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台湾カフェストーリー8~静かな港町のレトロカフェを訪れる

1.台東北部・成功の町に日本時代の木造家屋が復活

1月の花蓮・台東旅行で、立ち寄った台東縣成功鎮。ここには、日本統治時代の木造邸宅と、レトロカフェの2棟が隣り合わせという、老房子好きにはたまらないスポットがある。日本家屋の方は、昨年修復が終わり、一般公開が始まった「菅宮勝太郎故宅」。日本統治時代の職員用木造家屋は、建築スタイルが比較的似通っているのだが、勝太郎の故宅は、随所に個性的なデザインが取り入れられている。というのも、彼が新港(成功の旧名)の支廳長を退任し、異動を命じられた時、それを蹴って退職してしまい、新港に住み着いたのだが、その時建てたのが現在の故宅というわけ。そのため、自分の思うような住宅を建てたようだ。

ベランダが目立つ菅宮勝太郎故宅


展示品も興味深いが、何より印象的なのは、2階のベランダ。日本統治時代には、現在目の前になる建物はなく、ベランダから広い太平洋が一望できたそうだ。

2階の広間からベランダを眺める


2.菅宮勝太郎の屋敷を守った高医師の診療所がカフェに

この魅力的な木造住宅の隣に、コンクリート造りだがかなり年代物の建物がある。これが「眺港cafe」だ。この建物はもともと、新港(成功)の医療に尽くした高端立医師の診療所として戦後すぐに建てられたものだ。クリスチャンでもあった高医師は診療所の隣に教会を建て、医療と信仰の面から街を支えていたというわけだ。

カフェのカウンター

長らく地域の人々の支えであった診療所も、1995年に医師が亡くなり、閉鎖となった。いったんは、新港教会が建物を買い取ったものの、勝太郎宅が台風などで被害を受け、保存が難しい状況になった。そこで勝太郎の親族を含む多くの人々の努力により、二棟が修復・整備され、眺港老屋としてよみがえったのである。

眺港cafeの看板

3.街の診療所でコーヒーを飲んでいる気分

さあ、カフェの中に入ってみよう。店内はレトロでおしゃれだが、ちょっと独特の雰囲気を醸し出している。それもそのはず、この建物は、診療所時代の様子をできるだけそのまま残した造りになっており、まるで病院でコーヒーやお茶を飲んでいる気分になる。

昔の診療所の面影を残す

筆者が注文したのは、こちらの二品。ここでも違う産地の台東コーヒーがあり、1月の旅は、さながら台東コーヒーの旅の様相を呈してきた(笑)。そして、スイーツも頼んだのだが、目についたのがシナモンロール。これがとても大きくて、しかもしっかりした甘さ!シナモンロールは甘さ強めが良いと思っている人間なので、ここのはとても気に入った。

コーヒー、シナモンロールともに美味

この日も、他にお客さんが何組も来ていた。成功は、台北辺りから気軽に来られるわけではないので、平日でも賑わっているのには少々驚いた。自分と同じように、ネットで良さそうなレトロカフェを研究し、旅先でそういうお店を訪問して楽しむ人が結構いるのかもしれない。

【店舗情報】
「眺港cafe」
住所:台東縣成功鎮中山東路57號
営業時間:12:00~18:00(土曜は13;30~、水曜定休)

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