Nodoka Cafe Hunza

パキスタン北部のフンザで、友人のシェールさんと一緒にカフェを経営しています。 パキスタ…

Nodoka Cafe Hunza

パキスタン北部のフンザで、友人のシェールさんと一緒にカフェを経営しています。 パキスタンの人たちの優しさや、フンザの自然の雄大さを伝えたいです。よろしくお願いします(^^♪

最近の記事

フンザのお酒事情

 ムスリムの国パキスタンにあって、フンザでは珍しく、地元の人とお酒を飲むことができる。といっても、居酒屋があったり、お店でおおっぴらにお酒が売っているわけではない。こっそり、どぶろくを作っている人がいて、その人から水やコーラなどのペットボトルに入ったそれを、買ったり分けてもらったりする。そして、夜な夜な、家や畑や森の中、崖の上なんかで酒盛りをするのだ。 どぶろくは、「フンザウォーター」「フンザパニ」「スピリチュアルウォーター」「フンザワイン」などと呼ばれているが、原材料や作り

    • 世界中でここでしか乗れない『カットカー』に乗る

      このたび、フンザで車を買った。 フンザの下町、アリアバードで売られている5台の中古車を試乗して、最終的に決めたのは、スズキのカルタスという車。ネットで調べると日本でも2002年ころまで売られていたらしい。いろいろボロボロな車だけど、セダンタイプとしては安い25万ルピー(13万円くらい)で購入することができた。安いのには理由がある。この車、世界中でおそらくここでしか流通していない、「カットカー」なのだ。 フンザのあるパキスタンのギルギット・バルティスタン地域で流通している通称「

      •  フンザのゆるゆると、葛藤。

         僕がフンザに住んで一番驚いたのは、ここに住む人たちの、「ゆるゆる」なところだ。おおらか、ということもできるけれど、「ゆるゆる」のほうが、しっくりくる。何がゆるゆるなのかと言えば、何もかも。日本人の僕から見れば、時間に対する感覚も仕事のやり方も、人との付き合いや暮らしの仕方、宗教のとらえ方も。すべてゆるゆるなのに、社会がそれなりにうまく回り、見る限りほとんどの人が幸せに生きているのも不思議だ。 フンザに来る旅人は、そんな人々のゆるゆるした姿に魅力を感じる。通りを歩けば、カラフ

        • 怖れられ、親しまれる道、カラコラムハイウェイ

          カラコラムハイウェイは、パキスタンのイスラマバード近郊から、中国西部・ウイグル自治区のカシュガルまでを結ぶ、全長約1300㎞の国際基幹道路だ。7000~8000m級の山々が連なる、カラコラム山脈の険しい谷間に切り開いた小さな道を、トラックや、バスやタクシーが、日夜行き交っている。 この道は、沿線の山々に住む人々からは、通称「KKH」と呼ばれている。フンザの人たちが、「KKH」と言う際、僕はそこに、畏怖の念を感じ取ることができる。なぜなら、KKHの半分以上は、草木のない急峻な

        フンザのお酒事情

          けっきょく、誕生日会が大事で、誕生日はいつでもいい?? フンザの『テキトーな誕生日事情』

           2024年4月14日。のどかカフェのキッチンには、僕と、カフェで働く素朴でシャイな青年モーシン(30歳)、彼の二つ年上の姉で、同じくスタッフでのナビーダさんがいた。  皆で料理の仕込みをしていたら、ナビーダさんが唐突に、「モーシン、お誕生日おめでとう!!」と言った。『わたし、あなたの誕生日、ちゃんと覚えているんだよ』とでも言いたげに、ニコニコしている。  しかし、モーシンは「誕生日は明日だよ」、とそっけない。 「えっ?14日じゃないの?」とナビーダさん。「違う、明日」とモー

          けっきょく、誕生日会が大事で、誕生日はいつでもいい?? フンザの『テキトーな誕生日事情』

          振り込め詐欺の『顧客』のヒモになった、フンザ在住A君の話

           のどかカフェがあるアルチット村に住んでいるA君は、特に仕事をせずに、あたりをぶらぶら歩き、自由にのんびりと過ごしている。マリファナと酒と女性が好きな30歳で、酒はマイ蒸留器を持っていて、自作のワインや焼酎を造って楽しんでいる。フンザ川とカラコラムハイウェイが見える崖の上で、彼が作ったマンゴー酒を飲ませてもらったけど、喉が焼けるほど強かった。マリファナはギルギットの売人から買っているらしい。「金は信用できない。信用できるのは友だちだけ」と、気持ちよさそうに言う。  そんな彼は

          振り込め詐欺の『顧客』のヒモになった、フンザ在住A君の話

          フンザの飲食店はなぜパッとしないのか!?

