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鍵のない夢を見る

短編集である。
目次に並ぶのは 「泥棒」「放火」「逃亡犯」「夢と殺人」「誘拐」

社会の中で、上手くやっていけてない人物ばかりが出てくる。
自意識過剰で、人に認められたくて、見栄っ張りで。
それでいて努力も下手で要領が悪くて
正直になれないので人間関係もうまくいかなくて。

ニュースで聞いたばかり、みたいなストーカーの話もあった。
母親を殺した男と、母親のカードでちょっと逃避行をするとか。


ヒーローとかヒロインなんて呼べそうもない、人たちの小説。

最後の「誘拐」は、子育てがつらくてちょっと解離性遁走みたいになってしまう母親の話。
ベビーカーで連れてきたと思った子どもを実は家に置いていたという。
ワンオペの赤ん坊に慣れていない母親は気の毒だ。
私もワンオペだったけれど、小さいころから年下の従妹がしょっちゅう出入りしていて、赤ん坊に慣れていた。そういうことで乗り切れることってあると思うが、もうそんな時代でもない。


いろいろな人たちの情けなさに、自分とも通じるものもあって痛かった。





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