交通渋滞への法規制は他人事? 社会課題からヒントを得る方法
見出し画像:Gerd AltmannによるPixabayからの画像
【今日のポイント】
ウィズコロナで外出の機会も増えましたが、交通渋滞や、タクシーが予約も含めて捕まらないなどの問題に対して、法規制による対応が各国で進められています。
このような社会課題に対する法規制が持つ効果と副作用は、交通に限らず各分野で見られるものであり、自社だけでなく、自社が提供する商品・サービが対象とするユーザーニーズに関する競合となる他分野に及ぼす影響も把握することは、リスク管理と事業機会の双方の面で今後も重要と考える次第です。
1.各国の交通渋滞対策
ウィズコロナで、観光含めて外出する機会も増えてきましたが、
それに連れて、自動車などの交通量も増えて来たように感じます。
(アプリなどでの予約も含めて、タクシーが中々捕まらないと何人かの知り合いが話していましたが、人手不足と需要の増加の双方の影響がここにも現れていますね)
この、道路の交通量の増加については日本に限らず各国で大気汚染、生産性の低下などさまざまな悪影響も指摘されており、
その対策も、ロードプライシング(特定の道路や地域、時間帯において自動車利用者に対して課金する制度)など、複数の施策の導入が始まっている事が、以下の記事などからも窺えるかと思います。
日本の大都市に限らず、交通渋滞は各国で深刻な課題となっていると感じさせられるとともに、ウィズコロナで外出等の機会が増え、ECなどによる輸送量が増えるとさらに強まる可能性を予想した次第です。
『道路交通量と大気汚染濃度:ダイナミック・パネルデータ分析に基づくエビデンス』
2023/4/19の、独立行政法人 経済産業研究所( https://www.rieti.go.jp/jp/ )のノンテクニカルサマリー。
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/23e031.html
『問題 (1)世界取り組むべき車中心の交通システムがもたらす負の効用」
2023/04/01 の、株式会社三菱総合研究所 未来共創イニシアティブ( https://icf.mri.co.jp/ )の記事。
https://icf.mri.co.jp/wp-content/uploads/2023/04/1c6a327725f4fd1a29553746f8eb5e81.pdf
『シンガポールが「グッドライフ」を再定義:車のない新時代 Singapore Redefines the 'Good Life': A New Era Without Cars』
2023/12/14の、1日5分ビジネス英語の記事。
https://matt-english.com/podcast/20231214
2.交通渋滞に対する法規制により車の代替手段から、移動ニーズ自体の解消まで交通網の変革が進む
上記の記事や、ドローンのような空飛ぶタクシー、マイクロモビリティなどの移動における自動車の代替手段、各国のコンパクトシテイへの取り組みなどからは、
「中古車市場や他の交通機関も含めて多方面の分野に影響を及ぼしつつ、都市渋滞に対する法規制が進む事で、車の代替手段から、移動ニーズ自体の解消まで交通網の変革が進む」ことが予想できるかと思います。
新型コロナにおける各国の封じ込め政策の様に、時に法規制は大きな影響力をその目的と副作用の双方に及ぼすことは、交通規制にも言えるかと思います。
この様な法規制に対して、法規制をすり抜けようとする動きと、抜本的な解決策を探す動きの双方が並行して進む中で、
EVやマイクロモビリティの様な車自身の変化だけでなく、駐車場や交通料金など交通関連の設備やサービスも変化しつつ、
最終的にはコンパクトシティやオンライン診療の様に、移動ニーズ自体の低減へと進むのではないかと思った次第です。
3.社会課題に対する法規制の目的の達成と副作用双方を予測してリスクとチャンスを探る
上記のように、混雑の解消という課題を道路だけでなく、例えばお店や公共の建物まで対象を広げると、電子申請のような行政のスマート化、通信販売、IoTも利用した混雑状況のユーザーへの周知による自主的な混雑回避への誘導など、多様な手段が取られていることは、
以前のブログトピックス『ウィズコロナにおけるリアルの場でのAI・デジタルの活用のヒント』https://wp.me/p9D2bS-2jd でご紹介した、株式会社バカン(https://corp.vacan.com/)の空き情報の把握とユーザーへの提供を始めとする活用のように、法規制以外の手段も含めて官民併せて進められていることが窺えるかと思います。
環境問題や労働問題など、ある社会課題について、法制度で規制することは、その目的を達成する効果だけでなく、副作用(法制度の悪用や、ユーザーの利便性の低下など)も大きくなる可能性があるため、
自社事業の業界だけでなく、同じニーズに対して競合する他の業界に関する法規制が掲げている目的に対して、その達成だけでなく、副作用も含めて、自社が受ける影響を予測し、リスク対策と事業機会の発見に活かすことは、今後も重要な経営課題になるものと改めて感じた次第です。
【今日のまとめ】
・各国とも交通渋滞に対して、従来から法規制などの取り組みを行っており、この傾向はウィズコロナで外出等の機会が増え、ECなどによる輸送量が増えるとさらに強まることが予想される
・自動車利用に対する法規制の強化は、他の交通機関も含めて多方面の分野に影響を及ぼしつつ、都市渋滞に対する法規制が進む事で、車の代替手段から、移動ニーズ自体の解消まで交通網の変革が進む契機になると考えられる
・交通渋滞に限らず、ユーザーによる混雑解消にIoTなどにより対応を取る動きが民間でも始まっているが、社会課題に対する法規制のもつ、目的達成の効果と副作用が、自社と自社の競合となる業界に及ぼす影響を把握することはリスク管理と事業機会発見の双方で今後も重要と改めて感じる
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます(*^^*)!
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