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侠客鬼瓦興業78話「沢村の本性と追島さんはゴリラ以下?」

堀の内、喫茶慶のテーブルでは深刻な表情のお慶さんと、いらいらしながらタバコをふかす沢村研二の姿があった。
「ふー!」
沢村は落ち着かない顔で煙を吐きだすと、お慶さんをぐっと睨みながら、タバコを灰皿に押し付けた。
「どっ、どういうつもりなんだ、婚約を解消して欲しいって?」
「ご、ごめんなさい」
お慶さんは静かに頭をさげると
「あの、ユキのことで・・・」
そう言ったまま、言葉をつまらせた。

「ユキちゃんの?それってどういうこと、ユキちゃんなら僕の子として一緒に暮らすって、そう約束したじゃないか」
「はい・・・、でも、あの子の心には、まだ」
「まだって、前の父親のことか?」
「・・・・・・」
お慶さんは静かにうなずくと、無言でテーブルの上を見つめていた。
沢村はそんなお慶さんを見ているうちに、額に青筋を浮かばせて目をつりあげ
「ふっ、ふざけるなー!」
バンとテーブルを思いっきり叩いた。

「ご、ごめんなさい…」
お慶さんは衝撃でひっくり返った灰皿を見ながら深く頭をさげた。
沢村は興奮おさまらない様子で、新しいタバコを取りだすと鼻息荒く口にくわえ
「それじゃまさか、ユキちゃんがあのテキヤの事を忘れられないから、だから君もあいつとよりを戻すっていうのか?」
「よりを戻す!?」
お慶さんはあわてて首を横に振った。
「まさか、私があいつと?そっ、そんなことありえない、絶対にありえません!」
「じゃあ、どうして!?僕のこと好きで婚約したんじゃないのか?」
「好きです・・・、沢村さんこんな私に対して、本当にやさしくしてくれて、とても感謝してます」
「それなら、何で婚約解消だなんて言うんだ!?」
「それは、あの・・・、ごめんなさい」
お慶さんは沢村に詰め寄られてふたたび頭をさげると
「ユキが…あの子が、あんなにつらい思いをこらえていたなんて、気がつかなかったんです…」
そう言いながら涙をポロポロと流しはじめた。 
沢村はそんなお慶さんを見ながら、ぶるぶる体をふるわせ
「だからって何でなんだよ、勝手すぎるじゃないか!」
「ご、ごめんなさい・・・、勝手なのは重々分かっています、で、でも、ユキの気持ちを無視して私ばかりが幸せになるなんて出来ないんです・・・、昨日のお祭りでのユキの様子、それに家に連れ帰ってからも、ずーっと悲しそうに泣き続けていたあの子の事を思うと、私だけが勝手に幸せになるなんて・・・」

「それに、あの泣き虫な男の子の言葉も・・・」
お慶さんはうつむきながら、昨日の縁日で涙と鼻水まみれのぐちゃぐちゃな顔で叫んでいた僕の顔を思い浮かべた。 

・・・・・・・・・

(おかーしゃん、お父さんに会いたいユキちゃんの気持ちなんて、あなたにはわからないのれすらー!) 


「私…裏切られた自分の想いばかりで、ユキのことなんて何一つ考えていなかった、もしあの子の気持ちを一番に考えていたら、追島と別れることも・・・」 
「ふっ、ふざけるなー!」
ガシャー!!
「!?」
沢村研二は大声で叫ぶと同時に、目の前のテーブルをひっくり返して立ち上がった! 
「勝手だ、お前は本当に勝手な女だ!!」
「・・・・・・」
「子供にも勝手だが、俺にも勝手だ!本当に勝手だー!」
「ごめんなさい!本当にごめんなさい、貴方に対しても、ひどいことをしてるって分かってるんです。ごめんなさい」
お慶さんは倒れたテーブルの横にひざまずくと、泣きながら沢村に謝りつづけた。 
「謝って済む問題じゃない!」
「ご、ごめんなさい、この償いはしますから」 
「つぐない?」
沢村研二はお慶さんのその言葉に、一瞬氷のような笑みを浮かべた。 
「ほーう、つぐないか、おもしろい・・・、で?どう償うって言うんだ?」 
「あ、あの」
「こんな一方的な婚約の解消だからな、それじゃきっちりと償ってもらおうじゃないか」
「は、はい、私に出来る限りのことは」
「よし!じゃあ1千万用意しろ!それが用意できたら婚約解消を認めてやる!」 
「いっ、1千万!?」
お慶さんは驚きの顔で沢村を見上げた。
「ああ、1千万だ!俺の傷ついた心にはそれでも足りないくらいだ」
沢村は鋭い目でほくそ笑みながら、お慶さんを見下ろした。

