エマノン

HSS型HSPのアレコレや、過去のやらかしを整理して、生きるために言語化します。

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マガジン

  • シェアハウスの人々

    とあるシェアハウスで出会った人たちの話

  • 住み込みバイト脱走記

    住み込みバイトを脱走した時の話

  • 派遣OLだった頃

    派遣先で馬車馬のように働いてた日々の記録

  • 路地裏スナック四方山話

    スナックでバイトしてた時のあれこれ

最近の記事

母の余命宣告

4月30日 もう、心の準備はできていたのかもしれない。 以前の私だったら取り乱して、物に当たったかもしれないし、どうしようもないけど父親のせいにして恨み言のひとつでも吐いていたかもしれない。 今は思ったより落ち着いて現状を受け入れている。 今日、骨シンチとCTの結果、母は余命半年ほどと告げられた。 肝臓や骨に転移した癌細胞はもう手の施しようがないらしい。 来年はもう・・と言うか、今年の暮れに母はもう居ないかも知れない。 本人の声は意外と元気そうだった。「大丈夫」と母は言

    • 住み込みバイトを脱走した時の話vol.4

      シャワーを覗かれていることに確かに気づいたにも関わらず、私がとった行動は「なかったことにする」だった。 いや、結果的に恐怖心から何も言い出せなかっただけなんだけど。 大体の性的被害は怖くて抵抗できないからっていう理由で受け入れる人が多い気がする。例えば痴漢に遭って「この人痴漢です!」って言える人ってマジすごいなって思う。 そんなこんなで1日目が終了した。 だいぶやべーおっさんと、陸の孤島みたいなところで1ヶ月。お先真っ暗とはこのことだと思った。 ケチで、スケベで、何もい

      • もうちょっと何かあるやろと思ったタイプの告白

        女子トイレで知らない女性社員から「急にこんなこと言うの変だと思うんだけど、会ってほしいって言ってる男の子が居るの。お願い出来ないかな?」と相談を受けた。 めちゃくちゃ社員多い会社だし、完全に人違いじゃない?と思った。 彼は社員食堂で見かけた私のことが気になり、でも直接声をかけるのが恥ずかしくてそんなお願いをしてきたらしい。 それ絶対私じゃないと思うんで、確認してもらった方が良いですよ?と強気で出ると、間違いないとのこと。 1回お酒を飲みに行く位ならと思って連絡先を交換

        • 派遣OLだった頃

          そこは、自分が初めてデザイナーとして働いた会社だった。 80人以上の開発者やテスターに囲まれ、デザイナーは私一人。 毎日怒鳴り声が聞こえるのが当たり前の環境の中、毎日深夜12時過ぎまで働き、右も左もわからない茨の道を切り開いて行った。 その会社は、誰でも知ってる大きなところだけど、その部署だけは少し変わっていた。 門外漢と呼ばれる課長が、会社の抱えるデザイナー達は自分のイメージ通りの仕事してくれないからと、個別に派遣を雇ったのだった。 そこにたまたま潜り込んだのが私だった。

        母の余命宣告

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          1本
        • 住み込みバイト脱走記
          4本
        • 派遣OLだった頃
          2本
        • 路地裏スナック四方山話
          5本

        記事

          路地裏スナックでママのお手伝いをしていた頃 Ep.5

          「勉強とかバイトで忙しいってのを理由に断るんじゃなくて、あいつのことをどう思ってるかで答えてあげた方が良かったと思うよ。そうでないと、落ち着いたら付き合えるのかなって思っちゃうよ」 お客さんから告白された時に、正直なところ生理的に厳しくて、でもそんな風に言うことも出来ず、忙しくて難しいみたいな断り方をしたことがある。その時の連れの男性に後日言われた言葉だ。 あの頃の私は人に誠実じゃなくて、はぐらかしてその場を凌ぐことが多かった。目の前の人を、傷つけて自分が悪者になるのが嫌

