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2024年J2各クラブの新体制発表会について調べてみた(その2)

皆さん、こんにちは、野村です。

先月、1月上旬にレノファ山口の新体制発表会が行われ、その時点で一度記事を書きました。

1月で、ほとんどのJクラブの新体制発表会が終了。一部は2月にキックオフイベント的な行事を行うクラブもあるようです。やり方はさまざま。

私、1月は暇さえあればカテゴリを問わず、YouTube上にアーカイブ動画がアップされている各クラブの新体制発表会をざーっと見まくり、完全に「新体制発表会ウォッチャー」になっていました。

ただ、昨年までとの経年比較や各クラブの歴史や文脈を分かっていない部分が多いため、個別に各クラブに言及するのではなく、今回は以下のような観点で整理してみることにしました。

  1. 経営責任者の説明有無・・・クラブの経営責任者(主に社長)が、自クラブの経営状況や経営方針(中長期の方向性や今季の目標等)について説明しているか?

  2. 経営責任者の説明スタイル・・・1について、ステークホルダーに対して、分かりやすい手法で説明しているか?

  3. 強化責任者の説明有無・・・クラブの強化責任者(主にGMや強化部長)が、自クラブの強化方針や新たに加入した選手の獲得意図を説明しているか?

前提として「新体制発表会」という名称で実施しているクラブがほとんどですので、一義的には今年の新体制(スタッフや所属選手)について、クラブの誰かが説明すれば責任を果たすことになるかなと。

でも、発表会を見る相手(会場で対峙する記者・サポーター、ライブやアーカイブ配信の閲覧者など)に対して、何をどのように、どこまで伝えるのか、ということは、クラブによって考え方が異なります。

それぞれのクラブが狙いを持って取り組んだ発表会のやり方は否定せず、客観的に見てどうだったか、個人的な見解を書いてみます。

そして最後に「レノファ山口の今年の新体制発表会は、他のクラブと比較すると、どうだったのか」ということに触れたいと思います。

1. 経営責任者のプレゼン

クラブによって、経営責任者の登場方法は大きく二つのスタイルに大別されました。

(a) 発表会の冒頭、代表して社長が挨拶(おおよそ5分程度)
(b) 社長がクラブの経営状況や短期・中長期の目標、スローガン等について説明(&質疑応答)

当然、(a)より(b)のほうが丁寧ですが、一方で説明会の時間が長くなったり冗長になったりするデメリットも。

バランスが大事だなと見ていて思いましたが、個人的には各クラブの財務、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)、短期と中長期の戦略が気になるので、できれば(b)が欲しいなと思って見ていました。

野村調べで、(b)型J2クラブは以下の通りでした。
秋田・いわき・千葉・甲府・清水・岡山・山口・徳島・長崎

2. 経営責任者のプレゼン資料

当然ですがプレゼンスライドがあったほうが、ビジュアルで伝えたいことを分かりやすく表現できます。

あるクラブは、プレゼンスライドも無く、社長が延々20分ほど説明。ほら、校長先生の長い話って、耐えるのが辛かったですよね・・・。

社長がプレゼンスライドを準備していたJ2クラブは以下の通り。
秋田・いわき・岡山・山口・徳島・長崎

プレゼン力って、スライドの使い方も含めて大事なスキルだと思います。元日本マイクロソフト業務執行役員でプレゼンの神様と呼ばれている澤円氏によると、プレゼンには3つの極意があるそう。

(1)プレゼンはプレゼント。相手に最もためになる土産物を渡すつもりでプレゼンを準備する必要がある。豪華な重い引き出物より「カタログギフト」のようなものがいい。軽くて持ち運びやすく、得した気分になる話だ。

(2)未来の幸福の話をしよう。例えば、化粧品の商品説明をする際、この成分は何%という情報は不要。顧客が求めるのはこの化粧品を使えば、肌がみずみずしくなり、若返って見えるといった未来の幸福の話だ。正確な情報はネットを使い、自分で調べてもらえばいい。

(3)足し算より引き算。だらだらと長く話すのは時間の無駄遣いだ。要点をまとめ、平易な言葉で短く語る。下手な上司のプレゼンは「時間のカツアゲ」だ。

NIKKEIリスキリング - 元劣等生のプレゼンの神様が伝授 伝え方、3つの極意 より引用

これ、本当にその通りだなと思います。会社でもそうですし、今回の新体制発表会を客観的に見ても同じことを感じました。

ちなみに、J2の新体制発表会の中で、特に社長のプレゼンが熱かったのが秋田といわきです。サポーターを会場に入れて、かなり情緒的にプレゼンしていた姿が印象的。

両クラブとも見やすいプレゼンスライドで、社長の説明を理解しやすかったです。J1であれば鹿島、FC東京、東京Vあたりのプレゼンも個人的にはかなり分かりやすかったと感じました。

