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カラオケ行こ

中学の合唱部の部長に歌を教えてもらおうとするヤクザ。
二人のやり取りがたいへん面白かった。

部長は、岡聡実くんだが、変声期にさしかかっている。
その自覚はあるようで、気持ちがとても揺れている。
危ないオジサンについつきあってしまう。
悪い大人特有の手練手管というか、なんというか。

印象深いのは祭林組の歌ヘタ舎弟大集合の練習カラオケと
ラストの、啖呵を切ってからの「紅」の熱唱である。
組員の歌のチョイスがなんともおかしい。

どこかの映画評に
ひと時代前のヤクザの姿であると書かれていたが
まぁ大概の人は どんな時代のヤクザの姿も映画でしかわからない。
あり得ない出会いでありファンタジックでさえあるのかもしれない。


中学校の部活動は平和な感じではあった。
部活に入れ込む後輩も微笑ましかった。
映画を見る部活は なんとなく不登校予備軍の避難場所みたいだと思った。映画を見ながらの会話のあの距離感は絶妙。
中学生役で出演していた子たちがどんなふうに育っていくか楽しみである。

普通の学校とヤクザ組のギャップは大きい。あの商店街に入るのは、確かに魔の森に迷い込むようなものかもしれない。
けれど親からの自立という目標を持つ思春期には、魔の森への好奇心も抑えがたいかもしれないし、行かざるを得ないこともあるのだろう。


子どもの悩みを見ていないようなあの両親だけれども
子どもがもがいていることは多少わかっていて、愛はある。
聡美くんが一瞬理解した鮭の皮などではなくて、あのお守りを渡す姿が、本当の「与える愛」なのだった。




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