【岡崎市議会】「1人5万円還元」議案に対する賛成討論

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 2020年11月18日に開催された岡崎市議会 臨時会 最終日に於いて、中根康浩 岡崎市長が岡崎市長選挙の際に公約に掲げた「1人5万円還元」に関する条例改正案と補正予算案が採決され、否決されました。
 鈴木雅子 岡崎市議会議員(日本共産党)による賛成討論を紹介します。


■ 鈴木雅子 岡崎市議会議員(日本共産党)による賛成討論

 ただ今、議題となっております、第118号議案から第122号議案の全議案賛成の立場から、日本共産党 岡崎市議団の意見を申し上げます。

 第118号議案、岡崎市美術博物館整備基金条例等の廃止について及び第122号議案は、市長議案、令和2年度 岡崎市 一般会計 補正予算 第9号は、市長公約である、「市民1人5万円還元します」という、「おかざき市民応援給付金」に関連するものとして合わせて意見を述べます。

 市長の「5万円還元します」の公約は、選挙告示1週間前に市民の前に現れたものでした。
 日本共産党は市長選挙にあたり、「あったか岡崎市政の会」と共に市長の公約と私たちの持つ公約やビジョンと照らし合わせ、自分達の掲げた公約の実現のため、政策応援、自主支援という形で選挙を戦ってきました。

 5万円の給付金は、日本共産党の公約ではありませんが、選挙後も市民の方から沢山ご意見を頂いています。
 共通するのは、「コロナで困っている人には給付をすべき」という意見です。
 売り上げの減少が未だに戻らない自営業者の方、アルバイトが無くなって、生活や学費に困っている学生さん、首を切られた派遣社員など、ここに手を差し伸べることこそ実現しなければならない課題です。
 市長は5万円という金額、年内という期限、市民全員という対象に拘っていました。
 これについても多くの方々から「全員じゃなくてもいい」、「個人ではなく世帯でもいい」、「半額でもいい」、「所得制限をつければいい」などなど、色々な意見がありました。
 市長は議会との関係について、市長の背負っている民意、議員の皆さんが背負っている民意、それぞれが建設的な議論を積み重ねていくと答弁をされました。
 話し合いにより、歩み寄れると感じました。
 これは、本来の議会と行政の在り方そのものです。
 自民清風会さんからは「中根市長が市民生活に寄り添い、穏やかな年末を送って頂きたいという優しい気持ちからだということは理解をしている」という旨の発言がありました。
 私達の会派に1/12以上の議席があれば、修正案を提出して、建設的な議論をして戦いたかったです。
 実際、議会の権能は2つあります。
 条例を立法する、「立法機能」。
 行政を抑制、監視する、「行政のチェック機能」です。
 是非、行政との政策立案の切磋琢磨を実現していきたいものです。

