見出し画像

手が喜ぶこと

忙しかったり、気温が低いと
以前遊びのようにしていたパン作りも
やらなくなっていました。

手で何かする、糠床をまぜるような些細なことでも、
混ぜ終えると
何か充実した感覚があります。

農作業はほぼ手作業だし、
手袋は使うにしても、
野菜についた土を洗うときは、
素手です。

土に直にふれますが、
最初は冷たくて嫌でも、
素手で土に触れると、
気分がいいものです。

さて、数ヶ月ぶりのパンです。
ちょっと余っていた全粒粉だけの
ものですが、

手で粉に触れているときは、粉の感触を
頭ではなく、手で感じています。

頭が喜んでいるのではなく、手が楽しんでいるような、
不思議な感覚になります。

以前、手打ちそばを習っていたとき、
「粉が全て教えてくれる」、
と聞きました。

今となって、その意味が
よくわかります。

水が少なければ、
粉にふれていると、水気がたりない、

また生地をまとめるタイミングも、
粉からの反応でわかります。

こういう手作業中は、
頭ではおそらく何も
考えていません。

でも、粉とは、
指先や手のひらからも伝わってくる
感触があります。

小麦粉との言葉を交えない会話でもしているのかもしれません。


気温が低いと、
常温発酵はなかなか進みません。

砂糖もモルトシロップも使わない、
というのが、
コルドンブルーというフランスのパンの学校の本にありました。

小麦と酵母、水と塩、
原材料はこれだけです。

日本のフランスパン、
バゲットの作り方と本場は違う、
って何年か前に実感しました。 

大事なのは、原材料、温度と放置
(熟成)、こねない、
だと読み取りましたが、
おそらく、手の常在菌のこともあるとは思う。



発酵不足、気温が低すぎました。
玄関におき忘れたのですが、
0度以下になっていたかも。

冷蔵庫に入れて一晩寝かせる方が、
まだ良かったかもしれません。

あるいは、冬の例外として、最初に砂糖を1gでも、5gでも入れて、
酵母の発酵を助けるようなことをしても
良かったかもしれません。

これも目で見て感じる粉からの
メッセージです。

とはいっても、今回はフランス産小麦粉ではないので、
そのせいもあるのかもしれません。

ちなみに、北海道等の
フランスパン専用粉には、
米麹やクロレラなどが入っているのをみたことがあります。

おそらく、パンの中に空洞が空くように、あるいは麹で発酵を助ける効果でもあるのかもしれません。

以前、粉屋さんが
何度かサンプルで上記の粉を
くれたのですが、いい感じで発酵し、
いい感じでパンの中に穴があく。

見た目はとてもいい感じの
フランスパンになったのですが、
味はまぁ普通。 

比べると、小麦自体の良い風味は
少ないように記憶しています。

リスドオルという、専用粉も似たような使用感で、
おいしいが、とても美味しい、
とまでは言えないパンに。

まぁ、現地のパンで生活していたことがある人にしか、通じないことだ
と思います。

今なら、どこか都会だといいバゲットも
あるだろうけど、大半はまぁまあ、普通と言ったバゲットです。

使いやすさは日本の専用粉が
いいとは思いますが、
扱いにくくても、いい味を出してくれる方が、私の場合は好きです。

腕の悪さ、経験不足、
技術の低さを原材料に助けてもらう。

現地のものは、強力粉でも薄力粉でも中力粉なでもない部類に
入る粉だそうですが、

製粉はかなり原始的だと
聞いたことがあります。小麦の味がじわじわと出るのが特徴かもしれませんが、
とにかく現地のはおいしいのを
思い出します。

いらないものを足してごまかさず、
シンプルな素材のみ、本来の和食の
原点に近いようです。

おそらく、砂糖やバター等を
大量に使わない場合、

テニスのイワニセビッチが言っていた、
小麦の弊害もないか
少ないのかもしれません。

小麦粉が体に悪い、とは合う人も
合わない人もいるだろうから、
そう断定もできないはず。 

ソクラテスだってパンを
食べていたはずだし、

パンの弊害があるというなら、
2000年を越える歴史の中で消えてもおかしくはないはず。

小麦粉と何かが合わさって、
悪くなるのはあるかもしれません。

こね過ぎてグルテンが
多いのもそうかも。

とはいっても、実際どうなのか、わかりません。

おそらく安くて添加物が多いパンを
常食するのが
よくないのだと思います。

さて、粉を手で触れ、
見て感じ、
仕上がり、食感、味、などいろいろと体感する。

粉からのメッセージか教えも伝わってくるように思いました。

コーヒーでも生豆を自家焙煎、
