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困っている人がいると、助けたくなるのが人情です。

ただその人のことを深く思えばこそ、助けない方が良い場合がある。という話です。

元サッカー日本代表監督の岡田武史さんは、尊敬する監督の中の一人です。岡田さんは、哲学がとてもしっかりしているのが面白いんです。

その彼の名言の中でも、好きなセリフをそのまま引用します。

「何でもやってもらえるもんだ」と思っている人が多いんです。例えば、スランプになった選手というのは大体、ものほしげにこっちを見るんですよ。「何か教えてほしい、助けてほしい」という顔でね。言ってやれることはいっぱいあるんですよ。ボール蹴る時の動きとか走り方が悪いとかいろいろあるんですけど、たいてい言ってもダメなんですよ。コーチは何やかんやアドバイスしようとするのですが、「ほっとけ、ほっとけ」と言うんです。

 スランプの泥沼にあえいでいる奴らが10人いるとするじゃないですか。泥沼であえいでいる時に早く手を出してバッと引き上げても、手を離したら大体もう1回落ちるんですよ。そして2回目に落ちた時というのは、中々上がってこない。これ放っておくと、10人いたら5人はそのまま沈みます。でも、5人は必死になってもがき苦しんで、自分の力で淵まではい上がってくる。その時に手を貸した奴は残ります。

 その代わり5人はそのまま沈んでいきますよ。そいつらからは「あの人は何もしてくれない。ものすごく冷たい人だ」と言われますよ。だから僕はコーチに、「お前な、今お前が手を貸したら、『あの人はいい人だった』と言ってくれるけど、みんなまた落ちてしまうぞ。放っておいたら5人には『ひどい人だ』と言われるけど、5人は残るぞ。お前どっちをとる?」と言うんです。これはコーチにはちょっと酷で、人事権を持った監督でないと中々できないんですけど、それくらい誰かに頼るんじゃなくて、自分でやるという人がものすごく少ないんですよね。

 芝生でもそうなんです。肥料や水をバンバンやると根が伸びないんです。見た目はきれいなんですけど、スパイクでちょっと歩くとグニャっとめくれるような芝生になってしまいます。芝生も大したもので、水をちょっとやらないと茶色くなって枯れたふりをするんです。そこで水をやると、「人間、まだ甘いな」となめてかかられる。さらに放っておくと、「やばい」と思って、自分で根を伸ばして水を探しに行くんですよね。マリノスの時に「この芝生、また枯れたふりしていますから」と言って水をやらなかったら、そのまま枯れたことが1回ありましたけど(笑)。これは難しいところなんです。

”スランプに陥った人を助けない。”
なかなかできることではないですね。

その人の自力で這い上がる力を信じ、自力で這い上がらないと意味がないと理解し、心を鬼にして「助けない」を選択する。

子育てとか、カウンセリングの場でも出てくる現象だと思います。
相手がプロではないので、同じようにどん底から這い上がるのを待てば良いのかというと、若干の違いはあるとは思いますが、

「相手の力を信じる」ということは同じだと思います。

自分が嫌われたくない、自己承認欲求を満たしたいとかで、すぐ人は助けてしまいがちですが、ぐっと歯を食いしばって「助けない」という選択肢は、人生の中で、持っておきたいなと思います。

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