付き合いが深まると共通言語が増える
アフリカで遠距離恋愛中です。彼女とは国は別々なんですが、時差はないので基本的に毎晩電話(LINE通話)をしています。
いつも電話をする夜10時前になって、歯を磨いて、ふとんに入って、準備万端になったときに送るLINEが「寝る準備できたよ」。毎晩のようにこのメッセージを送っていて、ふと思いました。
「『寝る準備できたよ』ってそんなにポピュラーな言い回しでもないのに、『おはよう』とか『おやすみ』並の頻度で使ってるな」と。「果たしてこの表現をここまでレギュラー起用していいものなのだろうか」と。
一回気になってしまうとやたらと意識してしまうもので、このフレーズを使うのが妙に気恥ずかしくなってしまいました。もしかして「関西人でもないのにマクドナルドのことを『マクド』って言うやつ」みたいになってる…?もしかして彼女は独特のフレーズを使うおれのことを内心「寝る準備できたよおじさん」と呼んでるんじゃ…?
大して可愛くもないタレントがテレビや映画によく出ていると、「ゴリ推し」と揶揄されますが、自分も「寝る準備できたよ」を過大評価してゴリ推ししてしまっているんだろうか――。これぞ枕営業(だれが上手いこと言えと)。
代替フレーズも考えてみました。ひとつ目は「もう電話できるよ」。これだと「毎晩電話してるから、当然今日も電話するよね?ね?」みたいな半強制感が漂ってしまう…。
ふたつ目は「電話する?」。しかしこれも「お前が電話したいんだったら、してやってもいいぜ」という上からマリコなニュアンスになってしまう…。
三つ目は「歯磨き終わったよ」。もはや遠回しすぎてよく分かりません。相手からしたら「だからなんだよ」ですよね。幼稚園児か。
正解が気になって仕方がなかったので、彼女に訊いてみました。
「『寝る準備できたよ』って表現、なんか変じゃない?」
「なにが」
ですよね。彼女は全然気にしてませんでした。
「ほかに適当な言い方ないもんね。『寝る準備できたよ』には『電話しよっか』ってニュアンスも含まれてるし、それでいいんじゃない?」
海のように広い御心をもった彼女様でございました。
考えてみれば、このフレーズって彼女にしか使ってないんですよね。毎晩決まった時間に電話してる人なんて彼女以外にいないからほかの人に言うことはないし、だから「ゴリ推し」に似た違和感を感じてたんですね。
「寝る準備できたよ」って額面通りに捉えたらただの報告になりますが、いつもやりとりをしている相手だから「寝る準備できた(から、電話しよう)」という言外の意味まで汲み取ってもらえるのか――。
付き合いが長くなると、ふたりだけの共通言語が増えていくんだなあと、1年半という日々の連なりを実感した夜でした。
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