学び続ける学校の先生〜ICT授業研修会 【週刊新陽 #108】
4月最後の週末、新陽高校から徒歩20分ほどの天神山緑地も花盛り。桜と梅が同時に満開を迎えていました。北海道はこれから、樹木が芽吹く美しい季節がやってきます。
ICTを使うのはなんのため
4月28日(金)の放課後、今年度最初の全校授業研修会を行いました。(4月初旬には新任+希望者向けのシラバス研修を実施。)
新陽ではこれまでも教員研修の場を設けていましたが、昨年度からは年間計画を立て、授業改善と教員の資質向上を目的とした体系的な授業研修に取り組むことに。新陽ビジョン2030や学習指導要領を踏まえて、目的を明確にしながら、具体的で実践的に教員同士が学べるような内容を教務部が中心となって企画してくれています。
今回の研修のテーマは「ICTx授業」。1人1台端末の利用やオンライン授業にいち早く取り組んだり、Google Workspace for Education をはじめ多くのデジタルリソースを活用したりするなど、積極的にICTを使っている新陽ですが、昨年ふと「アプリを使うのが当たり前になっているけど、それがベストの選択肢か考えて使っているだろうか?」という疑問が湧きました。
「ここまで環境やリテラシーがあるなら、もっと効果的なやり方があるかもしれない。」ということで、教務とICT/DXチームのメンバーが企画した研修プログラムがこちら。
メインファシリは、DXリーダーの尻江先生。教科の枠を超えてランダムに組まれたメンバーによるグループワークでは、それぞれの授業実践を共有しました。
ゲーム要素を含むアプリを活用して生徒のモチベーションを上げている先生がいたり、生徒の反応を見てアナログとデジタルを使い分けていたり、色々なアイデアがシェアされました。新任の先生からの視点も加わり、4月に開催したことによる収穫もあったようです。
各グループのディスカッション内容を全体で共有した後、最後に尻江先生から「ICTをうまく使うコツは、なんのために使うのか、そのツールを使う意味を明確に持つこと」とアドバイス。
大事なことは、さまざまな学習スタイルとICTの活用を組み合わせ、学習効果をアップさせること。意図をもってその環境を作り生徒と関わることの重要性をあらためて感じた研修となりました。
『学習する学校』の対話の場
授業研修と同じく、年間計画を立てて実施しているのが『中つ火を囲む会(通称:中つ火)』。
2021年度より、新陽が目指す『学習する学校』に向けた取り組みの核として月に一度開催している対話の場です。
4月18日の中つ火のテーマは『ハッシュタグ(#)型の自己理解・相互理解』。ファシリテーターはリクルート・ヒトラボの福田さんが担ってくださり、「自分らしさ(私の観点)」「新陽らしさ(私たちの観点)」について対話しました。
新しいメンバーを迎えチームもリニューアルする年度始めに、自分自身のメタ認知と学校(組織)についての認識を共有するのが恒例となってきましたが、今回はさらに「未来の新陽」という時系列変化の観点を追加。
この「未来(時間)」という視点を入れたことで、個人の願い、つまりビジョンの粒度が上がった気がしました。
『人物多様性』をビジョンに掲げる新陽として、生徒だけではなく教職員も多様であることは強みです。その多様性を最大限に活かすためにも、一人ひとりの個性を見える化する対話はとても大切だと考えています。
失敗を重ね、改善を図る
ICT授業研修にしても、中つ火の対話にしても、新陽の先生たちの参加している様子を見ると当事者意識が高いな、と感じます。どんなときも一番に考えているのは、「どうやったら生徒にとってより良い環境を作れるか」ということです。
私個人の見解ですが、教員の役割は「学習環境をデザインすること」。学習環境とは、教材はもちろん活動や空間、一緒に学ぶ人も含まれます。そしてこの環境をデザインするのに必要なのは、「何を教えたいか」ではなく、「生徒がどう学ぶのか」という学習者視点。
最近はオフィシャルな研修だけでなく、自主勉強会も開催されています。プレゼンターは立候補制で頻度も不定期。放課後の15分ほどを使ったり何かの研修や会議のあとにくっつけたりして、自分の実践や研究をみんなにシェアするスタイルです。
ベテランの先生たちも率先して開催してくれているのですが、そういう先生たちのプレゼンを見ながら、授業に”絶対の正解”はないんだな、と思います。どんなにやっても「これでよかった」と思うことはきっとなくて、「もっとこうすればよかった」とか「あんなふうにやってみたらどうなっただろう」と課題感を次に活かす、その繰り返しなのでしょう。近年、教育において探究が注目されていますが、学校の先生も探究しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?