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「ぼっち・ざ・ろっく!」feat. CAE

2022年秋アニメの中で注目の集まった「ぼっち・ざ・ろっく!」。陰キャでおおよそ美少女からほど遠い主人公「後藤ひとり」が観る者の共感を呼び、放映終了後も熱く語り継がれるヒット作となりました。

その中で気になったワンシーン。文化祭の余興でメイド服に身を包んだ主人公が、突如ポリゴン化して積み上げられた箱の山に激突する!?

そのワンシーンを再現。

ぽろっと崩れていく箱の動きに皆さん目を奪われたかと思いますが、解析に従事する方にはコレが気になったのでは?

あれ?座標軸?!

どうやらあのシーンはHyperWorksというCAEソフトを使い、衝突解析を行った結果をアニメーション表示しているようです。一見ムズかしそうなことをしている様ですが、実はさほどややこしい作業ではありません。ひとつ試しにAbaqus/CAEというソフトを使って再現してみましょう。

 ダッソーシステムズのAbaqus/CAEは教育機関で活用されることが多く、そのため学習用にフリー版を公開しています。要素接点数1,000までという縛りはありますが、解析ソルバー自体は製品版と同一のもので、使い方次第で質の高い解析計算が可能です。今回はDynamic/Explicitという解析ソルバーを使い、一般接触という定義で接触解析を試みます。
 Abaqusを使って2センチ角の立方体を積み上げたモデルと、手前に直径2センチの鋼球を配置します。モデルはそれぞれ表面だけの中身のないモデル(シェルと呼びます)にして、パラメータとして厚みの情報を与えます。箱には厚さ0.1ミリのPET、鋼球は厚さ2ミリのSS400という鋼材の物性データを与え、鋼球に10センチの高さから落とした時と同じ速度、1.4m/sの速度を与えます。その結果…

みんな同時に動いてしまいました(汗。
実はAbaqus、いわゆる「玉突き衝突」が苦手なようで、各モデルにわずかながら隙間を設けないと上手く計算できないのです。箱を並べ直します。

今度は上手くバラけましたが…いくつかめり込んでいる箱があります。これは要素接点数を減らすため、箱の要素を1面にひとつ、最少6要素にしたせいで接触判定にエラーが起きているのです。1面に4つの要素に分割します。すると今度は接点数が1,000を超えてしまいました…泣く泣く箱の数を減らします。

今度は上手くいったようですが…なんとなく元気がありません。鋼球の運動量が足りないようです。与える速度を増すと…

1メートルからの落下速度を与えました、4.43m/s!
ぼっちがステージダイブしたのがこれくらいの高さでしたね!w
さほど難しくはないんだけど、いろいろメンドくさい…
それがAbaqus/CAE、なんかぼっちと似てるかも?

バッ!ギッ!ボッ!!

とまぁこんな感じで、解析モデルと格闘してます。

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