「む、無理ですそんな大金、この店をオープンさせて借金だらけの私には、無理です」
「無理?」
「は、はい」
「おい、さっき償うって言っただろ?」
「はい。で、でも、私にできる限り」
「だから出来るだろ、1千万くらい、お前だったら」 
「えっ?」
沢村はくわえていた煙草に火をつけると、不気味な笑顔をお慶さんに近づけ
「お前にとっては、1千万くらいどうってことないんじゃないか?いや、お前の親父にとってかな」
「私の父!?」
「ああ、知ってんだよ、お前の親父はこのあたりでも有名な資産家だって」
沢村は今まで見せたことのない冷徹な目で、じっとお慶さんを見た。

「な、何を言ってるんですか?研二さん・・・。私の父が資産家だなんて」
「はあ?何とぼけてるんだ、俺が知らなかったとでも思ってるのか?」
「・・・そ、そんな」
お慶さんは驚きの顔で沢村を見ていた。

「あっ!?」 
沢村はそんなお慶さんの様子に思わずハッとすると 
「あっ、す、すまない。ついカッとなってしまって」
急に態度を変え、神妙な面持ちでその場にしゃがみ込み、しばらくじっとうつむいていた。
「研二さん?研二さん?」
お慶さんは沢村の肩に手をかけた。するとうつむいていた沢村はぐしゃぐしゃに崩れた泣き顔をあげ
「ご、ごめん慰謝料だなんていって、本当にごめんよ、実はどうしてもお金が必要だったから」
そう言ったあとお慶さんの膝に頭をおしつけて、大声で泣き出したのだった。 
「研二さんお金っていったいどうして?ねえ研二さん」
「実は僕はヤクザ金融の男からお金を借りてしまって、その借金を払わないと、僕は飛行機で明日海外に、それで」
「海外?」
「ヤクザ金融の男が、僕の臓器を売って金利にするって、ううぅー!」
沢村はお慶さんにしがみつきながら、おいおいと泣きじゃくった。

「そんな、臓器を売るだなんて・・・」
お慶さんは青ざめた顔で
「研二さん、借金っていったいどれくらい?」
お慶さんの言葉に沢村は膝の上でにやりと笑った、そしてぼろぼろの顔をあげると
「さ、三千万円」
ボソッとそうつぶやいた。
「三千万って!?」
「慶さん、こんな事を君に頼むなんて情けないんだけど、助けてくれ!僕を助けてくれ!」
「研二さん?…」
「慰謝料だなんて言ってすまなかった、ただ、どうしても3千万、いや1千万でもいいから、お金が必要なんだ!」
沢村はすがるような目でお慶さんをみた。 
「1千万でもって、そう言われても、私にはそんな大金・・・」 
「お父さんに、慶さんの資産家のお父さんにお願いしてもらえないか?君のお父さんならそれくらいたやすいだろう、必ず返す、いつか絶対に返すから、頼んでもらえないか?なっ?慶さん」
沢村は必死にお慶さんに頭を下げ続けた。お慶さんはそんな沢を、寂しそうに見ながら
「研二さん、私の父が資産家だなんてどこで聞いたんですか?」
「えっ?」
「どこで聞いたか知りませんが、勘違いしてるわ」
「勘違い?」
沢村は眼をぱちぱちしながらお慶さんを見た。

