打破するには?
それはいたってシンプル・正攻法で...
①売上UPのためには、客数×客単価。
②じゃあ客数は増やせる?
 ・客数増は、人口減で望み薄(外国人観光客が来るお店じゃないし)。
②じゃあじゃあ客単価は増やせる?
 ・客単価は、商品単価×買上点数。
 ・「価格も手ごろ」を考えれば、商品単価はおいそれと上げられない。
 ・それなら買上点数は?
  ⇒関連購買(クロスセル)を増やそうよ(結論)
こういうことなのかなって思います。

結びに(中小企業にも大事な視点)

記事はこう締めくくります。

  • ブランドの細分化は消費者の混乱を招く可能性もある。(中略)似たような機能の商品が増える恐れもある。

  • どう売るかも課題だ。(中略)同じ分野の商品が店内に点在すれば、買い物をしにくい店だと思われる可能性もある。

  • 「小売業である以上、本丸は商品と店舗」(高家社長)とし、新たな成長戦略に挑戦しようとしている。


業界No.1でも、日々悩み、答えを模索して、シンプルに、正攻法で、挑戦してる。着目したいのは、業界No.1でも挑戦者のマインドを持っていること。フィリップ・コトラー先生の教科書どおり(=競争地位別戦略)でいけば、業界No.1はチャレンジする必要はない。
それでも挑戦を続けるカインズホームの戦い方は、中小企業にとってもお手本になる。そんなことを想って、新聞をとじました(おしまい)。

#日経COMEMO #NIKKEI

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