           のどかカフェを始める前、観光客としてフンザに来ていたときに感じたのは、どのレストランの食事も大しておいしくない、ということだった。どこの店に行っても、あるのはパキスタンカレーやビリヤニ(炊き込みご飯)がほとんどで、たまにフンザの地元料理のフレッシュチーズを挟んだチャパティや、ほうれん草のパスタ、クルミケーキなんかがあるくらい。食材としては、アンズやクルミやアーモンドのピュアオイルに加えて、各種ナッツ、干し果物、ヤクの肉、山羊のハードチーズ、鱒、モリーユキノコ、変わったハーブ

          フンザの飲食店はなぜパッとしないのか!?

          日本からフンザへの行き方

          フンザってどうやって行くの??  フンザへの行き方が分からない、というお声が寄せられているので、概略を説明します。 ①まずはイスラマバードへ  フンザには、パキスタンの首都、イスラマバードを経由して来るのが、一般的なルートです。中国のウイグル自治区から国境を越えて来る旅行者もいるようですが、その方法は僕にもよく分かりません。  日本からイスラマバードに来る方法として最も便利なのは、バンコクを経由するタイ航空です。バンコク⇔イスラマバード便は、2024年3月時点、月、水

          日本からフンザへの行き方

          「安定供給」など夢のまた夢 フンザの電気事情 

          のどかカフェのあるアルチット村の電気は、約8キロほど上流の村にある水力発電所から届いている。この発電所、川につなげた水路で水を引き込み、その流れる力を利用してタービンを回す仕組みらしいのだが、なんとも心許ない。というのは、川の水量が減る冬はほとんど発電できず、逆に、水量が増える夏も、水路に流木や石が流れ込み、しょっちゅう発電が止まるからだ。  2023年の夏~秋の、僕の経験では、一日のうち電気があるのは大体、合計6時間程度だった。2024年の初春の現在は、2時間以下だ。当た

          「安定供給」など夢のまた夢 フンザの電気事情 

          ぐんどぅるの木、ふくの木

           のどかカフェ2年目のフンザに着いたのは、3月18日。去年もこの頃、旅行者としてフンザに来ていたけれど、その時と比べて今年はまだ花が少ない。谷は全体的に寒々としていて、時々、アーモンドの木が、薄ピンク色の花を咲かせて春を呼んでいる。シェールさんによると、今年は去年よりも春の訪れが10日ほど遅い、とのこと。  のどかカフェには、昔のフンザ王の居城である「アルチット城」の「カバシ庭園」が隣接していて、庭の様子を窓から一望することが出来る。カバシ庭園には、まだまだ裸木が多いのだが、

          ぐんどぅるの木、ふくの木

          バンコクで携帯なくす

          関空を出た飛行機は、深夜にバンコクへ到着した。その日は空港近くのホテルに泊まり、翌日、昼頃にチェックアウト、再びタクシーで空港に向かったのだが・・・。タイ航空のカウンターでチェックインしようと思ったら、定位置の肩掛けバッグにあるはずのiPhoneがなくなっている。  慌てて空港ロビーをあちこち探したが見つからず、ホテルに引き返すことにした。ホテルでも見つからず、「iPhoneだったら、GPSでどこにあるか見られるよ」と、フロントのお姉さんのアドバイスで、かばんに入れていたiP

          バンコクで携帯なくす

          再び、フンザへ

          再び、フンザへ  2024年3月12日、関西国際空港から、再びフンザに向けて出発した。フンザは、昨年11月以来。マイナス20度にもなる厳しい冬を越して、そろそろ、アーモンドが薄ピンク色の花を咲かせる頃だ。  今年のフンザでの目標は、カフェの赤字経営を脱すること、これに尽きる。  正直なところ、昨年は8月1日にカフェをオープンしてから、フンザを離れるまでの約3ヶ月間、ほとんどお客さんが来ず、一番多い日でも3、4組。ノーゲストの日が一週間近く続いたこともあった。店構えやメニューや

          再び、フンザへ