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2030年までの課題図書は『タイム・マシン』で間違いない【2030年】

書くンジャーズ1月4週目のテーマは【2030年】。

科学雑誌Newtonに、かつて『21世紀はこうなる』という特集号があった。
1990年版に描かれていたのはテクノロジーによって発展した人類社会。
超超高層ビル、地下都市、リニアモーターカー、宇宙空港、そしてコンピューター社会。

21世紀に生きている自分から振り返ると、ずいぶん古臭い未来像と感じる。
古臭く感じる理由の一つに、予想されている未来が科学やテクノロジー一辺倒だからだろう。
二十世紀に予測されていた未来はテクノロジーが中心だった。

これは科学誌に書かれていた未来予測だけじゃなく、他の雑誌、新聞、テレビでもそうだった。
テクノロジーの予測はとても煌びやかだけれど、すぐに古くさくなる。
そして2021年の現在、二十世紀にあったような未来テクノロジーの予測記事をあんまり見なくなった。

その代わりに多いのは、人口動態や経済や地球環境など、真剣で悲観的な未来予測だ。
煌びやかなテクノロジーの未来予測も、悲観的な未来予測も現在の自分はあんまり必要を感じない。
必要だと思うのは、テクノロジーが発展して、環境が悪くなった世界で、人間は何を考えてどう生きるのかという未来予測だ。

新感染症のパンデミックに見舞われている2020年から2021年、その後にどんな世界がやってくるのか。
その予測はたくさんのところでされている。
そんな未来社会で人間は何を考えてどう生きるのか。そして人間関係はどうなるのか。

そんなことを書いてあるノンフィクション、実用書は少ない。
でもSF小説は遥か昔からそれを書き続けてきた。
125年前に書かれたH.G.ウエルズの『タイム・マシン』からずっとだ。

『タイム・マシン』では8万年後の社会が描かれている。
イーロイとモーロックという2種族に分化した人類。これは現代の社会問題である分断を究極に推し進めた状態だ。
その中で個々の人間はどう生きているのか、人間関係はどうなっているのか。

瑣末なテクノロジーの発展や経済予測よりも、人間そのものを描いたSFはめっちゃ面白いのだ。
だからごく近未来を予測したつまらない実用書を読むくらいなら、今こそSFを読みなさい。
2030年までの課題図書は未来予測を通して人間そのものを描くSFです。

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