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現代の靴は進化か退化か?

こちらの続き。

前回深くは書かなかった、ベアフットシューズを履くに至るまでの思考のあれこれです。


私はけっこう早い時期に、ハイヒール靴を履くのはやめてしまった。

就職して少し経った頃のことだったと思う。高めのヒールがついた靴を履いて、新宿西口から東口の紀伊国屋書店方面に地下道を歩いた時のことだ。それが仕事帰りだったこともあったのか、ものすごく疲れ、足は痛いし、やたら遠い道のりに感じた。ここは中学高校の頃からよく通った場所で、歩いてここまでの疲れを感じたことなんかない。

それでカチッとスイッチが入った。見た目のために動きや健康を犠牲にするなんてバカらしい!余程のことがない限り、ハイヒールは避けようと決断したのだ。

その後、ドイツに来たこともあって、フォーマルな革靴自体も履く機会が減った。それでも、靴箱の中の靴は踵が2~3cmは高い靴がほとんどだ。

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そもそも、現代の靴はなぜ踵が高くなっているだろうか?

中世には、ひどく汚れた道を歩くのに汚れないためのTrippeや、流行によるデザインのChopineKothurnなど、高さのある靴はあったらしい(リンクはいずれもドイツ語Wikipedia)。

そして、現代のような靴が生まれたのは、乗馬用に作られたものが発祥と言われているそうだ。足を置く鐙(あぶみ)の輪に足を入れやすいように、靴の先を尖らせ、乗馬中に足が鐙にしっかり乗るように踵をつけたらしい。

つまり、道が汚物まみれでもない現代に、乗馬もしないのだったら、靴にヒールをつけるのは機能的には意味がないかもしれないというわけだ。

その後、『運動靴』というカテゴリーの靴が生まれ、1972年にNikeが現代的なアスレチックシューズを発明したのが、運動靴が厚底になり、踵が高くなった始まりらしい。その話は前回紹介したこの本に書いてある。

私が以前好んで履いていた、古いデザインのハンドボールシューズのSpezialも踵が少し高くなっている。調べてみたら1978年に製造開始したらしく、時期的にも厚底になり始めた頃だったのだろう。

ランニングに関して言えば、人は裸足で過ごせばつま先で着地するフォアフット走法をするのに、クッションの効いた靴を履くようになってから踵着地のヒールストライク走法をするようになったのではないかと言われているそうで(最新のNikeの厚底シューズはフォアフット走法でないと使いこなせないそうだけれども)。なので、裸足もしくは薄底の靴で育ったアフリカ出身のランナーはフォアフット走法なのだそうだ。

現代に開発されてきた靴は、果たして進化なのか退化なのか…?

最新技術を謳っているけれども、人体にとっては退化を促すものなのではないだろうか。厚底靴が開発される以前は、ランナーの怪我が少なかったという話も上の本に書いてある。

私はランニングはしないのだけれども、踵が高く、クッションがついている靴が体を退化させるものなら、履き続けたくはないなぁと思った。それでベアフットシューズを履いて、自分の体で確かめてみようと考えたわけだ。

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