手動ミルでもやれば、

随分と違う世界に入れます。
またコーヒーについても
関心を持つようになれました。

要は、手で何かすると、
何か伝わってくるんじゃないかな、って思います。

手料理、手作業、手作り。
意外にも奥が深いように思えてきます。

インスタントコーヒーは
不味くはないが、
特に美味しくは感じない。 

そこで関心や話題が
生じることが少ない、

便利なものほど、無関心に
なるように思います。

話題があちこちに飛んでしまうので、
この辺で。

さて、生地をまとめる。
あとはガスオーブン、70年代のレトロなパナグリルにお任せです。

15分、最小の弱火でも強力な火力です。

お湯も沸かせてパンやコーヒー、
グラタン等も
同時に出せる、と言うのが
売りだったらしい。
タイマーはブザー音がなるだけで止まらない。
火力調整はあるけど、
自動消火などない。
最低限の機能です。

外側を強力な火力でパリッと仕上げ、
中も十分な熱を通す。
ガスオーブンの特徴です。

製造から50年近く経とうが、
まだまだ松下のパナグリルは現役で
大活躍です。

この火力の強さがあってこそ、
できるものって他にもありそうですね。


無水鍋でもできるのが、興味深いところですが、
今回はオーブンで。
オーブンだと香りが際立つ。


焦げました。でも十分許容範囲。
15分の間にコーヒー豆等を
準備すれば、
ちょうどいいタイミングでコーヒーもできます。
硬め、でも味はいい。 
粉の品質がよければ、
多少のことはカバーして
くれるようです。
何もつけなくてもいい。

明らかに失敗のようでも、
味はいい。素材の大切さは
仕上がってからわかってきます。


ちなみに、こういう手作りは、
気が乗らない、
疲れているとき、など、気分が悪い時は一切しません。

面倒だと思ってやっていると、
発酵も仕上がりも
何か変になることがありました。

要は楽しくできること、手が
素直に心地よく感じる状態、
が大事だと思います。

手が喜んでいるような、
不思議な感覚ですが、

おそらく、手の常在菌にも大きな影響があるのではないだろうか。


手のひらを使う、
手のひら療法、レイキもそうですが、
素手で握るおにぎりも、
手のひらを使う。

手のひらって、忘れがちですが、
結構大事に思えてきます。

となると、過度なアルコール殺菌も
考えものです。

手の常在菌も一緒に
殺菌していることになるからです。

では、手の常在菌に
活性化してもらうには、

って考えると、手のひらが喜ぶことをしていくのが
いいかと思っています。

土に、微生物に触れる、
手料理をする、
てづくりをする、
ぬか床を混ぜる、

要は手を使っていくことです。

カメラを手で持ち、ファインダーからの景色を感じる。

シャッターを切るときの一瞬の
緊張感のようなものでも、
手が喜んでいるような気がします。

だからこそ、持ち心地、
ホールド感などを
重視しているはずです。 

人それぞれですが、持ってみると
出かけたい、写真を撮りたい、
って思わせるカメラってあります。

でも、考えてみれば、
スマートフォンで事が
足りるわけです。
それでも、
何かしら手間がいるものに、
邪魔くさいと思いがちなものにこそ、
いいものって埋まっていそうです。


ぬか床も毎日混ぜたら、糠漬けも
不思議と美味しく感じる。

混ぜる前、
冷たい、寒い、という一瞬のためらいは
毎回あります。

常在菌を鍛える
活躍させる、
ということは、

事前に頭で考えていたものの、
寒いと忘れてしまっている。

それでも、いざ糠床をかき回せば、
両手を使える幸せを
強く実感できます。

面倒くさい、寒い、
それでも何度も挫折してでも、
繰り返し続ける。

その間に手の常在菌が鍛えられて
活性化すると思っています。

素手で握ったおにぎりが
やっぱりいいのは、
何か楽しみがあって握っている時。

田植えや農作業で一番のご馳走はおにぎりだと思ってます。 
水分が多くても、少なくても、
おひつが調整してくれます。

手当て、手料理、
手で動物をなでる。

手は面倒そうなことも
何か良いものに変えて
伝えてくれるような
面があると思えてきました。


蜜蝋、シアバター、ホホバオイルを湯煎で溶かすだけ。
エッセンシャルオイルなしの、シンプルなもの。

ヘアジェル、ハンド・リップ・かかと兼用のクリームを作っています。
体も喜びます。
買う前に作ることを考えよう、って思うようになりました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?