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オットーという男


公開していた時に見ることができなかった作品をアマプラで見た。

オットーは町内イチの嫌われ者でいつもご機嫌斜め。曲がったことが大っ嫌いで、近所を毎日パトロール、ルールを守らない人には説教三昧、挨拶をされても仏頂面、野良猫には八つ当たり、なんとも面倒で近寄りがたい…。それが《オットーという男》。
そんな彼が人知れず抱えていた孤独。最愛の妻に先立たれ、仕事もなくした彼は、自らの人生にピリオドを打とうとする。しかし、向かいの家に越してきた家族に邪魔され、死にたくても死ねない。それも一度じゃなく二度、三度も…。世間知らずだが、陽気で人懐っこく、お節介な奥さんマリソルは、オットーとは真逆な性格。小さい娘たちの子守や苦手な運転をオットーに平気で頼んでくる。この迷惑一家の出現により “自ら人生をあきらめようとしていた男”の人生は一変していく――。

ソニーピクチャーズ


実は最初の数分を真剣に見ていなかったので、嫌われ具合があまりわかっていない。そんなに?と思うエピソードが次第に増える。
理解者もゼロではなく、古くからの友人もいる。
彼は相手の事情は聞き入れるし、手を貸すし、道具も貸す。

「僕がトランスジェンダーでマルコになったから親に嫌われている」
という青年。妻の教え子だったという。彼にも遺言を残す。
駅で電車に飛び込もうとしていたら、先に落ちた人がいて
つい助けてしまったりする。その時の若い野次馬は、手を貸すのではなく皆、動画を撮ることしかしていないのだった。
自分がホームに上がるのを躊躇していた時に助けてくれたのは
中年以上の年代の男性だった。もちろん誇張された表現だけれど
オットーが生き残りたくないと思うのに共感してしまう。

その動画を見たSNSの編集者は追い返すが
ちゃんと心には留め置いて後で利用する。
同じように年老いて体の弱った友人夫婦を助ける。
理性も知性もちゃんとあって、ただ「曲がったことが嫌い」なだけだ。


人生の最後近くで唯一の人を亡くす ということの哀しみが迫ってくる。


ぐいぐい来る隣人女性に運転を教える姿が
彼の人柄の象徴的な場面だと思った。

トムハンクスも年をとったなぁ とそんなところも感慨深かった。

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