#12 Makuakeリターン鋳造完了
このnoteは「to savor alcohol more(より深くお酒を味わうために)」をスローガンに活動するガレージブランド NON JOHN の活動やお酒に関するあれこれを発信するものです。このnoteを読んで、粋な酒客を共に目指しましょう。
ウェブサイト: non-john.com
⛅ 鋳物は気分屋。だからこそ面白い。
Makuakeリターン鋳造完了
少しずつMakuakeリターンの製造を続けておりましたが、ようやく出口が見えてきました。
ひとつひとつを作りながら、改めて多くの方々に応援いただいたんだなと感慨深いものがあります。
鋳造はうまくいくときとそうでない時があります。測れる条件は揃えながらやっているのですが、室内の湿度や温度やもしかしたら気圧などの環境、錫の純度(NON JOHNは99.99%以上の錫を使っています)のかすかなバラつき、溶融温度などの微妙な違いで歩留まりが変わってきます。一筋縄ではいきません。
ただ、100%にはならないものの、製造を通して鋳造への理解を深め、ノウハウを獲得できたので、進めるほどに効率があがっていったのは嬉しい驚きでした。応援頂いた皆さんがNON JOHNを育ててくれていると思っております。
これから研磨等の下工程を完了させ、化粧箱の到着時期次第というところもあるのですが、できるだけ前倒しで進める予定です。少なくともお約束の時期(6月)は守れそうです。
お届けできるのがいまから楽しみです。
🏮 肴のオマケ:イメージは変えられる。イメチェンを繰り返してきた酒、ジンの話。
💊 お大事に。オランダで生まれた薬用酒
ジンは大麦やライ麦を原料とした蒸留酒です。
これはもともと、15世紀末にオランダの医者が利尿作用のあるジェニファーベリーという実の成分を摂取しやすくするためにアルコールに漬けて蒸留したことがはじまりです。
利尿作用や解熱や胃を元気にする作用もあり人気を博しました。
この薬用酒はイェネーバ(jenever)と呼ばれ、ジンという名前はこのjeneverがいろんな変遷を経てgin(ジン)と呼ばれるようになったそう。
💀 敏腕マーケター、イギリスを破滅に追い込む
ジンが生まれて約1世紀後の1689年のイギリス。
名誉革命で王様を追い出したイギリスは、代わりの王様ウィリアム3世をオランダから連れてきました。この王様はオランダ生まれのジンをイギリスでも飲んでもらおうとジンの宣伝をはじめました。
「ジンの原料の大麦は我が国の農民が育ててます。飲んで応援しよう」
ウィリアム3世は敏腕マーケターだったようで、瞬く間にジンの消費はイギリスで広がりイギリスはジン大国に。ウィリアム3世の即位から30年程度の間にイギリスでのジンの生産量は7倍に膨れ上がりました。
しかしこれが災いのもとに。
大量に生産されたジンは安酒となり、茶よりも安く、低所得者層が愛しアルコール度数が高いゆえに飲みすぎが社会問題となりました。大人だけでなく子供もジンを飲む事態となり、その破滅的な光景を当時の画家のウィリアム・ホガースが描いています。
イギリス政府はこの事態を解決しようと、酒税を高くしたり販売を制限したりしたのですが、これを不満とした民衆は暴徒と化し蒸留所を破壊略奪。以前のnoteでも書きましたが、アルコール依存の人たちに制限をかけると誇張表現ではなく国家の危機が訪れがちですね…。この事態は18世紀半ばごろに収束するのですが、数十年かかってます。
🍸 イメージ挽回。19世紀からのジン
「大衆が依存するヤバイ酒」のイメージがついてしまったジンですが、1830年、イギリス人 チャールズ・タンカレーはより洗練された高級なジン作りを目指してロンドンに蒸留所を作り、ここで生まれたジン「タンカレー」によってジンのイメージが回復してきました。
その一因となったのがカクテルです。「無色」で「混ぜると美味しい」という特徴がカクテルのベースとして人気となりました。禁酒法施行中のアメリカでこっそりお酒を飲むのに都合もよかったそう。
時のイギリス首相のウィンストン・チャーチルはジンとベルモットを配合するマティーニを愛飲し、名作「長いお別れ(The Long Good Bye)」にキーアイテムのようにギムレットが出てくるように、ネガティブなイメージは払拭されました。
薬用として生まれ、破滅を導く酒となり、そして大人なカクテルのイメージへと変遷を経たジン。何か転機を迎えたい、何かを変えたい、そんな時に口にするのもいいかもしれませんよ。
📅 今後の予定
4月
リターンの製造を進めています。
箱を発注しました。
新製品の試作を2種類終えました。
5月
キャスティングオブザイヤー(鋳造の賞レース)にエントリーします。
🍺 🍺 🍺
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