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札幌新陽高等学校 第62回卒業証書授与式 校長式辞

本日、札幌新陽高校を卒業される皆さん、おめでとうございます。

そして、今日まで皆さんを支えてこられたご家族ご親族の方々もたいへんお喜びのことと思います。札幌新陽高校の教職員一同および在校生を代表して、心からお祝い申し上げます。

なお、感染症対策のため、ご参加いただけるご家族を1名と限らせていただきました。本日この場にご臨席いただけなかった方もいらっしゃると思いますが、どうかご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。ぜひライブ配信あるいは後日こちらの動画にて、ご覧いただければと思っております。

さて、今年度は269名の新陽生が卒業します。皆さんは、私が校長として送り出す最初の卒業生です。

3年前、「本気で挑戦する人の母校」というスローガンに背中を押され、「何かに挑戦したい」あるいは「挑戦することを見つけたい」と思って入学した人も多いのではないかと思います。そして、勉強、部活、ボランティアやインターン、あるいは学校外での活動など、きっと様々なことに期待や希望を抱いていたことでしょう。

挑戦したいと思えるようなことには出会えましたか?
勇気を出して本気で挑戦できましたか?

皆さんの高校生活の3分の2はコロナ禍の2年間でしたね。日常が一変し、思っていたのとは全く違う高校生活にいらだちを感じたこともあるかもしれません。挑戦したいと思っても、それを実行する機会に恵まれなかったかもしれません。私は、そして私以上に新陽の先生方は、皆さんの期待通りにいかなかった様々なことをとても残念に思っています。

ただ、校長としてはこの1年、たくさんの挑戦する姿を見ることができ、嬉しくも思っています。思うようにいかない環境の中でも、あるいは先が見えなくても、皆さんは歩みを止めず、自分の道を切り拓こうとしました。その姿に励まされ勇気付けられたのは、私だけではなかったはずです。

皆さんはこれから、大学や専門学校の学生になったり、企業などに就職したり、決めた方向へ進んでいきますが、その後もずっと、それぞれが違う自分の道を行くことになります。

自分の意思で道を選ぶこともあれば、意思に反して進まなければいけないこともあるかもしれません。偶然や運によって、何かを選ぶこともあるでしょう。

人生は予測したとおりにはいきません。たぶん、予測した通りにならないことのほうが多いと思います。でも、予測通りにいかないことも、案外悪いことではありません。

少しだけ私の話をします。私は、高校を卒業したあと大学に進み、その後就職し、転職し、起業し、新陽高校の校長になりました。高校を卒業するときはテレビプロデューサーになりたくて、まさか自分が何度も転職するなんて予測していませんでしたし、校長になるなど考えたこともありませんでしたが、今とても充実した日々を送っています。

この2年間で実感した通り、私たちはかつてないほどに予測できない変化の激しい時代に生きています。前例はなく、たった一つの正解もなく、多様な価値観の人々が共に生きていく社会です。

そういう社会に出ていく皆さんには、これから先、創造する人であってほしい、と思います。変化を必要以上に恐れたり、変化に振り回されたりするよりは、自ら変化を作る側になってほしいと願っています。

大ヒットする商品を生み出すとか、世界を変える大発明をしなくても、誰もが何かを創り出して生きています。そうやって自分が創造していること、クリエイティブであることを自覚し、自信を持ってほしいのです。

そして何より、自分の人生を創造することを愉しんでください。

最後に私が伝えたいこと。
それは「自由でいよう」ということです。

皆さんは、自由であるために新陽で多くのことを学びました。生きたいように生きるために、さまざまな出会いと原体験の中から、自分の関心事を見つけ、探究してきました。

だから、自分の個性を大切に、自由でいよう。

当たり前のことですが、あなたという人はこの世にあなたしかいません。誰かと比べたり、無理に合わせたりしなくていいのです。

あなたの個性は生まれ持った資質や、あなたの経験からできています。あなた自身が自分の個性を大切にしてください。

自分の心を解き放ち、自由でいよう。

個性と同様に、あなた自身の気持ちを大切にしてください。心に蓋をしていると、だんだん自分の気持ちが分からなくなってしまいます。

そして時には、「できない」と思ってしまいそうなことでも、自分がやりたいと思うなら勇気を出して挑戦してほしいと思います。

多様な個性と共に幸せであるために、自由でいよう。

いつも言っている通り、私たち一人ひとりは「多様性の一部」です。自分の個性を大切にするように、周りにいる人たちの個性も尊重しましょう。

それこそが自由であるということであり、あなたがあなたらしくいる、自分らしく生きるということに繋がるはずです。

どうか、自由に、人生を創造していってください。

「自主創造」という校訓に示された新陽の精神のもと、皆さんがこれからも本気で挑戦し自ら道を拓いていかれることを心から祈念して、私からの祝辞に代えたいと思います。

ご卒業おめでとうございます。

2022年3月1日
札幌新陽高等学校長 赤司展子

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