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今泉力哉監督の語る映画制作のお話 #どうやって作ってるんですか

映画を観ることはは好きですし、映像を作ることに興味を持って、すでに制作も始めている息子と、将来一緒に何か作品づくりができないかと思っています。

私の本気度合いゲージをここに見せることはできませんが、ちょっと真面目にそう考えています。普段書いているnoteももっと物語を書くことに寄せたりしようとしています。映画作りのことが知りたくて、こちらのイベントに参加しました。しずるの村上さんがインタビュアーになって、映画監督の今泉力哉から話を聞くイベントです。当日、四ツ谷の会場に行ってきました。

息子のやりたいことに協力したいと思いつつ、今の私には、特にスキルや経験があるわけではないので、息子の力になれることがないかと、事前の申し込みにこんな質問をしました。

上記の質問の回答は聞けませんでしたが、少しでも将来の作品作りに役立つように、メモしたことを書き出しておきます。

今泉監督のこれまで

・職業にすることまで決めてなかったけれど、映画を作りたいと思ったのは、高2高3の頃
・大学一年の時から同級生などに出演してもらい撮っていた
・最初の頃のモヤモヤ:世の中のカップルは、ほんとに両者が五分五分で好き? うまくいってないんじゃない? カップルにもう一人が入るパターンをやりだした。「世の中のカップルの7割は片思い」というキャッチフレーズで撮った
・物語はフィクションだけど、映画の中の嘘への許容範囲が狭い
・とにかく、嘘やメジャーなこと(作品など)が苦手
・特定の監督を集中して見てた最初は、たぶんタランティーノ
・『からかい上手の高木さん』が長編20作目
・初めては「たま」のドキュメンタリー!

①映画制作の "本当の裏側"

・依頼されて始まることが多い。自分がやればおもしろくなるか? を考える
・出演者が決まっていることも多い。そのお題(出演者)の中で「あとは好きにしてください」というパターンが多い
・相談は信頼できる相手に。映像も撮る、脚本も書いてる、奥さんに聞くことが多い。不満に同意してほしくて相談したのに、奥さんが、今泉さんと意見の異なるプロデューサー側と意見が一致することも…
・(村上さん)商業映画から発生するようになった、周りからの要望(尺 etc)はどうしてる? →(今泉さん)最初にいただいたお題はお題として受け入れる。後出しの場合は戦う。
・(前提として)誰も作品を悪くしようとは思ってない

・(村上さん)「(最近の作品見ると)大人になったんじゃないですか?」→(今泉さん)自主映画のころからのスタッフからはここ数年傲慢になったと言われてる
・過去作に助けられている。感動もの、アクションなんかは企画が持ち込まれない ⇒(私)(タランティーノ見てたなら、アクションもいけるんじゃ…?)
・批判は嫌じゃない。エゴサしまくる。ネガティブな評価は気にしない。批判している人は、よく作品を見てる人
・自分の作っているものに、まず自信もつ(こだわってしっかり作る)

②脚本、どうやって作ってる?

・脚本のストックはない。モヤっとしていることで、他人に相談しても、答えがないことがネタになる
・世の中で言われている「共感」という感情に疑いを持っている。最近は、何でも「わかる/わからない」に寄せ過ぎていると感じる
・人間的な部分、あいまいな部分? を大事にしたい
・「こんなことで悩んでていいのかな?」(私しか悩んでないことがなぜこの映画にあるの?)という共感は嬉しい
・タンスに足の小指ぶつけたら痛い(村上さんが提示したあるある)
→(今泉さん)実は、親指も結構痛いよ を取り上げたい
・他にも、悪意じゃない悪。気を使ったけど相手に届かない善意みたいなこと…を取り上げる
・例:優先席で、すぐ立つ予定があるなら、変な人に座られてしまわないよう優先席守るために座っちゃう、と考えた時、あいつ、座ってんな、と思われる時間は嫌だけど、足腰弱ってる人に座ってもらう目的のためには、その嫌な時間はよくない?
・オチから書く脚本の書き方もあるが、そのオチのために前の行動が作られてしまうことは避けたい
・普通に生きていれば、結論を考えて行動なんてしない。だから、極力、前から書く。あるいは、思いついたシーンから書く
・登場人物のキャラが決まってれば、登場人物が勝手に話し、動くようになる
・どうしても自分の主義主張に引っ張られる。脚本を書く人の中から生まれてる。でも、それしょうがなくない? 自分と真逆な人を登場させても、興味ないし、わからないから書けない。例えば、サラリーマンはわからない。やったことないから。でもあえて調べたりしない。

③魅力的なキャラクター、どうやって作ってる?

・自分が魅力的だと思う人は、やっぱり、欠陥のある人、ダメな人
⇒(俺)欠陥というか正解を持ってない人も含むかな(原作あるけど中学の時の西片くん)
・一般的にダメ、とされていること(不倫)などでも、その下にある感情の流れ、考え? などを描く
・原作ものの企画が来た時、原作がおもしろいか? / 俺よりもおもしろくする人がいるな、はやりたくない を考えてから、引き受ける
・つまんないもの作るのこわい
・最近の映画つまらない。(だからおもしろくしたい)
・娘さんきっかけで見た、コナン、おもしろかった! コナンの脚本、一人で書いてないことを祈る。嫉妬しちゃう。俺、本書いてていいのかな? と思っちゃう

④質問コーナー

(質問)自分がおもしろくできると思えるポイントはどこ?

(今泉さん)
・繊細なことをやってるかどうか?
・全然知らない視点があるか?
・人が見てない、気づいてないはずの時間(準備時間とか)
・みんながおもしろいって思ってるものはおもしろいと思わなきゃいけない? 自分が感じていることが、その人の感性

(村上さんによる補足)
・自分ならどう感じる? 自分にしか気づけないものがあるはず!
・私がわかんなかった、もその人のもの(村上さん)

(質問)演者側として、演技がわからない。何かになってるという感覚が強い。監督にとっての演技は?

(今泉さん)
技術の部分はある。その役にハマるハマらないはある(ニンが合うかどうか)

ワークショップの感想

配信終了後、イベント会場にいる人向けに、1時間ほどの映画の解説がありました。

配信がなかったので、詳細は省きますが、過去作品の映像を見て「セリフが脚本と違うところはどこか?」という今泉さんのクイズから、シーンの解説がありました。

演出として、演者に過度に負荷をかけることは避けつつも、二人が出演するシーンで、一方の演者にだけ、追加のセリフを言わせて、もう一方の反応を見る、なんてこともされていたり。座り位置を、登場人物のことを知りぬいた演者自身に確認してみたり。演者が起こす失敗や、演者の発案によることも受け入れつつ、映画にとって、いいほうを採用されるそう。

このやり方はだいぶエキサイティングだと感じますし、監督にも演者にも、負担の大きいと思います。それを創作という中で楽しめるならいいですけど、やっぱり大変そうです。

ただ、撮れてない場合は、撮り直しが大変ですが、撮れてしまったものについては、あとで編集可能なのは、映画の強みではないかと思いました。

別のシーンで取ったセリフの話し方を別のシーンで演者側が使ってみたり、調理のシーンの失敗が、ストーリー上、意味ありげに見えたり。

もちろん、ちゃんとストーリーを理解して、監督以上に、登場人物を身体表現として理解している、信用ができる役者さんに限る話なんでしょうけど、かなり演者の感じ方を取り入れる監督ですね。

偶然生まれた素晴らしいシーンがいくつもあるだろう新作『からかい上手の高木さん』とても見たくなりました。

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