          路地裏スナックでママのお手伝いをしていた頃 Ep.5

          ハイスペ女子の世界

          20年以上前に起業家の知り合いと、GWにお台場でBBQをした事がある。思いつきでご飯を提案したら、あっという間に30人以上を集めてくれて、知らない人たちに囲まれるよく分からないパーティーになった。 その規模感にも関わらず、お代は全部その人持ちという気前の良さで、皆そのことに何の疑問も持っていない様子だった。 彼は高校生の頃に起業し、すでに成功していて、当時まだハタチそこそこだった。 私はこじんまりした会で良かったのに、ちょっと大変なことになったなと思いながら、とりあえずそ

          ハイスペ女子の世界

          路地裏スナックでママのお手伝いをしていた頃 Ep.4

          派手な服を持っていなかった私の出勤スタイルは、大体白のブラウスと黒のタイトスカートだった。 でも、ホステスはそういうのじゃダメらしい。 しばらくしてママから「もうちょっとセクシーな服を着てきなさい」との指令を受け、周りのお姉様方の見様見真似でやや露出の高い服を着るようになった。 大体のホステスさんはタクシーで帰っていたけど、私は近所なので徒歩だった。多分露出の高い女が深夜に路地裏をウロウロしているのは無防備なんだと思う。帰りはジャケットを羽織ってはいたものの、やんわり夜職の

          路地裏スナックでママのお手伝いをしていた頃 Ep.4

          路地裏スナックでママのお手伝いをしていた頃 Ep.3

          カナコさんは、ベテランのホステスだった。 本人曰く、若い頃は銀座で働いていたらしい。 見たところ40代後半くらい。シングルマザーで大学生の息子が居た。 細身で、昔はすごい美人だったんだろうなというはっきりした目鼻立ち、ちょっとガラは悪いけど身内に優しいタイプ。声は完全に酒焼けしている、いわゆる「スナックに必ずひとりは居そうなホステス」だった。 「銀座では売れっ子だった」 「昔は芸能人の誰々とよく飲んだ」 「医者とか弁護士とか、いろんな金持ちと付き合った」 などなど、酔うと

          路地裏スナックでママのお手伝いをしていた頃 Ep.3

          住み込みバイトを脱走した時の話vol.3

          住み込み先の雇い主が出会って秒でヤバい奴と判明しつつも、いやいやもしかしたらワンチャンいい人かもしれんし、という淡い期待を抱きながら、働き先兼住居へ到着した。ドナドナの気分で。 建物全体は北の国からに出てきそうな、築うん十年は経っているであろう木造の平屋建てで、ギャラリーと繋がっていた。 こないだまで30歳くらいの女性が住み込みをしていた、という部屋に通される。和室で半分物置部屋みたいになっていて、全体的に埃っぽく、布団は極薄だったが、まあ仕方ない。 早速仕事内容を確認す

          住み込みバイトを脱走した時の話vol.3

          パチ屋の人間交差点

          それまでも、それ以降も、パチンコやスロットをしたことはない。時給がいいから、という理由だけで始めたバイトだった。 そこにはホスト崩れや、元キャバ嬢、高校卒業後ずっとこのバイトで食い繋いでるフリーター、夜間学校に通う学生など、色んな人がいた。 「目押しを教えてあげるよ」と、プレステのスロットゲームとコンビニ飯と共に閉店後の深夜に店長が家にやってきたことがある。 当時警戒心のカケラもなかった私は、店長が純粋に目押しを教えてくれるためだけに来たものだと思い込んでいた。今もそう思

          パチ屋の人間交差点

          路地裏スナックでママのお手伝いをしていた頃 Ep.2

          常連のゲンさんのボトルは鳥飼という焼酎だった。 飲み方はワンフィンガー、薄めの水割。 強面の60代後半、偏屈で、会社に居たら多分苦手なタイプ。 ゲンさんは若い女より40代以上が良いらしく、私がカウンターにつくといつも少し嫌な顔をした。 今思えば、若い女なんて気を使うし、下手したら機嫌を取ってあげなきゃいけないから、面倒ってのもあったかもしれない。 私ももし同じ立場だったら、若くて生きの良いだけが取り柄の、承認欲求お高め男子よりも、こなれた包容力のある落ち着いた人に接客して

