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当事者の声を聴くということ(東京都協働フォーラム)

このパネルディスカッション、是非じっくりと聞いてください。

なにがいいかっていうと、子どもの声を聴くということについて、
青少年、学童、乳幼児のそれぞれについて、実際に声を聴いてきた人たちの鋭い指摘がいっぱい詰まっているんです。

スライドを見ながら聞いていただくと、頭への入り方が全然違うと思いますが、サマリーも書いてみたので、併用してみて下さい。

先日の東京都協働フォーラムのパネルディスカッションのアーカイブ動画(1時間25分)です。公開は3月末までです。

この「健全な青少年」らしいみてくれのウェブサイトから想像すると・・・
行政のフォーラムだなあっていう感じなんですが、
いやいやいやあ。そうは言わずに騙されたと思って、
上のyoutube見て下さいよ~~。

もちろん午前からの全部を見ていただくとそれぞれとーってもいいのですが、数時間の内容なので、特にここでは、

自分が一番深くかかわった第3部のパネルディスカッションをご紹介。
<ファシリテーター>
武田 信子 / 臨床心理士•一般社団法人ジェイス代表理事
<パネリスト>
光畑 由佳 /モーハウス代表 特定非営利活動法人 子連れスタイル推進協会代表理事
嶋村 仁志 / 一般社団法人TOKYOPLAY代表理事
荒井 佑介 / 特定非営利活動法人サンカクシャ代表理事


以下、要約(と言いつつ、長め)。文責は武田です。

4:00ー(ファシリテーター武田より)
東京都こども基本条例が制定された。その説明。
 特に第10条に意見表明権が明示されている。
0歳からの意見表明(成熟度に従って相応に考慮される)
・午前中の報告も、大人が付き添いつつ、子どもの意見表明を実現した。

7:25-(武田より)
一般社団法人ジェイス(日本の子どもの養育環境のためのアクション、マルトリートメントの予防)の説明 
・日本の子どもたちはウェルビーイングに生活できている?
・子どもたちのため・・・大人から子どもへの社会的マルトリートメント
  体罰という暴力、宿題という残業、しつけという強制、安全という拘束
・子どもを良く育てなければならないプレッシャーからのエデュケーショナル・マルトリートメント
・発達の阻害、体験の剥奪、ディスエンパワメント 
・子どもにかかるプレッシャー←国連子どもの権利委員会勧告
子どもの商品化。だんだんマルトリートメントに気づき始めた?!
北欧のウェルビーイング。生まれた国が違うと幸せになれない?
子育ての価値観の点検と転換が必要

20:15-(嶋村氏より)
・一般社団法人TOKYOPLAYの説明 子どもが豊かに遊べる東京を
・子どもがどう育ちたいかは遊びの中に出てくる。
・好きなことをすることは育ちに必要なこと。
基本的人権としての遊び
子どもの遊びは環境問題として社会で取り込んでいく姿勢が必要。
社会として「遊ぶ」を支える。国際的な観点、事例から。
・「遊ぶ」を作る。みちあそび。何でもない日常の中で一緒にいるのがあたりまえになる。大人子ども関係を作ろう
・インクルーシブ公園、プレイデー、子どもの声のグループヒアリング実施
・「どうせ何を言っても変わらない」?!
   → 行動計画の結果、変わりましたか?

30:50ー(荒井氏より)
・NPO法人サンカクシャの説明 学校や社会になじめない若者がどんな道に進んでも生き抜いていけるように。
・創業までのストーリー
・家庭や学校、社会になじめない若者が孤立しやすい
15-25歳の若者たちへの支援が不足
・親や身近な大人を頼れない→人と関わることが怖い。
 学校や社会になじめない→社会にサンカクする自信を失う。
5つのステップで社会へのサンカクをサポート
   その子と関係を築くことから少しずつ・・・
・活動実績:居場所、サンカククエスト(働く体験を積む)、イッショニバイト(仕事探しから伴走)、居住支援(シェアハウス)、
一緒に過ごす、関係を築くことで、彼らの本音が聞こえてくる
・関わりたい大人を増やす、ネットワークやコミュニティを作ってサポート

