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確実性と不確実性を管理する「開発ポートフォリオ」の考え方

こんにちは。プロダクトマネージャーのたけまさです。

今回はプロダクト開発における「確実性と不確実性」「投資とリターンの時間軸」とどう向き合うか?というお話です。

開発ポートフォリオとは

#プロダクト開発投資における変数
・確実性と不確実性
・連続成長と非連続成長の仕込み
・投資とリターンの時間軸の設計 など

これらの変数を意識的にコントロールするために、どの開発案件にどのようなリソース配分で開発投資するポートフォリオを組むのか。

私はこれを開発ポートフォリオと呼んでいます。これに時間軸を加えるとプロダクトロードマップになります。

資産運用をやってる人ならイメージしやすいかもしれません。いつまでにどの程度のリターンを期待して、どの銘柄にリソース(資金)をいくら投資するポートフォリオを組むのか?と近い考え方です。

なぜ開発ポートフォリオの管理が有効なのか?

一番の目的は、それぞれ課題解決にどのくらいのリターンを期待して、どのくらいのリソースを張っているのかを常に見える化することです。事業状況とすり合わせながら柔軟に優先度をコントロールするために活用します。

例えばこんな問題を防ぐためです。

やりたいことが山ほどあるが、投資が散漫で成果がでない=リターンと成功確度の高い領域に集中できていない。

前年比の事業成長率が下がり続けている = 次の成長軸となる不確実性の高い領域に投資ができていない。

確実性が高い開発投資が担うのは連続成長

確実性が高い開発とは、すでに獲得している顧客の直接的なニーズの課題解決です。

価値の追加/改善による獲得可能市場(TAM)の拡大、CVR向上、離脱率改善などがこれにあたります。

1開発あたり数%〜数10%のパフォーマンス向上で連続成長を担います。PMFした直後はリターンの大きい開発案件が多くあるので、優先度はリターンが大きいものからゴリゴリと開発しましょう。

余談:どこまで価値や機能、使い勝手を開発すればいいのか?
基本的には競合との比較だと思います。劣後しているなら最低でもそれが理由で離脱が起こらない水準まで引き上げる必要があります。逆に競合環境が弱く独走状態なら、過剰開発になるため次の成長軸へ開発リソースを配分することができます。

不確実性が高い開発投資が担うのは非連続成長

不確実性が高い開発とは、すでに獲得している顧客の関節的なニーズの課題解決。または、まだ獲得していない新しい顧客の課題解決です。

数年後の+数100%の非連続成長を担います。確実性の高い領域のパフォーマンス低下は必ず起こるので、その時に成長牽引する新しい成長軸としての仕込みです。

不確実性が高い中でも確度をあげる方法はあります。

例えば不確実な領域を攻めるときにTAMの拡大は鉄則です。toBのプロダクトなら現在の中核事業のバリューチェン前後への拡大、データ基盤を活用できる周辺領域への拡大。toCなら顧客基盤を活用した事業セグメントの展開が多いですね。

投資とリターンの時間軸の設計とは

前年比で成長率を高い水準で維持するためには、連続成長と非連続成長のリソース配分を意識して開発投資をする必要があります。

PMFはしたその瞬間から投資対効果(ROI)は下がり続ける運命です。運用期間が長いプロダクトほど開発のリターンは小粒になっていきます。

高い成長率を維持するためには既存のPMFした領域だけでなく、数年後に非連続成長し企業全体の成長率を支える領域への先行投資も必要です。

開発案件のリターンが小粒になりはじめる手前で、次の成長軸となる不確実性の高い領域にも開発投資をはじめましょう。

PMF前のスタートアップで分散投資はちょっと先の話なので、勝つと決めた市場で勝ち切るためにリソースは1点集中でまずPMFを目指しましょう。

以上

ほんとでこれで正しいのか?という自問自答は誰もが抱えますよね。

「いま自分たちはどのような考え方で、どのくらいのリターンを期待して、何にどのくらい開発投資をしているのか」

それを見える化して管理するだけでも、新しい事実が手に入ったとき、何か起きたときにその時点で考えられる最適なポートフォリオに更新することができます。

勝ちきると決めたら、確実性と不確実性と向き合いならがゴリゴリROIを高めて顧客の課題を解決しましょう!


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