「ええ、勘違いよ、私の父は確かに以前は大きな会社を経営していたけれど、今は資産家でも何でもないわ」
「今はって?なっ、何言ってんだ?」
「父は二年前、事業に失敗して土地も何もすべて失ったの、今は年老いた母と年金暮らしです、それに私はその前に父から勘当された身です」
「何?お、おい何言ってんだ?お前、勘当の身って!?」
「追島と一緒になるとき、ヤクザの身内は御免だって父に絶縁されました」 
沢村はお慶さんの言葉に、あわてて立ち上がると
「ちょ、ちょっと待てよ、お前が資産家の娘だって三波が、やつがそう教えてくれたから、俺は!」
「三波先生が?」
「この店だって借金とか言いながら、本当は親父がスポンサーになって作ったって、あいつが、三波がそう言ってたんだぞ」
沢村は突然おろおろしながら、お慶さんを見た。
「それじゃ、三波先生にそう教えられて・・・研二さんあなたは私と?」
「あ、いや」 
「このお店は私が今までコツコツ働いたお金と、銀行の借金でオープンしたものです」
「・・・!?」
沢村はしばらく呆然とした顔でお慶さんを見ていたが、やがてみるみると目玉を血走らせはじめ 
「ふーざけるなー!それじゃ、俺は三波の野郎の勘違いで、こんな三十路のこぶつき女と!」
突然逆切れして、お慶さんにどなりつけた。

その言葉にさすがのお慶さんも怒りをあらわに 
「そ、そんな、ずいぶんじゃない!?その言葉!」
「やかましー!このバツイチ女が!!」
沢村は怒りで顔を真っ赤にすると、今度はお慶さんの髪の毛をむんずと鷲づかみにした
「痛い!なっ、何よー、放してよ!」 
「うるさい!」
切れた沢村は怒鳴りながらお慶さんの顔を思いっきり拳でなぐりつけた。 
「きゃーっ!?」
「何がきゃーだ、小娘みてえな声だしやがってー!」
沢村は再びその拳でお慶さんの顔を殴りつづけた。

「やっ、やめて!やめてー!」 
「やかましいー!資産家じゃねーなら、お前の身体で婚約解消の慰謝料用意しろー!ソープにでも何でも身を売って金を用意しろー!さもねーと、お前もあの生意気な娘も、たたじゃすまねーぞ!こらー!」
沢村研二はついにその本性の冷酷な姿をむき出しにしたのだった。
そしてふたたび、お慶さんめがけてその拳を振り上げたその時、その腕を背後にいる誰かがガシッと鷲づかみした。
「何!?」
「あっ!」
沢村とお慶さんはハッと驚きの顔を浮かべた。

「かよわい女に暴力ふるうなんて、最低じゃない、あんた・・・」
沢村の腕を握った主、それは女衒の栄二さんだった。

「お慶ちゃんの事が心配だって、めぐっぺが言ってたから私も気になって戻って見たけど、まあ~来て本当によかったわー!」
「栄ちゃん!」
お慶さんは口から血を流しながら泣き顔で栄二さんを見た。
「お慶ちゃん、だから言ったでしょ、この男は女を食い物にする男だって、だから絶対にダメだって、ホホホホホ・・・」
栄二さんは甲高い奇声で笑いながら、沢村をギロッと睨み据えた。

「な、なんだよお前は!これは俺とこの女の問題だ!」
栄二さんに腕を握られた状態で沢村も睨みかえした。
「何が問題よ、まったく虫もつぶさないような顔して、たちの悪い男だこと」
「何だとー、このおかま野郎が!」
沢村は叫ぶと同時に反対の拳を栄二さんめがけて振り上げた。
バキッ!!
沢村の拳が栄二さんの四角い顔面にめり込んだ。
しかし栄二さんは、沢村の拳をもろに受けながらも、まばたきひとつせずジーッと沢村の事を見据えていた。

