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映画感想:Belfast

2年8ヶ月ぶりに、日本へ一時帰国した。コロナ規制が徐々に緩和され、仕事に大きな支障がない範囲で帰国できるようになったのは、大変ありがたいことだ。

そんな帰国の途上で、久しぶりに体験したのは、飛行機の機内での映画鑑賞。今回は、LCCを避け、ANA松山ー羽田便で帰国したので、機内エンターテイメントが楽しめたというわけ。

数ある映画からチョイスしたのが、イギリスの名優であり演出家であるケネス・ブラナー監督による「Belfast」である。

本作品は、今年のアカデミー賞で見事、脚本賞を受賞し(脚本賞や脚色賞を受賞する作品は、俳優の力量だけに頼らない良作が多いよね)、日本でも3月に公開されている。

〈あらすじ〉
舞台は1969年の北アイルランド・ベルファスト。9歳の少年・バディは、普通で平和な生活を送っていた。たが、カトリックとプロテスタントが共に暮らすこの地で、プロテスタント強硬派がカトリック側への攻撃を始め、街は大混乱に。そんな中、一家はある決断を迫られることになる・・・。

とまあ、ざっくりと書いてみたが、物語はもっと多面的な様相を見せ、紛争のただ中にいる人々の姿を巧みに映し出している。北アイルランド紛争勃発時のベルファストを描いているのだから、当然、暴動のシーンもあり、人々が恐怖と隣合わせで生きていた様子も映し出される。

だが、それとともにケネス・ブラナーが描いているのは、そんな苦難の中でも、人々は日々の生を生き生きと全うし、時にはユーモアを交えて生き抜いていた。

こんなリアルで地に足の付いたストーリーを描けるのは、ケネス自身が少年時代にベルファストで暮らしていたと合う経験と無関係ではあるまい。それにしても、ケネスがベルファスト出身だなんて、この映画を見るまでは知らなかったな。

主な登場人物を演じるのもベルファストやアイルランドに縁がある俳優ばかり。主役のバディを演じる少年、ジュード・ヒルも北アイルランド出身。この子の面構えと自然な演技がまた良いので、ぜひ注目してほしい。

そして、おばあちゃんのキャラクターが強烈で深いなあと思っていたら、なんとジュディ・デンチ御大が演じておられました。御年87歳の「イギリスの至宝」が、作品全体にさらなる深い印象を与えている。

この映画、台湾では上映していたのかな?オスカー受賞作品だから、上映していたかもしれない。僕の中の映画鑑賞低迷期の間に、多くの優れた作品を見逃していたんだろうな。

そろそろ、映画館にもちょくちょく足を運んでみようか。


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