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問題:日本は何歳でしょうか?

ナミビアが独立して32年が経つ。
私は来月31歳になる。

ナミビアの方がひとつ先輩だ。ナミビアの年長者の方々は独立当時を経験している。そこではいったいどんな経験をしたのだろうか。いずれ聞いてみたいものである。

しかしなんというか、
日本人の感覚からするとひとつの国家と自分がほぼ同い年だという事実には単純に驚く。なんせ日本の歴史って長いのだ。

そこまで話してふと疑問に思う。
日本はいったい何歳なんだ?

自分の国のことなのに意外と知らないものである。海外にいって聞かれた時に、知りませんではあまりにも寂しい。ぜひ読んでいっていただきたい。

1.独立記念パーティ

私のボランティア先であるモーレソン特別支援学校で独立記念パーティが行われた。色とりどりの民族衣装に身を包み、いつもより少し誇らしげな表情で子ども達が踊る。普段のあどけなさはどこへやら、このイベントに臨む真剣な姿勢にナミビア人としての誇りを感じた。

"世界で最も美しい民族"と名高いヒンバ族。某"世界の果てまで行ってくるTV番組"でお笑い芸人のイモトアヤコ氏が出会ったサン族。

日本で有名なナミビアの民族はそういった方々だろう。だがそれ以上にナミビアにはたくさんの民族が暮らしている。

オシワンボの人々の伝統的な衣装とダンス
ダマラの人々の独特なステップ
へレロの人々のドレスの被り物にはツノが生えている
私は"ナマ族"に誇りを持ってる!と言っていた先生

それぞれの民族の子ども達が、それぞれの伝統を誇らしげに披露していた。本当に歌と踊りが好きな国である。

「Mr.おーくぼも日本の伝統衣装で!」と言われていたので急遽、事務所の所長にお借りして浴衣を着て参加した。浴衣姿はもの凄く子ども達に人気だったので機会があったらまた着ようかな。

兎にも角にもナミビアという国に誇りを持って独立をお祝いする姿には心が震えた。

2.民族意識

同じ国に違う民族が暮らす。

このイメージが掴みづらい人は多いのではないだろうか。日本には海という分かりやすい国境があるので「海の向こうが違う国」「海の向こうが違う民族」という意識があるのかもしれない。

だがいくら海に隔たれているとはいえ、日本は単純に単一民族だけで構成されているわけではない。琉球王国やアイヌの御子孫の方々も暮らしている日本においては、実は異なる文化が共生するという土壌が備わっている国なのだ。

一方で、アフリカ諸国は植民地主義が全盛だった時代に欧米諸国によって国境を定められた経緯がある。もともとそこにあった民族のコミュニティにはお構いなしに国境が引かれ、複数の民族が一堂に会する国家が歪な形でできあがったのだ。 

なのでナミビア国内であっても地域によって特色がかなり異なる。話されている言語も10種類を超える。初対面の人に会えば「どの言語を話すんだ?」と質問するところからコミュニケーションが始まる。

驚いた事がある。
もし子どもと先生の話す言語が違った場合、その子どもが何を言ってるのか分からないという事が起こるのだ。英語を習うのは4年生くらいからなので、その状態で教育をするというのは些か難し過ぎやしないかと感じる。だからこそ英語が「共通の公用語」として必修なのだ。

そんな多民族国家ではお互いの文化を尊重する姿勢がとても重要になる。自分の文化を押し付ける人ばかりでは国家として成り立たないだろう。だからなのか、現地の先生方と話していると「リスペクト」という言葉がよく飛び交う。

素敵だな、と感じるのは校長先生の挨拶だ。

よく会議の最後とかに「今日はありがとうございました。これで以上になります。」みたいな締めの挨拶を聞く。うちの校長の場合は、その場に居る人が話す全ての言語で「ありがとう」を言うのだ。

Thank you🇺🇸
ありがとう🇯🇵
ダンケシェン🇩🇪
ダパンドゥラ🇳🇦
などなど他にも多数。

時間は掛かる。
あえて時間を掛けていると言ってもいいかもしれない。時間を掛けて丁寧にリスペクトを表しているのだ。多民族の集まる場で「ありがとう」という言葉が広がることに、なぜだか私も嬉しい気持ちになる。

リスペクトとはつまりそういう事だ。
尊重されると、人は嬉しいものである。

3.答え:日本は今年で○歳です。

答えは2,682歳である。
ナミビアが32歳になるので少しばかり日本の方が歴史が長い。

初代天皇陛下である神武天皇が即位したのが2682年前の2月11日であり、そこから日本はずーっと日本。世界一の長寿国家なのだ。

ナミビアの独立記念パーティを経てナミビアの皆さんの自国を愛する姿勢に感銘を受けた。そこから立ち返っていま、母国日本の成り立ちに改めて思いを馳せている。多民族同士で尊重し合うナミビアの文化も、伝統を継承し続ける長寿国家日本も、それぞれ特色があって面白い。

ナミビアに来る時にその歴史を独立の前から勉強したけど、私のだいすきな日本という国についてもまだまだ勉強したい事がいっぱいだ。

海外に住んでよりその想いが強くなった。

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