          路地裏スナックでママのお手伝いをしていた頃 Ep.2

          路地裏スナックでママのお手伝いをしていた頃 Ep.1

          そこは横浜の外れ、日雇労働者の溜まり場、地名がバレるとちょっと恥ずかしい、そんなイメージの街の、路地裏横丁にあるスナックだった。 あの頃の私は生きるため、ヒモ彼に食べさせるため、そして学業を継続させるためのお金が欲しくて、色んなバイトをしていた。 単発で怪しい割りの良いバイトも時々したけど、それなりにリスクもあったし、一定収入を効率よく稼ぐには夜職が一番だった。 駅裏のパチ屋で夕方まで働いた後に、そこから徒歩数分のところにあるスナックで深夜まで働く。それが私の日常だった

          路地裏スナックでママのお手伝いをしていた頃 Ep.1

          住み込みバイトを脱走した時の話vol.2

          その日はカラッとよく晴れていた。夏の北海道の空気は湿度も低く心地よかった。 札幌からその僻地へはバスで2時間以上。友達からもらったおにぎりはもう無くなっていた。 カメラマンとの待ち合わせ場所で待つこと10分ほど、オンボロの軽自動車で彼は現れた。 現れたけれど… 会って即「なんかヤバい」と感じる人ってそんなに居ないんじゃないだろうか。彼はそのヤバい人だった。 まずヤバいと感じたのは、その出立ちだった。 服装は白いTシャツにデニムだったのだが、そのTシャツは何千回洗えばそ

          住み込みバイトを脱走した時の話vol.2

          住み込みバイトを脱走した時の話vol.1

          19の夏に、北海道のとある僻地に住むカメラマンの家で、住み込みバイトをした。と言っても、そこはほんの3日で脱走し、その後旭川で高校の頃チャットで知り合った人の世話になり、すすきので見知らぬ酔っ払いの家に転がり込んだ末やんわり軟禁され、小樽ではあわや宿なしかと思われたが逆に30畳くらいの宴会場で一晩を過ごすも軽いトラブルに遭遇するなどし、さらに帰路のフェリーで津軽海峡へ向かう最中に至っては性的アクシデントに見舞われそうになりつつも、最終的に元彼の友達とベトナムで夏休みを過ごすこ

          住み込みバイトを脱走した時の話vol.1

          新宿のハプバーで我に返る

          以前の職場で、ハプバーにどハマりしていた同僚がいた。ハプバーと聞くと怪しくて危ない所なのかなと想像してしまうが、身分証明書の提示が必須で、女性は無料で飲めて、紳士的な人が多く、意外と怖くない場所らしいとの話を聞いて、好奇心旺盛だった20代の私は友人と連れ立って行ってみることにした。 そこには多分「セックスで何かを埋めたい、けど自分から積極的に致す勇気はない、ただここに来れば誰かが相手をしてくれるかもしれないから、とりあえず来た」みたいな人たちが沢山いた。 つまり一言で言うと

          新宿のハプバーで我に返る

          サノさん

          昔から仕事あるいは何かしら自分の夢に熱心で、でもなんとなく寂しそうな人に惹かれる。 サノさんはゲストハウスにいる時間がイコール睡眠時間くらいのレアキャラで、銀座や六本木、西麻布にある高級飲食店のバイトを3つ掛け持ちし、海外で店を開くために修行中の人だった。 中国から家族を養うために東京で風俗嬢をしていた女の子とお店で知り合い、一緒にビジネスを立ち上げるために、それまで働いていた会社を辞め、飲食の世界に飛び込んだのだという。 私がゲストハウスに入居して数週間目の朝、彼が始発で