「な、何だ、こいつは!?」 
「先に殴ったわね、あんた先に私の事殴ったわね!」
「えっ!?」
栄二さんはペロッと舌舐めずりすると、その大きな四角い頭を勢いよく沢村に顔面めがけてぶち当てた。
バグオーー!
「ぶおぁーー!」
鈍い音とともに、沢村研二は吹き飛ばされた。

「正当防衛よ!今のは正当防衛よー!」
栄二さんは大声でそう叫ぶと、お尻をぷりぷりさせながら沢村の元へ駆け寄り、やつのネクタイを握ってぐっと締め上げた。 
「ぐえ、くっ、くるしいー、はなせー!」
沢村は苦しそうに栄二さんを見て、そこで「はっ!?」と驚きの顔を浮かべた。
「あっ、あわ、あわわ!?」
沢村の前には、今までのひょうきんおねえ姿とはまったく別人の、まるで閻魔大王のような顔に変貌を遂げた女衒の栄二さんの姿があったのだ。
栄二さんは閻魔の顔をさらに真っ赤にすると、沢村研二の顎をグイッと握りしめ
「おい!この便所バエ男!」
「べ、便所バエ?」
「いや、便所バエの方が、まーだ役に立つ、おうコラ~!このミジンコ野郎!てめえお慶ちゃんに手あげて、このままで済むと思うなよ!」
栄二さんはすさまじい顔で沢村を空高く持ち上げた。 
「ぐえー、痛い、痛い、はなせ、暴力はよせ!暴力は!」
「何が暴力はよせだ、てめえのどの口がそんな事ぬかしてやがんだ、おーコラー!!」
栄二さんはどすの利いた声で沢村を怒鳴り飛ばした。
「はっ、すいません、すいません!」
「すいませんで済むとおもってるのか、このギョウ虫野郎がー!」
メキメキ、メキメキ・・・
栄二さんは両手で沢村を高々持ち上げると、その怪力でやつの首を締めあげた。
「く、苦しい、苦しい・・・」
沢村研二は口から泡を吹きながら白目をむき始めた。

「ダメよー栄ちゃん、そんなことしたら、この人死んでしまうわ!」
お慶さんはあわてて栄ちゃんの腕にしがみついた。 
「死んだっていいのよ、こんな寄生虫、生きてたってろくな事ないんだから!」
「ダメだってば、栄ちゃん!お願いやめて、栄ちゃん!!」
お慶さんに止められた栄二さんは、しかたなく沢村研二を床に投げ捨てた。

「ゲホッ!ゲホッ!!慶さん、やっぱりあなたは僕の事を思って…!」
沢村が首を押えながら、お慶さんにひきつった笑顔を浮かべると
「残念だけど、あんたの事心配して止めたんじゃないんだよね」
「えっ!?」
「私はね、あんたみたいな男の命と引き換えに栄ちゃんが刑務所に行かなければならない、そっちが悲しくて止めたんだよ」
「えっ!?」
お慶さんの言葉に沢村研二は呆然と涙目を浮かべた。そんな沢村のそばに再び栄二さんがその四角い顔を近づけると
「おいっ!この大腸菌野郎、今日のところはお慶ちゃんに免じて我慢してやるがな、今度お慶ちゃんに近づいてみろ、ぐちゃぐちゃのミンチ肉にして、多摩川のダボハゼの餌にしてやるからな!コラ!!」
「はっ、はい、はいっ!」
「分かったら消え失せろ!このピロリ菌野郎!」
「はい、はい!」
沢村研二は直立不動でそうさけぶと、あわてて喫茶慶から走り去って行った。 
お慶さんは、そんな沢村の後姿を寂しげにじーっと見たあと 
「ありがとう、栄ちゃん」
深く頭をさげた。
「何言ってんのよ水臭いわね・・・、それにしてもまあ派手にやられたものね、せっかくの美人がひどい顔だこと、ホホホホホホ」
「笑い事じゃないでしょ、こんなにひどい目にあってるって言うのに」
「自業自得よ、あんたがあんなたちの悪い男に騙されたりするからじゃない」
「たしかにその通りね、ふふふ・・・ふふふふ」
お慶さんはそう言って笑いながらもどこか寂しげな表情を浮かべていたが、ふたたび栄二さんの方を向きなおすと
「ありがとう、栄ちゃんのおかげで本当に助かったし、それに騙されて悔しいけれど、さっぱりさせてもらったしね」
「お礼なら、めぐっぺとヨッチーちゃんに言ってちょうだい、何しろあの子たち、すごーく心配してて、それで私も戻ってきたんだからさ、ほほほほほ~!」
「そうね、二人ともとっても優しくて素敵な子・・・、今度来てくれたときは腕によりをかけておいしい御馳走しなくちゃね、ふふふ」
お慶さんは晴れた表情で笑った。そして栄二さんも何時の間にかさっきまでの閻魔大王から、元のひょうきんなおネエに戻っていた。

