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提案書作成の事前準備③:困りごとに対する解決策を考える

抽出した顧客の困りごとに対して、自社の提案商品でどうやって解決できるかを考えます。手法としてはPSWマトリクスというものを使います。これは顧客の困りごとと自社の強み・弱みを一覧表にして俯瞰することで、困りごとに対する解決策を導き出すツールです。困りごと(Problems)、自社の強み(Strength)、自社の弱み(Weakness)の3つの頭文字を取ってPSWマトリクスとしています。実際の作成手順は以下のとおりです。

<PSWマトリクスによる解決策の作成手順>
① 顧客の困りごとを、右のマトリクス表のA「顧客の困りごと」の欄に記入します。記入する際には、顧客が現在抱えている一番の困りごとを書くようにします。

② 次にB「自社の強み」の欄に、抽出した自社の強みを記入します。

③ 続いてC「自社の弱み」の欄に、抽出した自社の弱みを記入します。

④ 最後に記入した困りごとをながめながら、この困りごとに対して当社の強みを用いて解決できることがないかを考えます。そして考えられる解決策をD「困りごとの解決策」の欄に記入します。これが提案書において一番伝えたいメッセージになるのです。

⑤ 一方で自社の弱みは解決策を実行する上でのリスク要因となる可能性があります。そのような事態を避けるためにも、リスクに対する対応策を考えて起きましょう。考えた対応策については、E「リスクに対する対応策」の欄に記載します。

なお、この手順を何度か繰り返していると、顧客の困りごとや自社の強み・弱みがある程度パターン化されてくるはずです。これを踏まえた上で,強みで困りごとを解決するパターンをいくつか用意しておくとよいでしょう。代表的な例を記載しておきますので参考にしてください。

PSWマトリクス(困りごと×強み・弱みマトリクス)

困りごとの解決策を考える上で特に大事な点は、競合よりもよりうまく(効果的に、効率的に)実行できる解決策を考えることです。自社ではうまくできるが、競合では対応できない、もしくは自社のレベルまでは対応できない状態になっていることが理想的です。

これで提案書をつくるための事前準備が完了しました。顧客の困りごとに対する解決策というメッセージが一番伝えたいことになります。次のステップ以降では、このメッセージの具体化を進めていきます。

尚、本来であれば事前の準備でここまで完了していることが理想ですが、現実的には最後まで完了できないケースの方が多いと思います。最初から必要な情報が全て揃うようなことはまずないでしょう。したがって初回の提案では、それまでに入手できた情報にもとづきまずは仮の提案を行うことになります。その後は提案を通じて顧客から不足している情報を収集して、仮説の検証を実施していきます。これにより仮説の内容を修正し、再度提案を行うことを繰り返していきます。

ただし担当者との面識があまり無い場合や、初めて訪問するような新規顧客の場合は入手できる情報が非常に限られてきます。場合によっては、ホームページの情報だけになってしまうかもしれません。それでも集められる情報を基に、自分なりに「こうじゃないか」と仮説を考えてみるのです。まずはそれで一度提案してみて、顧客の反応を確認した上で、仮説案の修正をしていきましょう。このサイクルを常に回し続けることが重要です。

顧客提案の仮説検証サイクル

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