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異常 その 2.5

(少し加筆)

読み終えてしまった。
頭の中は「異常」祭りである。

科学的には解明のしようがないことではある。
だから
何人かの人物、片割れが自殺した作家とか
ガンと闘うことになる機長とか
何組かのカップル 子ども。劇団員。
それぞれとのやりとりを通して話が展開する。
尋問する人のほかにカウンセラーがつくのは、時代の変化か。

その人たちがもう一人の自分に会った時にどうなるか。
また、飛行機に乗っていなかった家族との関りなども複雑である。
帰ったら、子どもを持とうと話していたカップル。
息子を溺愛している母親(一人の息子に二人の母親になる)
父親に性加害を受けていた娘

日本人には理解を超えるのは、狂信者の暴走だろうか。
戻ってきたのは悪魔だと主張し討伐しようとする。

昔、崩壊した地球で、ものすごく大切なものを運ぶ男の旅
みたいなキャッチで観た映画があったが
その男の運んでいたのが「聖書」というオチだった。
信心深くない者には微妙過ぎる作品だった。
そんなに宗教が大事なのかととても驚いた。


狂信者に見つからないようにいろいろ配慮が必要である。


もっと大きな問題の示唆がある。
この異常事態が、再び起きたらどうするのか という問題である。
何機来たら、次は撃墜してしまえ と思うだろうか。
そして
その撃墜の瞬間に、さらにいくつもの「分岐」が起きたらどうなるのか。

そっちはそっちで世界ができてちょっとずつ違う世界で暮らすのではなく
分岐した時間を超えて、何機も飛行機が戻ってきたらどうなるのだろうか。
二年後に戻ってきた機長なら、ガンを克服する薬ができるだろうか。
何度も夫を見送った妻は、壊れてしまうだろうか。
みんな、飛行機に乗る前の感情を持ったまま帰ってくるのだとしたら。
(ひとりの息子に10人の母とか)

狂信者でなくとも「悪魔の所業」と言いたくなるかもしれないし
悪魔の所業を促されてしまうかもしれない。

異常事態はさらに続くのである。



怖すぎるので、誰かパロディにしてくれないかな と思ったりする。
筒井康隆が
「日本以外全部沈没」を書いたみたいに。 



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