尚、モンテディオ山形は、キックオフイベントのアーカイブ動画は非公開になっていますが、シーズン終了後の昨年11月、スポンサー向けの事業報告の動画を毎年YouTubeにアップしています。

振り返りをきちんとオープンにしている、しかもシーズンが終わってすぐ、というのは素晴らしいなと思いました。(早ければいいというものでもないですが)

3. 強化責任者の登場

新加入選手が発表会に登場する前や、新加入選手の紹介中に、GMや強化部長などの立場の方が、編成や新加入選手の獲得意図、ストロングポイントをひとりひとり説明するクラブもあれば、全体的な方針の説明に留めるクラブも。新加入選手の自己紹介のみで、全く説明がないクラブもあり。

強化責任者の説明があったJ2クラブは以下の通り。
秋田・いわき・群馬・千葉・横浜FC(GMの話のときだけ配信なし)・甲府・清水・岡山・山口・大分・鹿児島

「新体制発表会」ですので、社長から会社の状況説明は無くとも、強化方針の説明があるクラブは多いですね。

当然、説明することは手の内を明かしてしまう訳なので、説明する義務はありませんし、どこまで説明するのかは各クラブ次第です。

でも、記者やサポーターからすれば、一年間共に戦うクラブがどのような方向に進むのか、どのような意図で編成を行ったのか。観戦を楽しむ上でも知りたいですよね。丁寧に説明してくれるクラブには好感が持てます。

4. レノファ山口の新体制発表会を振り返って

さて、それではレノファ山口の新体制発表会はどうだったでしょうか。改めて振り返ってみます。

(1) 経営責任者のプレゼン

渡部博文社長が以下の内容を説明しました。
・昨年度の振り返り
・今年度の目標
・クラブの経営状況
・中長期の目標

個人的には、知りたいと思っていた内容が簡潔かつ的確に説明されていたと思います。

きちんと過去を振り返って課題を分析し、競合をベンチマークした上で今後の目標を設定した、ということを丁寧に説明していた点が特にgoodでした。納得感が高かったポイントだと思います。

(2) 経営責任者のプレゼン資料

プレゼンスライド有り。ビジュアルのトーン、グラフの使い方、文字量、文字の大きさ、このあたりが適切だったと思います。見やすかったです。

グラフの強調部を全てオレンジ色で統一していた点と、挿入した図形を丸とハニカム(六角形)に統一していた点が特にgoodでした。

(3) 強化責任者の登場

渡部社長のプレゼンの途中で、葛西強化部長に説明をスイッチする形で、チームの強化方針について説明がありました。

個別の選手の獲得意図には触れなかったものの、全体的な編成意図について触れられ、一定の考えを理解できる内容でした。

新体制発表会の後日、Xのスペースにて #renofakaigi編成部会 ということで、補足的な説明や、サポーターからの質問に答える場を設けたことも新しい試みでしたね。goodでした。

#renofakaigi編成部会のスペースは録画が残されていますので、未聴で気になる方は、以下の小山会長のXポストからお聞きください。

先月の投稿でも述べた通り、今年2024年のレノファ山口新体制発表会の説明は、納得感が高いものだと直感的に感じていましたが、他のクラブと比較して客観的に見てもなお「納得感が高い新体制発表会」だったと個人的に思っています。

動画が配信されていないクラブ、2月に発表が行われるクラブもあり、全てを網羅できていませんし、もしかすると私の見逃しがあるかもしれませんので、その場合はご容赦ください。

J2以外のJ1や J3、その他JFLや地域リーグのカテゴリでも素晴らしい新体制発表会を行っていたクラブがあるので紹介したいですが、それはまた時間があれば。

シーズンを通して応援を楽しむ上で、サポーターに方針や編成について理解してもらう第一歩の場が新体制発表会だと思います。

新体制発表会を見て、その後はキャンプの模様や、Jリーガーを身近に感じてもらう企画として長年に亘り大きく貢献している「デジっち」など、Jリーグ開幕前に試合がなくてもワクワクを高めるコンテンツがあるので、追いかけるのが楽しいですね。(デジっちはJ1のみですが)

皆さん、いろいろなコンテンツを拾ってみて、2月後半のJリーグ開幕を楽しみに待ちましょう!

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