 市民の皆さんがご心配をされている財源の問題です。
 東岡崎駅周辺地区整備基金、公園施設整備基金、文化施設整備基金、美術博物館整備基金の4つについては、当面の大規模な支出の予定が無いというところで、廃止をして一旦財源に充てても良いと考えます。
 起債ができるものは充てて下さい。
 公共施設保全基金については、2012年度から施行されていますが、年度毎に15億円を積み立て6億を取り崩す、20億積み立てて10億取り崩すなど、積み立てながら取り崩して現在の44億円の基金残高になっているものです。
 実績から考えて、約半分は取り崩しても当面支障が無い金額と考えます。
 また、財政調整基金についても、毎年40億もしくは50億、当初予算編成のために取り崩され、120億円の残高に戻しています。
 取り崩せる金額は、約31億円ではないでしょうか。
 そうすれば、合計117億円になります。
 23万4千人の給付金額です。
 市長はスクラップ&ビルドによる見直しと言っておられますので、必要があれば再度、基金の積み直しで良いと思います。
 「他の公約が実行されないなら、給付すべきではない」というご意見も沢山ありました。
 日本共産党も、「まちバスやデマンドタクシーを市内全域に走らせて欲しい」という市民の要求を実現したいし、少人数学級、給食費の無償化、 PCR検査の拡充など、出来る限り急いで実施をして頂きたいものもあります。
 先日のご答弁では、取捨選択をしていくと言われました。
 市長の公約に出されたロードマップによれば、今回の給付金以外に、多額の費用がかかるものはありません。
 実行されれば、着実に市民の皆さんが要求されている施策に道筋ができます。
 形式的な調査や審議会ではなく、本格的実現に向けた調査審議に踏み出し、市民や議会の意見を聞いて下さい。
 既に市長は、コンベンションホール建設中止について、相手方の建設会社に中止の話し合いを行っているということです。
 八丁味噌のGI問題も農水省を訪れられ、水道事業の民営化する意志は無いことは厚生労働大臣宛に宣言をされました。
 PCR検査等、他の対策は緊急です。
 少しでも、少しずつでも、予算付けをお願を致します。
 給付金について、日本共産党市議団から提案を致します。
 非課税の市民が子供を含めて約半数います。
 その方たちにまず、優先的に支給をする手続きを進めてはいかがでしょうか。
 非課税でない方でも困っている人はいます。
 定額給付金同様、早期特別申請を実施されることも必要です。
 あとの方については繰り越しにして、来年度の予算も使って、現金給付だけではなく、5万円を、市税や国民健康保険料、介護保険料や保育料の減額に、あるいは水道料金にも充てられるようにしてはいかがでしょうか。
 自営業者の場合、5万円頂いても、資金繰りには焼け石の水という場合もあります。
 しかし、高過ぎる国民健康保険料や市税を完納することで、制度融資を使える人も出てきます。
 日本共産党は、定額給付金の時にも、所得制限など線引きをすることは、貰える人、貰えない人の間に分断を生み出すので安倍首相が提案をされた30万円所得制限付きという提案を、野党と共に全員に10万円支給に変えさせてきました。
 今回も対象は市民全員とすべきですが、その給付期間は短期間に区切る必要がないと考えます。
 税収の減少から見ても、事業者市民の皆さんが収入減少で大変が状況に置かれていることは間違いありません。
 それに対する行政の対策が必要です。
 おかざき応援給付金の支給が、コロナ対策の全てではありませんが、市民が必要とする様々な支援策をさらに検討すべきです。

 世論の中には、「5万円が貰えるなら」と投票した人も多いということも言われています。
 しかし、それだけでは選挙は勝てないということは、翌週に行われた豊山町長選挙が証明しています。
 岡崎市長選挙は、22億円の人道橋が市民の目の前に現れ、それに続く80億円のコンベンションホール計画を知り、そんなお金があるなら、まずはコロナ対策をすべきという怒りと願いを寄せた結果でありました。
 今回、市長が5万円の還元を公約にされたことで、今まで以上に市民の皆さんが市政や市の財政に興味を持たれ、様々なご意見を述べられています。
 今回もし、市長が「年内」、「5万円」、「全員」に拘り続けるとすれば、むしろ市民の声を聞かずに暴走することになります。
 前市長が自らの公約の実現の話をされる時に私は、当選をしたことが公約を白紙委任されたことではないと強調してきました。
 岡崎市の日本共産党の大先輩である田中貞夫 元県議は、「困った時には市民に聞け」と言っ
ていました。
 13歳の子供がこう言いました。
 「1年間に1万円ずつ配れば、市の財政にも優しく、弱者にも優しくなれるのでは?」
 何と優しい提案をしてくれることでしょう。
 この機会を逃さず、市民の皆さんが、行政に意見の言い易い仕組み、市民の意見が市政に反映されると実感できる仕組み、いわゆる市民参加の市政を前進させるべきと考えます。
 11月13日に放映された、テレビ朝日「羽鳥慎一 モーニングショー」では、岡崎市民があたかも5万円に釣られて投票をしたと市民を見下したようなコメントがされたとして、市民の中から怒りが沸き起こっています。
 マスコミ報道の不正確さが混乱を大きくしています。
 朝日新聞には、市長が話をしていないのに「議案撤回」の記事が書かれ、私自身も態度表明をしていないのに「反対している」と中日新聞に書かれました。
 真実を伝えないマスコミに姿勢にも多くの怒りが寄せられています。
 ある市民の方が今回の市長選挙に対する周りの皆さんの声を巧くまとめてみえますのでご紹介します。
 「前市長の市政では、市民の声が反映されていない。」
 「恐竜や四天王像は、誰の要望だったのか?」
 「突然出てきたペデストリアンデッキ。」
 「市民会館収容数が1500から1000人に縮小。」
 「対話集会は対話ではなく説明会。」
 「コンベンションホールに固執し過ぎ。」
 「人道橋と緑道の名称決定の経緯が不明。」
 「10年、20年、50年先の展望が無い。」
 「メモを見るが市民の顔を見て話さない。」
 などなどです。
 「前市長のこのような言動に市民がうんざりした結果だ。」とこの方は仰っています。
 本来、コロナ対策は国が行うべき災害対策です。
 来年度の予算に減税補填債が発行されるようですが、重要な個人市民税の減収の補填がありません。
 リーマンショックのときの臨時財政対策債は、市税収入の減少に対して充当率がもっと高いものでした。
 残念ながら、国は本腰を入れて国民の命を守るための対策に打って出ているとは思えません。
 地方自治体の現場の声を是非、国に上げ、更なるコロナ対策を強く要求されることを求め
ます。
 本日早朝から、岡崎市役者の前には、「市民派市長がんばれ!」などの横断幕を掲げ、市民の皆さんがアピールをしてみえました。
 この方達は、「何が何でも5万円を給付せよ」という立場で立たれているのではないということを伺いました。
 市長が言われる、「市民に寄り添った政治」をして欲しいという思いだということです。
 職員の皆さんにおかれましても、今までと180度、方向が変わることも多々あると思います。
 市長と意見の違うこともあります。
 しかし、市民のための市役所を作りたいという思いは一緒だと思います。
 話し合い重ね、公平公正な事務執行をお願いします。
 そして、今日のアピールは、市長にも向けられたものです。
 10万票の重さを実感し、ブレずに圧力に屈せず、市民の熱望する公約の実現に邁進して欲しい。
 この思いを受け取って下さい。
 以上、述べた補足修正点を付して、新型コロナウイルス感染症の影響で、本当に大変になっている市民の皆さんから支援を行う施策として、賛成を致します。
 市民が5万円を通して期待している温かい市政、市民の心に寄り添う市政に向けて、議会との議論を重ねられることを期待します。