 若者支援は進学や就職に向かうことが多いけれど、
 今のままでいいんだよから始めることが大切(武田)

41:00-(本日のディスカッションの説明:武田)
「東京を子どもの声が聴ける自治体にするために私たち都民ができること」2024年に子ども基本条例の検討をする予定。
それまでに、子どもの声をどのようにして聴くのか?どうしたら聴ける?

そもそも子どもが語らないのはなぜ?
 子どもたちから話を聞くためにはまず自由で安心な環境に置くことが必要
・大人に対して意見する力は、自然に備わるものではなく、大人との日常的な関わりあいの中で成長する。
・放たれて育つ、見て育つ環境下では大人と子どもの関係が良好になる。

子どもの声を聴いたふり、の行政対応がしばしば
 「聞いた事実だけが残り、意見を言っても検討もされない
・子どもの声を聴くことは可能か?カナダのオンタリオ州の事例。
 ・子どもの声を大人が代弁しない。そのまま行政やメディアに伝える。
 ・自分たちで声を上げられる状況を作る。

 ・先輩がガイドして、仲間の声を直接改善可能な担当者に伝える。
・安心して意見表明できる東京を作りましょう。

今の東京はどうか?できない理由ではなく、できる方法を考えよう。

50:00-子どもが安心して意見表明できる東京に。
今の現状はそれぞれの立場からどう見えているか?

(嶋村氏)
・聞いてくれている大人が少ない、どうせ何を言っても変わらないと思っている子どもたちは、2011年調査から変化したか?
・自分の声に意味があると思う スウェーデンは8割 日本はその半分以下
・学校教員 子どもの声を聴くのは難しいと。一人の意見を聴くと他の子とのバランスが取れない。子どもの発したことをそのまま実現しなければならないと思っている大人が多いのではないか。もっと前の段階で、まず、実現する側・される側ではなく、この人とだったら話してもいいよね、という共に対話が成り立つ関係を作ろう。言ってもいい、と普通に思える関係が日常になさすぎる。すぐに答えを言わなければならないと思っている大人が多い。どうすればいいかねえ・・・と言いながらつきあおう。
・最初は、子どもたちに「あれやらない?」と言い続けていた。そうしたら「なんかしてなきゃいけないみたい」と言われた!!子どもに教わった。

(荒井氏)
・声を届けたところで意味があるの?という若者たち。
 レールから外れた自分に価値はない。  
 大人が都や国が自分を助けてくれるとは思わない。
 制度に興味ないし。
 親を変えてくれるわけではないし、人生変えてくれるわけでない。

・前澤社長がお金をくれるのはリアル。youtuber や個人が助けてくれる。
そもそも大人が声を聴くことに期待していない。
・期待していない彼らが要望を出そうと思い始める、その信頼の獲得から始めなければならない。

(光畑氏)
・社会の仕組みは良くなったはずなのに、まだ子育ては苦しい。
・ダメ出しが多い。小さい時の体験から条件付きで育っている
・子どもは泣くのが仕事という。でも、子どもを連れて働く親に「子どもを泣かせないで」と言ってきた。公共の場である店で、子どもの気持ちを最優先にしなければ、後回しにすると泣いてしまうから。赤ちゃんがどこにいるかわからないくらいの職場にしてきた。
・子どもが泣かない国では、いつも抱っこ、おっぱいが与えらえる。そんなの無理といって、子どもの声を聴くことよりも周りに許容を求めていく声が大きくなって、子どもの声を聴くことを真剣に見ない状況が生まれている。
・私の会社では、赤ちゃんたちが大人と話す機会が多く、自分の求めるものがいつも与えられる、一人の人間として大事にされている子どもたち

