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自転車が店頭に並ぶまで!

 みなさんこんにちは!
 NORERU?スタッフの渡邉です!

 自転車に乗られている方も、そうでない方も、自転車が組みあがる工程をご覧になったことはありますか?
 特に自転車になじみがない方などは、「完成された自転車」の形のまま売られている様子を想像することでしょう。そのため、自転車がバラバラになっている姿を思い浮かべるのは難しいかもしれません。

 店頭に並ぶ自転車はどうやって運ばれてきて、どう組み立てられるのでしょうか?

 今回は、自転車が組みあがるまでの様子をお届け!
 組み立ては我らがNORERU?メカニックマンの梅澤さんにお願いしました!

【自転車が届いた!】

巨大な箱に入れられて自転車が到着。

今回組み立てていく自転車は、「完成車」とよばれる、必要なパーツが一式そろったもの!
 とはいえ、届いてすぐに乗れるわけではありません。まずはこのように箱に詰められた状態でお店に届きます。中はどうなっているのかというと……

『七分組み』の状態。パーツの一部が取り付けられていないことがわかると思います。

 この通り。
 後輪が取り付けられ、チェーンやワイヤー類などパーツがある程度通された状態で梱包され届けられるのです。この状態を「七分組み」といいます。

完成車ではハンドルもお店で組付ける部品のひとつ。

 ハンドルもご覧の通り、だらりとワイヤーでぶら下がった状態です。ここから残る部分を組み立てていきますよ~!

【組み立て開始!】

まずはステムをセット。

 まずはハンドルから。ハンドルとフレームをつなぐ部品であるステムを通し、そこにハンドルを取り付けます。

そしてハンドルをセット。

 ハンドルにはすでにブレーキレバーやバーテープが巻かれた状態。

部品を傷つけないように一定の力で締め付ける「トルクレンチ」。

 取り付けにはトルクレンチを用います!
 これは決められた力で締め付け、過剰な力をかけて部品を傷めないようにするため。ハンドルはそれを握るサイクリストを支える重要な部分です。乗り手に合わせて角度や高さを調整して、確実に固定します。 

ホイールのブレーキローターもかっちり締め付け。

 続いてはホイール!
 今回の車体はディスクブレーキ対応なので、まずはそのディスク部分(ローター)がしっかりと固定されているかどうか確認します(後輪にはギヤもありますので、その締め付けもチェックします)。

車輪がきれいに回るように丁寧に。

 ホイールは回転にブレがないよう、「振れ取り」という作業をします。ホイールの内側に張り巡らされた柱=スポークを調整して左右に振れのないホイールに仕上げます。

ホイールをフォークに固定。よく見る自転車らしくなってきました。

 ディスクブレーキ車のホイールはスルーアクスルと呼ばれる、太い芯で固定します(すべての車体がそうではないので注意!)。

謎の小さな部品。

 続いては……何やら小さなパーツを組み立てます。これは……どこに使うんでしょう?

ただ組付けるのではなく、細かな気配りと見えない部分で安全な自転車を作ります。

 そうこうしているうちに梅澤さんが取り出したのが、カーボンフレーム用のグリス。これを使ってシートポスト(サドルとフレームをつなぐ部分)を固定していくそうです。カーボンフレームには専用のグリスを使用しないと滑ってサドルが下がってしまうため注意が必要です!

シートポストをセット。その右手には先ほど組み立てていたあの部品。 

 フレームの内側にグリスを塗り、シートポストを刺します。グリスはシートポスト側に塗るとはみ出て汚れてしまうのを防ぐため、フレーム内に塗るのがポイント。
 そしてそのシートポスト。その根元には、あの小さなパーツが。

サドルの高さを変える時は真ん中に見えるねじを緩めます。

 これはシートポストを締め付けて固定するためのパーツだったんですね!