 第119号議案、岡崎市附属機関設置条例の一部改正についてです。
 岡崎市30人学級実施検討会議の設置です。
 日本共産党は長年、少人数学級の実施を求めて参りました。
 国、愛知県が行っている、小学校1年生、2年生、中学校1年生の35人学級も、国民と現場教職員の皆さんの運動で実施をされてきました。
 現在、西三河では、安城市、豊田市、知立市、みよし市で、県の枠を超えた少人数学級が、市の事業として行われています。
 岡崎市でも少人数学級が実施されれば、コロナ禍での教室の3密を少しでも緩和できること、子供達により木目細かな指導ができること、子供達の健康と豊かな学びを保障することができます。
 同時に教職員の負担軽減を図る上でも大きな励ましとなります。
 コロナによる学校休業明けの分散登校の実施を見て、保護者の中からも少人数学級を求める声が高まっています。
 委員の選任は、広く公募をかけ、基準明らかにし、選考理由が明確にできる透明性を持って下さい。
 また、急な設置となりますので、後から必要な分野の方が必要となれば、委員に追加をされます
よお願い致します。
 コロナから子供達を守る喫緊の課題として、早急に30人学級が実現できるよう、審議を進めて下さい。


 第120号議案、「岡崎市長の給与の特例に関する条例の制定」について、第121号議案、「岡崎市長の退職手当の特例に関する条例の制定」についてです。
 当面、再来年3月までの市長の給与の半減、退職手当の不支給を決める条例です。
 市長の決められた公約ですので、実施をされることは構いませんが、他の特別職、職員全員に波及をさせることがないよう、お願いを申し上げます。

 以上を申し上げ、日本共産党 岡崎市議団の討論と致します。


■ 「平成30年度決算財務書類からわかる財政状況」(岡崎市)

https://www.city.okazaki.lg.jp/1300/1301/1338/p001474_d/fil/30zaimugaiyou.pdf


■ 地方公会計制度に基づく岡崎市の財務書類

https://www.city.okazaki.lg.jp/1300/1301/1338/p001474.html


■ 岡崎市の財政状況資料集

https://www.city.okazaki.lg.jp/1300/1301/1338/p011884.html


■ 財政状況資料集(総務省)

https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/jyoukyou_shiryou/


■ 118号議案・122号議案(全市民1人5万円給付)に関する資料

https://www.city.okazaki.lg.jp/shigikai/732/p027757.html


■ 令和2年11月臨時会の審議結果

https://www.city.okazaki.lg.jp/shigikai/732/p027737.html


お読み下さいまして、ありがとうございます。