(武田)
心理学に学習性無力感という言葉がある。
言ってもダメの繰り返しだと、どうせダメと思うようになる。
逆に聴いてもらえると自己効力感が高まる
聞いてもらえると無駄泣きがなくなって、必要な時だけ声を出せばよい。
一方、無視されていると何を言っても仕方ないと思うようになる。

(フロアに)
これを言ってはいけないとは思わないで、挙手して下さい。手短に♪

フロア1)聞いてもらえる経験値が上がることが大切。
      変わったことがわかるといい。
フロア2)抱っこして目を見て長い時間話すこと。
      学校にいる時間が長いので、先生が話を聞くことが大事。
                 一生懸命な人柄のいいサポーターに相談できるといい。
       官民連携して。東京都は豊かだから!
フロア3)第三の居場所や斜めの関係が大事。
      当事者でないと話ができない、子どもを持っていないと話せない  
      ことが多いけれど、 問題意識を持つ人がアクセスできる、何でも
                 ない
人が関われる手段も考えられるといいと思う。
フロア4)午前中発表した高校一年生による発言。
     家族以外の家族みたいな人がいるといいな。悩みだけではなく  
     て日頃思うことを話せると安心して意見表明できるようになる。
     私も期待できないところがある。でも最初からそうだったわけで    
     はなくて、家族や大人との体験から期待できなくなる。

     不信感を持っている子どもたちがあっという間に大人になって、      子どもを持ちたくないという選択をしてしまうように思う。
     学校や家より、放課後の時間が長くあって、空白の数時間を毎日
     埋められる場所が週に一日では足りない
と伝えたい。

【最後に】
(嶋村氏)「忙しすぎる学校の先生を解放してあげたい、そうでないと話を聞いてもらえない」などと大人を気にしている子どもの声もある。川崎市では子どもの声として「まずは大人が幸せでいて下さい。そうすれば子どもが幸せでいられる」と書いてある。子どもも大人もみんなが幸せに。
 ヒアリングの義務化が求められる。
  聞くことの研修も仕組みにしていく。
 行政は仕組みを作る、みんなのものを作っていくところ。
 急がないと。10年後も同じことを言っているようなことのないように

(荒井氏)フロアから午前中の参加者の意見が聞けて良かった。
新しい価値観を持って活動をすると出来ることはたくさんある
若者カルチャーを知っていても、30歳を超えると手遅れなので、
10代の力を借りないとと思う
立ち上がっていく人が増えていかないと、皆あきらめていきがち。
今日のように意見を言ってくれる人がいることが希望
みんなが手伝ってくれると思うから、是非やって下さい。

(光畑氏)午前中から共感することが多くて、来てよかった
赤ちゃんを含めて一人ひとりを大事にすること、仲良くしていくことが必要。大人の困難さ、関わりづらさから、難しいところだけれど、みんなが「道を聞かれる人」「開かれた声をかけやすい人」「大阪のおばちゃん」になっていけるといい。
近隣や斜めの関係は重い感じがあるから、むしろ仕事場で取組んでもらう。それぞれの場で、出会える場で、できることを考えて一歩を明日から。
こうしてみようということを明確に描いて、基本条例を現実化して欲しい

(武田)今日は「東京都なんとかして下さい、担当者なんとかして下さい」と追い詰める会にならないようにと考えてきた。基本条例の補則にある3年後をめどに、皆で何ができるんだろうと考えよう。みんなの意見を集めて表に出すだけでも大きな進歩になる。そのみんなの中に子どもを入れよう
 会場の参加者はもう少し話して聞いてもらいたいと思ったのではないか。大人もさらに対話を進めていこう。ご参加どうもありがとうございました。

                       以上 文責 武田信子


さて、ここに至るまでの経緯も書いておきますね。

午後のパネルディスカッションのファシリテーターの打診が、
NPO法人せたがや子育てネットの松田妙子さん♪ からあって、
私は彼女からの依頼は断れない。
む~り~って言ったんですけど。押し切られました(笑)

