19:39。美山駅。
じっと見つめていたら、北君の方から、話しかけてくれた。
「次、一緒に降りよう。第六感が、厭な警鐘を鳴らしている。」
「厭ではない警鐘も、在るんですか?」
「過去にあったが、そのことについて述懐する余裕は莫(な)い。」
「でも、美山駅って近隣の上宇坂郵便局が二十四時間、独自の特殊幻覚剤の実験をやっているらしくて、一分以内に脱出しないと、俳人になっちゃうよ。一生俳句しか喋れないから、社会的に死ぬしか無くなるよ。」
「そんな状況があるわけなくないか?」
「ある。」
「そうか。それで