「あっ!そうだわ、お慶ちゃん、あんたに言い掛けていたことだけど・・・」
栄二さんは再び真剣な顔でお慶さんを見た。
「追島ちゃんが暴行事件を起こした、あの一件」
「あー、またそれ?」
お慶さんは追島さんの名前を耳にしたとたん不快な顔に変わった。

「あんた知らないみたいだから言うけどさ、あの日追島ちゃん指名したソープ嬢に対して指一本触れてないのよ」
「えっ!?」
お慶さんははっと目を見開いた。
「うそ!栄ちゃん、今さらそんな嘘ついてどうしようって言うのよ」
「嘘って失礼ね、あんた・・・、事件の後すぐそのお店の店長と女の子達から聞いたことだから確かなことよ」
「確かって、どうして?」
栄ちゃんは真剣な顔でお慶さんに話しを始めた。

「追島ちゃんね、あの日お店に入ってすぐ、そのソープ嬢の写真を見て急に血相を変えたんだって」
「何?何でそんなこと」
「実は、そのソープ嬢の子追島ちゃんが、よーく知ってる女の子だったのよ、それであいつ、あわててその子を指名したのよ」
「知ってる子!?」
「そうだ、お慶ちゃん、あんただって知ってるはずじゃない、君江ちゃん、覚えてるでしょ、君江ちゃんよ!」
「き、君江ちゃんって!えー!?」
お慶さんは、急に顔をひきつらせた。 
「そうよ、その君江ちゃんよ!西条竜一、やつの奥さんだった君江ちゃんよ!」
「うっ嘘!?嘘でしょ栄ちゃん」
「こんな嘘ついてどうするって言うのよ」 
お慶さんは、ショックで顔を引きつらせていたが、やがて、はっと何かを察して、真剣に栄二さんを見た。

「栄ちゃん・・・、それじゃまさか?追島が暴行を加えた女の子のヒモって?」
「そうよ、西条よ、西条竜一よ」 
「えー!?何でー、あいつ留置場でそんなこと一言も」
「やっぱり、そのことあんたに話してなかったんだあいつ」
お慶さんはひきつった顔でうなずいた。
栄二さんは呆れ顔でおでこを抑えると
「まったく馬鹿よねー、だからゴリラ以下の脳みそだって言われるのよ、あの馬鹿チン!!そんな大切なこと、お慶ちゃんに言わないんだから、不器用すぎるの通り越して、本当の馬鹿チンよ!」
ぷりぷりと怒りはじめた。そんな栄二さんを横目にお慶さんも
「馬鹿よ!本当にあいつ馬鹿じゃないの、あの時そんなこと、そんな大切なことを隠してるなんて、ばっ、馬鹿よ!!」
震える唇で、何度も何度もそうつぶやいていた。そして、その瞳からは大粒の涙がとめどなくこぼれ落ちていたのだった。

つづく

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました^^
※このお話はフィクションです。なかに登場する団体人物など、すべて架空のものです^^

続きはこちらです↓

前のお話はこちら↓

侠客鬼瓦興業を第一話から読んじゃうぞーというやさしい方はこちら↓

侠客鬼瓦興業を途中から読まれる方は、ここからお話を選んでください↓

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