そこから、何か月も、どうやって進めるかについての調整をし続けて、
関係者に会いに行っていろいろお願いもしたし、
いろいろ調べたし、勉強したし。

その中で、午前から参加してその様子を反映した午後の進行にする、
ということにもなって。

そうして、当初の予定をいろいろと変更してもらいながら、
松田さんと「実のあるフォーラムにしよう」と工夫を凝らしましたよ~~。
たった1時間半の司会のために、
どんだけ拡張して準備するんだ、私って思ったけど。

信頼できるパネリストの方たちだから、
ちゃんと流れを作れば、上手くいく、と思って。

打ち合わせの段階で、当日は
「フロアからの意見を聴く」ということになっていたのだけれど、

な。なんと、当日の深夜00:02に、メールが入ってきて、

「コロナ禍だから、フロアからの意見を聴くことは無理」と。
え〃~~~~~~~~~~。

参加者同士のディスカッションと、
会場から質問を受け付けるという点について、
会場のコロナ対策の観点とマイクの設備の関係上難しい
ということになりました。
その代わり、皆様(注:登壇者のこと)から会場に
質問を投げかけていただき、
拍手などで回答をする…
といった形でご対応いただくのはいかがでしょうか?・・・
せっかく皆様がいらしてくださるので、
皆様のディスカッションをメインに聞きたい!・・・。


なんでなんで?て言うことで、とりあえずは眠りまして(笑)
朝、布団の中でいろいろ考えました。

だって、「子どもの意見を聴く」という内容のフォーラムで、
その場にいる(大人だけど)当事者の意見を聴かないって、
それではこの場が実践のモデルにならないんです
ってば!!

ていうことをずっと言い続けて打ち合わせしてきたのだから、
いろいろと大変だろうけれど、なんとかしたい。

できない状況でも「だったらこうしてみたら」を提案しなきゃ

それで、朝7時に返信しました(要約です)。

当事者の声を聴く、ということが、とても大切である、ということを象徴するために、
1.もし可能ならば、SLIDOなどを使って、ネットで声を収集して下さい。
2.難しいとしたら、皆さんに資料をお配りする際に一人一枚どんな紙でもいいので白紙を配布してそこに意見を書いて出していただくようにして下さい。紙と鉛筆と、意見を書いた紙を集めるための箱は持参します。
 当事者の発言の機会を保障する努力をするということです。
 壇上に上がっている代表者の言葉ではなく、
 その場にいる全員の言葉(発言しないという選択肢も含めて)が大切であるということを象徴的に伝えたいのです。
 声が聴けない理由ではなく、声が聴ける方法を最後まであきらめずに探すことの大切さを伝えたいと思います。 

それで、会場に行って、
自転車で持ち込んだ段ボールに入れた大量の紙と鉛筆と箱をお見せして、
これを使ってください!って粘りました、私。

それでもだめと言われたのだけれど、
ひとつひとつ理由をつぶしていったら、
もう一度検討しますって言われて、

とうとう最後。
会場から直接、声を聴いていいって!いう返答が!!
その都度、マイクの消毒をしますって!
 
やったぁ~~。
(これだけ場の設定や準備に口を出して予定のストーリーを変えることに労力と時間をかけるゲストは、企画側からすれば余分なことをする面倒なゲストだから、もう二度とこういうイベントには呼ばれないだろうな~私、と思いましたけどね)

担当して下さった方たちの立場上の不安や心配はよ~くわかるので、
できる限り配慮をして安心して参加していただこうと対話をし続けました。

結果的に、企画したみなさんにも会場の皆さんにもよかったって言っていただけました♪

皆様お疲れさまでした~~。


第1部YouTube URL:https://youtu.be/Use2XcFN2Hk

第2部YouTube URL:https://youtu.be/PeL3A9e6Qo4

第3部YouTube URL:https://youtu.be/3KxmUBNt_Kw

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