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《卒業記念インタビュー》 文武両道を目指し続けた3年間 【週刊新陽 #150】

3月1日(金)、札幌新陽高校の第64回卒業証書授与式が行われました。

今年は210名の生徒を見送りました。初代校長・水沼與一郎先生が掲げた「自主創造 この道は自ら拓くべし」という校訓のとおり、それぞれの道を進んでいってほしいと願っています。

新陽には、卒業にあたって表彰される皆勤賞や貢献賞など様々な賞の中に『一水(いっすい)賞』という独自の賞があります。

これは水沼先生の雅号『一水』に因み名付けられたもので、『成績・人物ともに優れ、模範となる生徒のうち、校長が特に優秀と認めた者』に授与されます。

今年は、進学コースの伊藤きあるさんが一水賞に選ばれました。

伊藤さんは、3年間通して優秀な成績を収めながら、ハンドボール部では1年生から全国大会のレギュラー選手として活躍し、3年には札幌選抜に選ばれ予選を勝ち抜き北海道代表として国民体育大会に出場。顧問の合田先生によれば、主将としてチームをまとめ後輩からの信頼も厚かったとのこと。

卒業式前日、伊藤さんに話を聞かせていただきました。

-- いよいよ明日、卒業ですね。今の率直な気持ちを聞かせてください。

3年間あっという間でした!入学した時は、部活でやっていけるか…とか勉強と両立できるかな…などプレッシャーを感じながら、卒業はまだまだ先と思っていたんですけど、気付けばもう卒業式で。

3年生になってから、特に部活を引退してから、進路が決まって今日までめちゃくちゃ早かったです。もっと時間がほしかったような、でも全部やりきったという気持ちでもあります。

-- 伊藤さんはハンドボール部でしたね。新陽に入学したのはハンドが決め手ですか。

高校でハンドをやりたくて、新陽と他校で迷っていました。でも部活だけ、というのは嫌で。部活も勉強も頑張りたくて文武両道を目指していたので、新陽にしました。

中学の時、テストは得意ではないけど提出物などをしっかり出す子だったので内申点は良かったんです。新陽は定期テストがなく日々の課題や単元テストで学習の成果が測られるので、自分に向いていると思いました。

-- 実は、先生たちに伊藤さんについて聞くと口を揃えて「文武両道」と言っていたんですが、自らそれを目指し実行していたんですね。

そうですね。自分でも意識はしていましたが、新陽だからやれたと思います。予想していたよりテストは多かったけど、ちょこちょこあったので私にはちょうど良かったんです。

部活が終わってから毎日少しずつコツコツ勉強するようにしていました。もし定期テストがあったらまとめて勉強しなくてはいけないし、その期間は部活が休みになるので、両立して結果が出せたか分かりません。

-- そこまで夢中になったハンドボールの魅力はなんでしょう。

自分がプレーしても、観ても楽しいのがハンドの魅力です。展開の早さがいちばん面白いところだと思っていて、ハンドのスピードに慣れてしまうとサッカーなど他の競技がもどかしく感じることもあります。

始めたのは小学生の時。もともと兄がやっていたのを体験してみたら面白くてハマってしまって。

といっても高校1年までは上手い選手でもなく、自信もありませんでした。強い先輩たちが抜けて新チームになった時、女子は2人しかいなかったので「やるしかない!」と覚悟が決まりました。

-- 強くなるために何か工夫したことはありますか。

やっているだけでは分からないけど見ると気付く問題点があるので、動画を見て研究しました。毎日Youtubeで上手い選手の動画を見たり、自分たちの試合の録画を見てプレーを振り返ったり。

実際にやってみるのは簡単ではなかったですけど、実践してそれを振り返ってやってみるの繰り返しでしか強くなれなかったと思ってます。

-- 伊藤さんのこと、担任の三好先生は「真面目で粘り強い」、ハンド部の顧問の合田先生も「真面目でいつも一所懸命」と褒めてました。自分ではどんな性格だと思いますか。

合田先生もですか?いつも厳しい先生なので、褒めてくれたなんて信じられない(笑)。でも、先生方にそんなふうに評価してもらって嬉しいです。

自分は、負けず嫌いです。人に負けたくないというよりは、自分の立てた目標に対して妥協したくない気持ちが強い。目標を達成するまで、少なくとも納得いくまではやり続けるタイプです。

-- 卒業後の進路は看護学科とのことですが、看護を選んだのはなぜですか。

物心ついた時には看護師さんになりたいと思っていました。3歳頃からかな・・・きっかけは自分でも分からないくらい、気付いたら将来の夢だったんです。

小学生の頃に親戚が病気になったことや、おじいちゃんのお見舞いに行った病院で小さい子が重い病になっていることを知って、助けてあげたいと思ったのは覚えています。だから小児科か産婦人科で、小さい子に寄り添う看護師になるのが目標です。

ハンドボールが強い大学には行きたい学科がなくて、高1の頃にハンドで大学を選ぶか看護系に行くか悩んだこともあるのですが、最終的には将来につながる方を選ぼうと看護学科がある大学に決めました。将来の目標につながっていると思えば、大変でも辛くても頑張れると思うので。

-- 最後に、新陽の後輩たちへメッセージをお願いします。

新陽は本当に「本気で挑戦」できる環境。先生方はみんな、いつも生徒主体で考えてくれるし、どんな挑戦でも応援してくれます。

特に受験の時、それを実感しました。自分が志望校に合格できたのは、担任の三好先生や顧問の合田先生、それから志賀先生のおかげです。看護系を目指したいと言ったら三好先生が志賀先生に相談してみるといい、と教えてくれて、それから何度も指導してもらいました。

新陽はいろいろな生徒がいるので、勉強に対するモチベーションや何かに頑張るタイミングもバラバラ。だから周りに合わせるというか流されてしまうと自分のペースが作れなくなることもあります。そうならないように、友達は友達、自分は自分、としっかり目標を定めて取り組むことが大事だと思います。

小さな目標を立てて一つずつ成果を積み上げていけば、必ず前に進めます。本気で挑戦したいという意思があれば、先生は全力で応援してくれる。新陽はそういう学校だと思います。

【編集後記】
私は、朝はできる限り校門に立って、登校してくる生徒を迎えるようにしています。伊藤さんはいつも仲良しのハンド部の生徒と一緒に登校してきて、「おはよう」と声をかけると2人ともニコっと笑って会釈してくれました。ハンドボールという激しいスポーツであれだけ結果を残す生徒なので優しいだけの子ではないだろうと思ってはいたのですが、今回、卒業記念インタビューでじっくりと話を聞かせてもらい、強い芯と熱い想いを持っていることがよく分かりました。看護師になるのも看護師という仕事も決して簡単ではありませんが、きっと彼女なら自分の目標を一つ一つ叶えていけることと思います。

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