富士山のような歯車の山「スプロケット」を固定。

 続いては後輪。後輪にはスプロケットと呼ばれる歯車の山があります。変速すると、この歯車をチェーンが移動するのです。このスプロケット、届いたときに特に緩んでいることが多い部分だといいます。こちらもブレーキローターと合わせてしっかりと確認。

箱の中のものをただ取り付けるだけではないのです。

 リアホイールでは、「センター出し」の作業も見せてくださりました。これは、ホイール中央のハブ(スポークが集まる部分)とリムの中央がそろっているかを確認する作業。

自転車の安全な停車に関わるブレーキを調整。

 センター出しが終わり、ホイールを取りつけると今度はブレーキの調整。ディスクブレーキの場合、金属のパッドがローターを挟んでブレーキをするのですが、ローターがパッドの中央に置かれていないと片方が擦れて音鳴りの原因になるのです。

このままだと、ローターがずっとブレーキに擦られ続けてしまいます。

 これが、ブレーキ本体が偏っている状態。赤の矢印で記した箇所に隙間があり、左右で偏った状態です。隙間はローターを挟んで右側(写真でいう上部)にありますが、左側(写真下部)にないことがご覧になれると思います。これを調整すると……

解決した状態。赤い矢印の指す部分に隙間があるのがわかりますか?

 中央にローターがある状態。ローターの両隣(写真上下)に隙間があることが確認できますね。快適さのため、そして安全のためにしっかり調整しておきたい部分です。

シフターのスイッチを押しながらディレイラーを確認します。

 ディレイラー(変速機)の調整もしていきます。
 今回の自転車は変速機が後ろ側のみの「フロントシングル」と呼ばれるもので、なおかつ無線で変速できる仕組みになっています。ハンドルにあるスイッチを押しながら調整していきます。

変速がきれいに決まると走るのがより気持ちよく楽しいものになります。

 チェーンが動く際、引っかかったり動き過ぎたりしないかを細かに確認。箱の中にあったものはこれで組付け完了です!

【そして完成へ】

快適な乗り心地には、適切なポジションの設定が大事!

その後はユーザー様に合わせた適切なポジションだし。

サドルの角度を測り、水平にしていきます。この時はちょっぴり傾いていました。

 サドルの角度を合わせるのも大事なこだわりポイント!
 水平を基本セッティングとし、好みや座った時の感覚に合わせて調整します。

前後どちらに傾いていたかを確認し、ねじを緩めて調整。

 アプリを使ってサドルの先端と後端に合わせ、角度を調整。

見事、水平になりました。

 ぴったり0°に!

気配りやこだわりが行き届いた完成車になっていきます。

 最後にサドルに目印を付けて、そこからBB(ペダルが付くクランクの根元)までの距離を測り、ユーザー様の体型や要望に応じてベストな場所にサドルをセット!
 こうした丁寧な調整を経て……

なにが足りないか探してみましょう。

 ついに完成!

 ……ですが、どこかおかしい点にお気づきでしょうか?
 何かが足りないような。

 正解は……

これでは走れませんね!

 ペダルがない!
 そうなんです。完成車のなかにはペダルが付属していないモデルもありますので、その場合は別途に購入しなければならないのです。

スポーツとして乗りたい人、旅先の町を歩きたい人、買い物など町乗り……用途はさまざま。

 完成車にペダルが付属しないことは意外と知られていません。自分の乗り方、楽しみ方に合わせたペダルを選びましょう!



 いかがでしたか?
 今回のレポートでは皆さんがよく見かける自転車、親しんでいる自転車がどのように組み立てられているのか、その一部をご覧いただきました。今回のレポートで初めての発見があった方もいらっしゃるかと思います。

 自転車の楽しみ方は乗ることはもちろん、そのメカの仕組みや工業製品としての面白さもあると思います。NORERU?では今後もさまざまな観点から自転車の「たのしい」、「おもしろい」を発信していきたいと思います!


文:渡邉 淳(NORERU?スタッフ)

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