スコラ手帳開発ストーリー<後編>
こんにちは!NOLTYプランナーズの内山です。
今回はスコラ手帳開発ストーリー・後半をお送りします!
▼前編はこちら▼
手探りからヒット商品へ
加藤先生のご協力もあり完成したスコラ手帳ですが、次に待っていたのは「どのように学校現場に普及させるか」という高い壁でした。もちろんスコラ手帳という商品には自信を持っていましたが、もともと取引のなかった学校に対し、中高生向け手帳という当時まだ存在しない市場を掘り起こす必要がありました。
陣頭指揮を執ったのが現社長の高梨でしたが、やはり現実はなかなか思い通りにはいかなかったと言います。
「最初の年、売れたのは加藤教諭の鶴岡中央高校を含めて2校だけでした。3,000冊制作して、そのうち2,000冊が余ったんです。捨てるわけにもいかない(笑)。それならいろんな学校に配ってモニターアンケートをとろうと考えました。それで手帳の効果の実証データを集める。加えて現場の声をなるべく拾って商品力を上げようと考えました」
この年の4月、JMAMの法人手帳部門は分社化し、能率手帳プランナーズ(現・NOLTYプランナーズ)として新しく船出しました。そのタイミングで100校モニターのプロジェクトをスタートさせます。
営業メンバーは全国の学校リストをにらみ、使ってもらえないだろうかと片っ端から電話をかけました。メンバーは「担当窓口もわからず、最初は本当に手探りだった」と振り返ります。
「世の中にない商品なので、電話口だとやはり先生方も最初はいぶかしげでした。けれど実際に数ヵ月使っていただいてアンケートをとると、6〜7割は効果があると回答してもらえる。なかには『こういうのをやりたかったんだよ』と言ってくださる先生もいて、我々も自信を持ちました」
学校を訪問して生の声を聞くことで、NOLTYプランナーズの社員たちも学校現場にさまざまな課題があることを肌で理解し始めます。生徒が時間を守れない、忘れ物が多い、家で勉強しない、夜更かしが多い……課題をひとつずつ拾っていくうち、NOLTYスコラが提供できる価値として、柱となるキーワードが浮上します。それが今もキーワードとしている「自己管理力」でした。
「書く・時間を意識する・考える。まず手帳を使ってこの基本動作を習慣化させることで、PDCAサイクルが身につくようにする。それによって自分で学び、考え、行動する自己管理力が育まれる。それは生徒たちの将来を切り拓く大きな武器となる」―このコンセプトが定まった瞬間、NOLTYスコラは単なるスケジュール帳ではなく、中高生の成長をサポートするための教育教材となったのです。
こういった見取り図を説明すると、共感してくださる先生方も多かったと言います。
モニターアンケートをもとに改良を加えたNOLTYスコラは、2011年秋から本格的な営業活動を開始します。その中心になったのが能率手帳プランナーズ(現・NOLTYプランナーズ)に新しく入社したプロパー社員たちでした。
「手帳の営業に対する先入観がなかったのでそれが逆によかったのかもしれません。現場の先生方からは面白い商品だとよく言われましたし、あまり苦戦した印象もありません。手応えは最初からありました」
契約が少しずつ積み上がり、全国紙で紹介されたことも後押しとなって、年末にかけて問い合わせが相次ぎました。さらに年が明けるとその勢いは増し、朝礼での契約報告が連日続きました。その度に営業部も湧き上がり、活気づきます。
結局、2012年度版は250校で採用され、6万1126冊を売り上げました。2011年度版が採用2校、売り上げ1210冊であったことを考えると、その伸びは驚異的といえます。さらにその後も採用校、冊数ともに伸び続け、2024年の現在は約2,000校、30万人の中高生が使う商品となりました。
商品作りも売り方も手探り状態から始まった手帳はいま、教育現場に受け入れられ、着実に根を下ろし始めていています。
現場の声から商品をつくる
NOLTYスコラは成り立ちからそうであるように、徹底した現場主義にこだわりを持っています。現場の声を拾い、課題に寄り添いながらいまも進化を続けています。
特徴的な振り返り欄は、反省ばかり書いてしまう生徒が多いと分かったため、あえて<うまくいったこと><うまくいかなかったこと>の二項目に分け、両方を記入させるよう工夫しました。これは後にさらに改良され、自己肯定感を高めるための仕掛けとして<うまくいったこと>の行数を増やし、さらに改善を促すために<次へ向けて>という項目も加えています。
また、月間カレンダーのページには友人の誕生日にシールを貼るなどして楽しんでいる生徒も多いと分かりました。そこで見やすくスペースを広げ、バレンタインデー、ホワイトデー、ハロウィンといった生徒好みのイベントも記載するといった改善も加えました。
▼NOLTYスコラ ベーシックのこだわりはこちら▼
より多くの人にとって使いやすい手帳にしたいという想いから、スコラ手帳は2022年からCUD認証を取得しています。CUD(カラーユニバーサルデザイン)とは、人間の色覚の多様性に対応し、より多くの人に利用しやすい配色の製品やサービスなどを提供する考え方のことをいいます。スコラ手帳がCUD認証取得に取り組んだのは、制作担当者が息子の友人に色弱の子がいると知り、何かできないかと考えたことがきっかけでした。スコラ手帳は様々な人の生活に寄り添った使いやすい手帳を目指し、日々改善を続けています。
「この手帳を3年間使ったら宝物になる」
NOLTYスコラの〝生みの親〟である加藤教諭は、「この手帳を3年間使ったら宝物になる」と話します。中学・高校時代に自らの目標、教師とのやりとり、日々の想いを記した手帳は、まさにかけがえのない宝物になるでしょう。同時に、NOLTYスコラを活用したことで、その後の自分の人生が大きく変わったことにも気づいてくれるはずです。
わたしたちNOLTYプランナーズ社員の目標は、100万人の生徒にこの手帳を普及させることです。スコラ手帳の立ち上げから関わってきた現社長の髙梨はこう話します。 「NOLTYスコラが日本の学校のスタンダードになれば、きっとこの国の教育は変わります。学力偏重ではなく、自己管理力という土台部分をしっかりと築いた、まさに生きる力を身につけた子どもたちが育つ。彼らが社会に出ていけば、日本という国も変わるはずです。大きすぎる夢かもしれませんが、我々はそれくらいの気持ちでこの手帳と向き合っていきたい」
多感な思春期の子どもたちに手渡される小さな手帳。それは一人ひとりの未来を変え、そしていつか社会を変える大きな力を秘めているのかもしれません。
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